赤ちゃんはどんなストレスを感じてる?

赤ちゃんはこんな時にストレスを感じている
まずは赤ちゃんがどんな時にストレスを感じているかをまとめてみました。 日常的に納得できるものから意外に気が付かないものまでたくさんあります。生理的な不快感
お腹が空いている:赤ちゃんにとって、空腹は非常に強いストレス源です。 眠いのに眠れない:環境が騒がしい、明るい、体が不快など、睡眠が妨げられることもストレスになります。 おむつが汚れている:湿ったり汚れたりしている状態は不快感を引き起こします。環境の変化
温度や湿度:寒すぎたり暑すぎたりする環境は赤ちゃんにとってストレスです。 騒音や過剰な刺激:大きな音、強い光、急激な動きなどは赤ちゃんを驚かせ、不安感を与えます。 新しい場所や人:見知らぬ環境や人々と接するとき、赤ちゃんは不安や緊張を感じることがあります。人間関係のストレス
親や養育者との分離:お母さんや主要な養育者と離れるとき、赤ちゃんは強いストレスを感じます。 一貫性のない対応:例えば、あるときは泣いてもすぐに抱っこされ、別のときは無視されるなど、対応が一定でないとストレスを感じます。身体的な痛みや不快感
体調不良:風邪やお腹の張り、歯が生えるときの痛み(歯ぐずり)などはストレスの一因です。 抱っこや姿勢:不自然な姿勢や抱っこされるときの圧迫感も不快感を与える場合があります。感情的なストレス
親のストレスを感じ取る:赤ちゃんは親や周囲の人の感情に非常に敏感で、親がストレスを抱えていると、それを感じ取って不安になることがあります。 自己表現ができない:自分の要求や感情を言葉で伝えられないこと自体が、赤ちゃんにとってストレスです。どんなことを意識して赤ちゃんの環境を整えてあげればいいか
発達の初期にあたる赤ちゃんのストレスに対する対処のレパートリーはごく限られています。なかなかはっきりしたストレスのサインを出すことができない場合が少なくありません。そのためにはなるべく赤ちゃんがストレスを感じないような環境や関係を作っていくことが大切です。スキンシップを強化する
赤ちゃんは親の体温や心音を感じることで安心します。特に不安を感じているときは、しっかり抱きしめるだけで気持ちが落ち着きます。抱っこやおんぶをしてみてください。また、手足を優しくさすったり、腹部を時計回りに撫でるなどベビーマッサージもリラックスさせる効果があります。音や明るさ、温度や湿度を調整、五感の刺激を大切に
赤ちゃんは騒がしい環境では眠りにくく、不安を感じやすくなります。部屋の音量を落とし、クラシック音楽や必要に応じて白いノイズ(ホワイトノイズ)を使うと良いでしょう。気持ちを落ち着かせる効果があります。最近はホワイトノイズのスマホアプリなどもあります。 また、夜は照明を暗くし、昼間は適度な明るさを保つことで、昼夜のリズムが整いやすくなります。さらに部屋を快適な室温(20~24℃)と湿度(40~60%)を保つことで、赤ちゃんの快眠を促します。触覚も大切です。赤ちゃんにいろいろな素材を触わらせることで好奇心が働き感覚が刺激され、脳の発達が促されます。ただし興味を示さなかったり嫌がるときには無理に押し付けないでください。規則的な生活リズムを作ってあげる
規則的な生活パターンは赤ちゃんの安心感につながります。毎日同じ時間にお風呂に入れたり、寝る前に同じ音楽や絵本の読み聞かせを行うことで、赤ちゃんは「もうすぐ寝る時間だ」と理解するようになります。日中は積極的に体を動かす時間を設けてあげると、夜にぐっすり眠ることができます。安定した授乳と食事時間を作る
お腹が空いていると赤ちゃんは機嫌が悪くなります。母乳やミルクのタイミングや授乳間隔を一定にすることで、赤ちゃんの不安が減ります。離乳食が始まったら、明るい雰囲気の中で食事を与えると、赤ちゃんもリラックスして食べられます。何より食事を楽しむことのできる環境づくりを考えましょう。不安を和らげる工夫
赤ちゃんにはいくつかのお気に入りのおもちゃやアイテムがあるはずです。おしゃぶりやお気に入りのタオル、ぬいぐるみなどの「安心アイテム」をいつも周りにそろえてあげると安心につながります。外出時に持っていける「安心アイテム」があれば、お出かけの不安が減り、より気分転換がうまくいくはずです。赤ちゃんのリラックスはお母さんや家族のリラックスから
最後に赤ちゃんにとっても大きなストレスとなりうるご両親や家族との関係性の中で生じるストレスについて少し考えてみたいと思います。特にお母さんとの間で起こる様々な感情や関係性の振幅は、時として赤ちゃんにとって大きなストレスになります。 例えばいつもにこやかに自分を見ているお母さんがあるとき無表情な顔で見ただけでも赤ちゃんにとってはストレスになってしまいます。お母さんが赤ちゃんの顔を見るとき、笑い返したり声をかけたりするのが普通です。当然赤ちゃんはお母さんのそうした態度を期待しています。ところがお母さんが無表情な顔で自分を見た時に、自分の期待を裏切られ拒否されたと感じてしまいます。さらにはお母さん自体のストレスの程度まで敏感に察知します。 赤ちゃんのメンタルヘルスは、お母さんのメンタルヘルス、お父さんのメンタルヘルスと非常に密接に関係して連動しており、家族のメンタルヘルスの中心にはお母さんがいると場合が多いと報告されています。 「Parent and Child Stress and Symptoms: An Integrative Analysis」(1989「Developmental Psychology」) 育児は体力的にも精神的にも負担が大きいものです。母親が自分自身のメンタルケアに取り組むことで、育児の疲労感や不安が軽減され、より穏やかな気持ちで赤ちゃんと向き合えます。母親のメンタルケアを具体的に実践するためには、いくつかの方法があります。 まず、お父さんや家族、友人、専門家など、信頼できる人にサポートを求めることが大切です。周囲の協力を得ることで、育児の負担を軽減し、精神的な余裕を持つことができます。また、十分な睡眠やリラックスの時間を確保し、適度に休息を取ることも重要です。心身を休めることで、育児に対するエネルギーを保つことができます。 さらに、育児コミュニティに参加し、同じ境遇の人々と情報や気持ちを共有することは、孤独感を軽減し、共感や安心感を得る助けとなります。 最後に、必要に応じてカウンセリングや医療機関などの専門家の支援を受けることも検討しましょう。専門家に相談することで、適切なアドバイスやサポートを受けることができ、より良い解決策が見つかるかもしれません。 これらの方法を取り入れることで、お母さん自身の心の健康を保ち、赤ちゃんにとっても安心できる環境を整えることができます。赤ちゃんのストレス軽減は、家庭全体の安定にもつながる大切なテーマです。赤ちゃんの健康を支えている食物繊維とは?

赤ちゃんの健康を支えるために食物繊維が大切
赤ちゃんの健やかな成長には、毎日の食事が大きな役割を果たします。その中でも「食物繊維」は重要な栄養素です。 腸内環境を整え、便秘の予防や免疫力の向上、さらには血糖値の安定にも役立つ食物繊維は、赤ちゃんの健康を支える鍵となります。 今回は、食物繊維の役割や赤ちゃんの月齢に合わせた効果的な取り入れ方についてご紹介します。そもそも食物繊維って何?
そもそも食物繊維とは何でしょう。食物繊維は、ヒトの消化酵素では消化できない野菜や果物、穀物などに含まれる成分の総称です。 体内でエネルギー源にはならず、胃や腸を通過する際に消化・吸収されません。水溶性と不溶性の2種類があり、水溶性食物繊維は、水に溶けるとゼリー状になり、胃腸内を緩やかに移動します。 一方、不溶性食物繊維は、胃や腸で水分を吸収してふくらみ、便のかさを増やします。食物繊維が赤ちゃんにもたらす効果
食物繊維は、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える働きがあります。その結果、便通がスムーズになり、便秘を防ぐことができます。さらに、腸は免疫細胞が多く集まる場所でもあるため、腸内環境が良好であれば、免疫力も向上します。これにより、病気にかかりにくい身体づくりが期待できるのです。 食物繊維は血糖値の急激な上昇を防ぐ役割も持っています。一方、乳幼児のインスリン分泌能力は未発達であり、血糖値の上昇に対して十分な量のインスリンを分泌できないため、糖質/インスリン比やインスリン効果値が成人に比べて大きく,血糖変動も激しい傾向があります。(出典:「小児糖尿病診療の将来を見据えたアプローチ」/ 内科 Volume 133, Issue 5, 1180 - 1184 (2024))食物繊維がそうした血糖値の変動を穏やかにする可能性があります。 また、便秘になりやすい赤ちゃんにとって、腸の働きを活発にする食物繊維は快適な毎日をサポートする心強い味方です。食物繊維を含む食品とその与え方
赤ちゃんに食物繊維を取り入れる際は、月齢によって決められた目安量を参考に、発育状況に合わせた工夫が必要です。以下は、比較的食物繊維が多く含まれる食材の具体例と調理方法です。野菜
離乳食の開始では、ほうれん草や小松菜などの葉物野菜は、柔らかく茹でて裏ごしすることで赤ちゃんでも食べやすくなります。にんじんやかぼちゃといった根菜類も、煮込んでペースト状にすることで消化に優れた形になります。果物
バナナやりんご、梨などの果物は、加熱してやわらかくしたり、完熟したものをすりおろして与えるのがおすすめです。自然な甘みが赤ちゃんにも喜ばれるでしょう。いも類
さつまいもやじゃがいもなどを料理に入れて与えると食事のバリエーションが広がります。豆類
大豆やレンズ豆は栄養豊富で、よく煮て柔らかくしたものを皮を取り除き少量から取り入れることで、消化しやすくなります。与える際の注意点
食物繊維を取り入れる際には、いくつかの注意点を守る必要があります。まず、食物繊維を過剰に摂取すると、お腹が張ったり、おならが増えたりすることがあるため、適量を心がけましょう。また、新しい食品を試す際には少量から始め、アレルギー反応が出ないか赤ちゃんの様子を観察することが大切です。 さらに、赤ちゃんの消化機能は未熟なため、食物繊維を含む食品は柔らかく調理し、飲み込みやすい形状にすることが求められます。特に月齢が低い場合は、ペースト状にするなどの工夫が必要です。また与える量にも注意します。月齢別の工夫
赤ちゃんの月齢に応じて、食物繊維の取り入れ方を工夫することで、より効果的に栄養を与えることができます。離乳食初期(5〜6カ月)
裏ごしした野菜や果物を少量ずつお粥に混ぜる方法が適しています。例えば、すりおろしたにんじんをお粥に加えると、栄養バランスが向上します。離乳食中期(7〜8カ月)
細かく刻んだ野菜をスープに加えることで、赤ちゃんが食べやすくなります。また、ヨーグルトにすりおろした果物を混ぜると、自然な甘みが加わり、食事が楽しい時間になります。離乳食後期(9〜11カ月)
手づかみできる野菜や芋のスティックを取り入れると、自分で食べる楽しさを育むことができます。さらに、豆類を加えることで、栄養価を高める工夫も可能です。離乳食後期(12〜18カ月)
食べられる食品も増えてきます。食物繊維の多い芋類、野菜、果物、全粒パンなど目安量を参考に食べていきましょう。十分な水分と適量の油も忘れずに
食物繊維を効果的に摂取するためには、十分な水分補給が欠かせません。水分は腸内で食物繊維を膨らませ、便通を促す役割を果たします。また、食物繊維はコレステロールから作られる胆汁酸を体外へ排出するのを促進する働きもあります。離乳食では良質の油であるオリーブオイルなどを適量利用し、食物繊維を含むバランスの取れた食事を提供しましょう。まとめ
赤ちゃんの健康を支えるためには、食物繊維を適切に取り入れることが重要です。月齢や発育に合わせた工夫を凝らし、腸内環境を整えることで、免疫力の向上や便秘予防につなげることができます。ご両親が安心して進められるよう、小児科医に相談しながら食事を工夫するのも良い方法です。赤ちゃんの聴力検査は大切!その重要性と受け方

早期発見が重要な理由
① ことばの獲得は、生後まもなくから始まるため、きこえにくさがあればことばの発達に影響が生じるため、できる限り早めの対応が必要です。 ② 赤ちゃんは周囲の音やことばを聞き取ることで、ことばを理解し、しゃべることで人との関わりあいを学びますが、きこえにくさはそうした人とのコミュニケーションに影響を与えてしまいます。 ③ 早めに発見することで、きこえを補うことのできる補聴器を付けたり、きこえに配慮した教育(療育といいます)を早く開始することができるため、ことばの発達や人とのコミュニケーションへの影響を最小限にすることができます。1000人に1〜2人が先天性難聴
先天性難聴は全出生児の約1,000人に1~2人に認める比較的頻度の高い疾患です。1990年代より欧米諸国を中心に「新生児聴覚スクリーニング」(NHS:newborn hearing screening)が導入され、日本でも2001年から導入され、現在ではお産を取り扱う施設の98%以上で実施可能となっています。厚生労働省の報告によると2019年時点での普及率は全国で91%になっています。2014年までの産婦人科診療ガイドラインでは推奨度がC(実施が考慮される)でしたが、2017年に改変されたものでは、推奨度がB(実施が勧められる)に引き上げられました。 また、ウイルスによる胎内感染で最も頻度が高いサイトメガロウイルス(CMV)というウイルスの感染が先天性難聴の原因となる可能性があります。このウイルスによる先天性の感染は新生児300人に1人ほど報告されています。NHSでもし片耳でも要精査と言われた場合には生後21日目以内の尿検査で先天性CMV感染かどうかが判断できるため、なるべく早期にこれらの検査ができる病院への受診が必要となります。NHSには2つの検査方法があります
OAE(耳音響放射)
耳に小さなプローブ(イヤホン)を挿入し、特定の音を送ります。内耳が正常であれば、内耳から音が反射され、それを検出します。自動ABR(聴性脳幹反応)
頭や耳の周囲に電極を装着し、音を聞かせた際の脳の反応を測定します。赤ちゃんが眠っている状態でも検査が可能です。 NHSの機器としては通常自動ABRかOAEが使用されますが、その検出できる難聴の範囲や精度などで厚生労働省は自動ABRを推奨しています。出産後すぐのNHSが推奨されています
出産施設での新生児聴覚スクリーニング検査
多くの産院や病院では検査の内容を説明した後に実施します。産後1週間以内に実施され、費用は病院や自治体によりますが、公費助成がある自治体もあります(後述)。要精査であった場合は数回確認検査を行うことが望ましいとされており、そこでも要精査の場合には精密検査機関へ紹介となります。精密検査機関での検査
NHSで要精査となっても難聴と決まったわけではありません。スクリーニング検査のため、正常であっても引っかかってしまうことはあります。おおよそ両側とも要精査の場合には5人に3人が両側難聴、片側要精査の場合には半分が片側難聴、12人に1人くらいの割合で両側難聴が見つかります。自治体による費用負担や助成もある
● NHSの検査費用は2,000円から10,000円程度で、出産費用に含まれている場合もあります。自治体によっては無料または助成が受けられますが、公費に関しては全額負担とまではなってないのが現状です。 ● 専門機関での精密検査は健康保険の適用があり、3割負担で受けることができます(一般的に赤ちゃんは乳幼児医療助成制度があるため負担はもっと少ないです)きこえの悪さを見逃さないためのポイント
NHSの実施数は増加していますが、まだすべての分娩取り扱い医療機関で実施されているわけではなく、助産院や自宅分娩などのケースもあり、NHSの精査・療育へのルートから外れてしまった場合や生まれた時には正常であったにもかかわらず難聴が進行するケースもあります。 仮にそうしたケースでも、赤ちゃんの聴力の発達異常を見逃さないために気を付けるポイントも付け加えます。 ● 赤ちゃんの行動に注意:音が鳴る方向を向くかどうかを確認しましょう。 ● 名前を呼ぶと反応するか:反応が鈍い場合、聴覚の問題の可能性があります。 ● おもちゃの音に反応するか:ガラガラや鈴などのおもちゃに関心を持つかどうかを観察します。 もし、赤ちゃんが音に反応しない、呼びかけに振り向かないといった行動が見られた場合、早めに耳鼻咽喉科や保健センターに相談することをおすすめします。気をつけたい乳児・幼児・小児の「二次性頭痛」とは?痛み止め薬を飲む前に専門医による診察を!

重篤な疾患が隠れている可能性のある二次性頭痛
初めにみなさんにお伝えしたいことは、「頭が痛い」という子どもの何気ない一言の中に別の病気が隠れていないかということです。頭痛には、一次性頭痛と二次性頭痛の2種類があります。一次性頭痛は、明確な病気やケガが原因ではなく、頭痛そのものが病気というものです。二次性頭痛は、くも膜下出血や頭部のケガなど、何らかの病気やケガが原因で起こる頭痛です。二次性頭痛には生命の危険がある病気も含まれるため、注意深い診察が必要になります。 一次性頭痛の代表格は片頭痛や緊張型頭痛などです。二次性頭痛については、「国際頭痛分類」に記載されていますが、次の8種類に分かれます(国際頭痛分類引より)。その中で子供の頭痛の原因として多い、注意したいものを①~④としました。 ① 感染症(髄膜炎、脳炎、敗血症など)による頭痛 ② 頭頸部外傷・傷害(頭部の打撲、むち打症など)による頭痛 ③ 非血管性頭蓋内疾患(てんかん、低髄圧症、脳腫瘍など)による頭痛 ④ 眼・耳・鼻・歯・口などの障害による頭痛や顔面痛 その他、大人に多い病気、二次性頭痛は以下の⑤~⑧です。 ⑤ 頭頸部血管障害(クモ膜下出血、脳梗塞など)による頭痛 ⑥ 物質(医薬品、一酸化炭素中毒、アルコール離脱など)による頭痛 ⑦ ホメオスターシス障害(睡眠時無呼吸、高山病、潜水病など)による頭痛 ⑧ 精神疾患(うつ病、心身症など)による頭痛これだけは意識しておきたい4つの危険な二次性頭痛
では、子どもの頭痛で注意した方が良い①〜④の二次性頭痛の原因を順番に説明していきましょう。 ① 感染症(髄膜炎、脳炎、敗血症など)による頭痛 感染症は、二次性頭痛で最も多い頭痛の原因です。みなさんも経験があると思いますが、高熱があるだけで頭痛を起こしますから、まず初めに子どもに発熱があるかどうかを確かめてください。また地域や職場、保育園などの生活環境の周囲で、インフルエンザなどの感染症が流行っていないかどうかも重要な判断材料になります。夏季でしたら、プールなどで感染しやすいプール熱(咽頭炎=のどの痛み、結膜炎=目の充血、39℃前後の発熱が、数日から1週間続く症状続くとされ、アデノウィルスが原因と考えられる)などにも注意が必要です。 感染症が進行して、髄膜炎、脳炎を起こす場合もあります。発熱と頭痛が改善しないとき、意識がもうろうとしている、けいれんがある場合は、専門医療機関を受診してください。 ② 頭頸部外傷・傷害(頭部の打撲、むち打症など)による頭痛 外傷は親の知らないところで受傷している可能性があります。たとえば、子どもが公園に行ったとき、実は鉄棒から転落していることも……。「頭が痛い」と子どもが言ったときに、「いつから?」「どのようなときに?」「どの程度?」といったことを聞いてあげてください。 また乳児や幼児の場合は、自分で状況をうまく説明できませんから、可能な限り受傷したときの状況、観察をメモなどにとっておき、医師に説明できるようにしておくことも大事です。 ③ 非血管性頭蓋内疾患(てんかん、低髄圧症、脳腫瘍など)による頭痛 てんかんそのものは、頭痛を起こすことは少ないのですが、てんかん発作後に頭痛が残る場合があります。また非常に稀ですが、脳腫瘍を起こしている場合もあります。小児に多いとされている脳腫瘍は、神経膠腫、胚細胞腫瘍、髄芽腫、頭蓋咽頭腫などです。いずれにしても、強い頭痛が続く場合は脳MRIなどによる画像検査が必要になることもありますので医療機関を受診してください。 ④ 眼・耳・鼻・歯・口などの障害による頭痛や顔面痛 子どもは正確に自分の痛いところを説明できません。よって、眼・耳・鼻・歯・口などに異常がある場合にも「頭が痛い」と言うことがよくあります。 この中に含まれる病気は、たくさんの種類がありますが、子どもに比較的多い頭痛は、歯痛、口内炎、中耳炎、副鼻腔炎などが上げられます。また、眼の病気はメガネの矯正や屈折がうまく合わずに頭痛を起こすこともよくあります。 子どもの頭痛には、希ですが「二次性頭痛」の可能性があります。これら二次性の頭痛は、病気によって治療法が異なるので、子どもの様子を見て「おかしいな」と思ったら医療機関でご相談ください。“お口ポカン”を放っておくとこんな問題が起きてしまう!?
日本の子どもの約3割がお口ポカン
子さんがよく口を開いたままの状態でテレビを見たりゲームしていませんか?こんな様子をよく見かけたらちょっと注意が必要です。 「お口ポカン」と呼ばれるこの状態は「口唇閉鎖不全」(こうしんへいさふぜん)とよばれ、口腔機能発達不全症の一種です。口周りの筋肉が十分に発達していないと、常に口を閉じることができずにポカン口を引き起こします。ポカン口でいるとさらに筋肉の発達が遅れ、口唇閉鎖不全が悪化するという悪循環に陥ってしまうこともあります。 また、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などによって慢性的に鼻が詰まっていると、口呼吸となり、舌の位置が低位になる原因になります。舌が低位になると、上あごに舌圧がかからないため、上あごの側方への発達が不十分となり、顎が狭くなることがあります。 新潟大学と他の研究機関が行った日本での初の全国規模の疫学調査により、「お口ポカン」(口唇閉鎖不全)の有病率についてのデータが報告されています(全国66の小児歯科医院で定期的に受診している3歳から12歳までの子ども3399人を対象に実施)。 研究の結果、日本の子どもたちの実に30.7%が日常的に「お口ポカン」の状態を示していることがわかりました。この状態は年齢とともに増加し、地域による差は認められませんでした。お口ポカンにはこれだけの問題が生じる可能性
お口ポカンはいったいどんな問題を引き起こすのでしょう。指摘されている問題をまとめてみます。発音の問題
口唇閉鎖不全により、特に爆発音(「ぱ」、「ば」、「ま」などの音)を正しく発音するのが困難になります。これは唇が完全に閉じないために必要な気圧が確保できないために生じる構音障害です。食べ物や飲み物の漏れ
唇が完全に閉じないため、食べ物や飲み物が口の外に漏れることがあります。これは特に流動性の高いもの(スープや飲料など)を摂取する際に生じます。唾液の漏れ
口を閉じることが困難な場合、よだれが出やすくなります。口腔衛生の問題
口唇閉鎖不全により口腔内が乾燥すると、細菌が繁殖しやすく、むし歯や歯周病のリスクを高めます。また、口内炎や他の歯肉の病気の発生率が高くなる可能性もあります。睡眠中の問題
口唇閉鎖不全により睡眠中に口が開いた状態でいると口呼吸となり、睡眠の質の低下を招きます。さらには、無呼吸症候群などの呼吸関連のリスクが高まる可能性があります。顔の筋肉への影響
口唇閉鎖不全症は顔の筋肉の機能不全やアンバランスをもたらします。これにより、顔の表情が不自然になったり、他の口腔機能(咀嚼や嚥下など)に困難さや機能不全を引き起こすことがあります。 お口ポカンはこのように日常生活に大きな影響が考えられるため、気が付いたらなるべく早く耳鼻科や歯科などに相談した方がいいでしょう。継続的な管理と日常的なケアによって症状の改善につながることがあります。お口ポカンの改善策のおすすめは鼻水吸引器
お口ポカンの状態では、どうしても口呼吸をすることが多く、むし歯、歯周病、風邪、インフルエンザ、アレルギー、歯列不正、睡眠時無呼吸症候群など、様々な悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。お口ポカンの原因、状態やそのレベルによってもアプローチはさまざまですが、いくつかの対処方法を紹介します。 <アデノイド肥大の場合> 鼻の奥にあるリンパ組織のアデノイド肥大などで鼻閉をおこしているのであれば、薬物治療や手術の治療など、耳鼻科による治療が必要な場合があります。 <口腔筋機能訓練も可能> 歯列を取り巻く口腔周囲筋の機能を改善する口腔筋機能訓練(MFT)などを推奨している歯科医療機関もあります。 <鼻水対策での改善> お口ポカンの大きな原因の一つとして考えられる鼻水や鼻づまりにはいくつかの有効なケア方法があります。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などが原因でお口ポカンとなっている場合は、医療機関を受診しアレルギー症状の薬物治療が必要です。また、薬局や処方される点鼻薬や鼻スプレーも有効です。しかし、あまりお薬を頻繁に使いたくない場合の日常的なケアにはご自宅での鼻水吸引が有効とする耳鼻科医や歯科医も少なくありません。家庭での細かなケアで、鼻水、鼻づまりの状態を改善し、お口ポカンを少しでも良くすることが可能です。 鼻水吸引器は、赤ちゃんやお子さまの鼻詰まりを解消するために直接鼻の中の粘液を吸引する道具です。鼻づまりによる口呼吸の悪影響を防ぐことで、お口ポカンだけではなく、風邪の悪化を防ぐことができます。さらには鼻水や鼻づまりの初期段階で症状を改善することで、中耳炎や副鼻腔炎などの予防にもつながります。 特に、小さいお子さまは自分で鼻水がかめません。鼻水には細菌やウイルス、花粉、ハウスダストなどの病気の素が含まれているため、鼻水吸引器を使って体外に追い出すことで治りを早めることができます。使用する際はお子さまの鼻に傷をつけないように注意しながら優しく吸引してあげてください。 手動、電動、据え置きタイプ、ハンディータイプなどバラエティーに富んでいます。それぞれ長所、短所がありますので、一番使いやすいと感じた使いやすいものを選べばよいでしょう。
保険収載となった”お口ポカン”
お子さまのお口の健康な発達はとても大切なことです。最初に紹介した新潟大学などの研究によって、お口ポカンの病態解析や疫学的な実態も解明されてきています。こうしたエビデンスを受けて“お口ポカン”に関する検査や治療に関して保険収載が行われています。口腔機能発達不全症
咀嚼や嚥下、構音機能が十分に発達していない15歳未満の小児を対象に、2018年から歯科保険に収載されています。2022年には保険適応の対象年齢が15歳未満から18歳未満と拡大されました。口唇閉鎖力検査
2020年4月の診療報酬改定により、「小児口腔機能管理料」「小児口唇閉鎖力検査」が新設され健康保険の対象となりました。まとめ
お口の健康は、「食べる」、「話す」、「呼吸する」という、生きていくために重要な機能を維持するためにとても大切なテーマです。日常の何気ないお子さまの行動や表情、様子などから早めに体のサインを読み取ることができれば、お子さまの健やかな成長を助けてあげることができますので、ぜひ本記事を参考にしてみてください。間違いなし!赤ちゃんのスキンケア用品の選び方と使い方
【第3回】赤ちゃんにおすすめのスキンケア製品と使用方法
赤ちゃんの肌は非常にデリケートで乾燥しやすいため、普通のスキンケア用品選びよりもさらに慎重さが求められます。見た目やネーミング、価格だけで選んでしまい、さらに間違った使い方をすると結果的に大きなマイナスになります。以下に、スキンケア用品を選ぶ際に考慮すべきポイントや上手な使い方をまとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。基本は無添加・低刺激の製品がベスト
赤ちゃんの敏感な肌には、無添物で、極力低刺激の製品を選ぶことが重要です。アルコールや香料、着色料などの刺激物が含まれている製品は、赤ちゃんの肌に負担をかけるので避けるべきです。アルコールは肌を乾燥させることがあり、香料はアレルギーや刺激に繋がります。また界面活性剤やパラベンなども極力避け、肌に優しい成分を選ぶことが大切です。天然製品やオーガニック認証を受けた製品は、肌に優しく赤ちゃんにも安心して使用できることが多いといえます。 製品を選ぶときには成分表に注意しましょう。あくまで天然由来の成分を使用した製品や、「無添加」「低刺激」と謳われている製品を選びましょう。もしわからない場合はドラッグストアやベビー用品店で、専門のスタッフに相談するなどして、これから使う製品のことを理解しておきましょう。皮膚科や小児科クリニックなどで販売されている製品は、臨床テスト済みで安全性が高く推奨されるものがあります。例外もありますが比較的信頼できるものが多いです。乳液、クリーム、オイルにはそれぞれの特徴がある
赤ちゃんの保湿のために使うスキンケア製品には、主に、ベビーローション(乳液)、ベビークリーム、ベビーオイルといった異なるタイプがあり、各特徴を理解して上手に活用することが大切です。ベビーローション(乳液)
軽い使用感で、水分と油分のバランスがよく配合されています。日常的に使いやすく、赤ちゃんの肌に負担をかけずに潤いを与えるのに適しています。比較的乾燥が少ない季節や、保湿が必要なシーンで手軽に使えます。ベビークリーム
乳液よりも油分が多く、保湿力が高いため、特に冬場や乾燥しやすい顔やひじ、ひざ、足首などに向いています。 保湿効果が長時間持続するため、夜寝る前のケアに最適です。ベビーオイル
オイルは高い保湿力と肌を柔らかくする効果があり、入浴後や乾燥が気になる部分に使用したり、マッサージにも適しています。保湿剤はどんな時に使えば効果的?
最もおススメはお風呂上がりのタイミング
保湿剤を使用するタイミングとして、入浴後が最も効果的です。お風呂上がりの肌は、水分が蒸発しやすく乾燥しがちです。すぐに保湿剤を入れることで潤いを閉じ込めることができます。また、空気が乾燥している季節や、肌の乾燥が気になる時も、こまめに保湿することが大切です。 特に冬場は一日に何度も保湿剤を塗ることをおすすめします。適量と塗り方のコツ
保湿成分入りの製品は、少なくすぎると保湿効果が十分に発揮されず、多すぎると肌がベタついてしまいます。ゴシゴシと擦ってしまわないように注意しながら、優しく塗布していきます。 特に乾燥しやすい部分には、少し多めに塗ってあげると効果的です。顔や体の部位ごとの塗布の際の注意点
顔や体の部位ごとの、保湿剤の塗り方を変えることも大切です。顔は特に敏感な部分なので、目や口などに入ってしまわないよう、少量をゆっくりと、注意しながら塗布してあげましょう。また、ひじやひざ、足首などは乾燥しやすい部分には、重点的に保湿を行いましょう。赤ちゃんにおすすめの3つの保湿成分
赤ちゃんにおすすめの保湿成分の働きとして3つのタイプがあります。成分表などを確認する場合に参考にしてください。 ① うるおいを与える グリセリン、ヒアルロン酸、アミノ酸(ベタインなど)など ② うるおいを保持する セラミド、コレステロールなど ③ うるおいを閉じ込める ワセリン、スクワランなど 赤ちゃんの肌の状態を確認して、一番合った成分が入っているものを選んであげるのも良いかもしれませんね赤ちゃんに優しいベビーソープの選び方
赤ちゃんの肌を清潔にするためのベビーソープ選びも、意識して行う必要があります。 洗浄力が強すぎると必要な皮脂まで洗い流してしまい、逆に肌トラブルの原因となりかねません。固形石鹸と液体ベビーソープの違い
固形石鹸と液体状のベビーソープはどちらも体を洗うためのものですが、それぞれに特徴があります。石鹸は原料が天然由来の洗浄液で、シンプルな成分で作られていることが多く、特に固形タイプの石鹸は、泡切れが良く、汚れ(皮脂)をしっかり落としてくれるという特徴があります。皮脂の分泌が多い、生後1カ月〜3カ月までの赤ちゃんにおすすめです ただし、保湿成分が含まれていなかったり、アルカリ性のものが多いので、乾燥を防ぐために、洗った後はしっかりと保湿をしてあげることが大切です。 液体状のベビーソープはその成分によって皮膚の汚れや余分な油分を効果的に取り除くことができる高い洗浄力があります。赤ちゃんの肌と同じ弱酸性の成分で洗い上げるものが多く、他にも保湿成分など、赤ちゃんの肌のことを考えた成分が多く含まれているものが多くなっています。ただし、洗浄力の強い成分や合成保存料が使われている場合があるので注意が必要です。しっかりと肌に優しい成分が使われているか確認しましょう。pHバランスの考慮
赤ちゃんの肌は中性に近く、外部からの刺激に対して非常に敏感です。 そのため、洗浄液を選ぶには、良いpHバランス(弱酸性)のものを選ぶことが重要です。これにより、肌の自然な保護バリアを守りながら、少しの汚れや皮脂を優しく洗い流すことができます。 赤ちゃん用にpHバランスが調整された製品を選ぶことが、肌トラブルを気にするポイントです。こんなスキンケア製品も有効に使いましょう
ベビーパウダー
ベビーパウダーの原料はコーンスターチと滑石(かっせき)と呼ばれる成分がほとんどです。コーンスターチは余分な水分を吸収し、乾燥すると放出することから、肌の水分バランスをキープします。また滑石は皮膚の表面を均一にして皮膚同士の摩擦を少なくすることであせもや肌荒れを防ぐ効果があります。 毎回のおむつ交換時、あるいは湿ったおむつに長時間さらされた時など、必要に応じて使用しましょう。湿って汚れた赤ちゃんのおむつを素早く交換し、少量のベビーパウダーを注意深く塗布しましょう。この時、赤ちゃんが吸い込んでしまうと呼吸に問題を引き起こすおそれがありますので赤ちゃんの顔にパウダーを近づけないようにしましょう。おむつかぶれクリーム
ベビーパウダーは塗り過ぎて固まってしまうと刺激物になってしまいますので、おむつかぶれを起こしているときは、保湿成分の多いおむつかぶれクリームがおすすめです。ベビーシャンプー
赤ちゃんの髪や頭皮を優しく洗うためのシャンプーです。目に入ってもしみにくい成分で作られており、頭皮の乾燥や刺激を防ぐ低刺激なものがおすすめです。ベビーリップクリーム
赤ちゃんの唇の乾燥を防ぐためのリップケア用品です。低刺激で無香料のものが多く、冬場や乾燥季節にするために特に役立ちます。保湿バーム
ワセリンやミツロウなどに、栄養成分をプラスした軟膏タイプの製品で、特に乾燥がひどい部分に塗るための濃厚な保湿剤です。※ミツロウは基本的には高熱処理を加えているため安全ですが、ミツロウ配合の保湿剤をご使用の際は製品情報をご確認下さい(蜂蜜と同様にボツリヌス菌が残存している可能性は0ではありません)。
日焼け止めクリーム
外出の際、特に日差しの強い場所で赤ちゃんの肌を紫外線から守るためには日焼け止めクリームを使います。敏感肌用で、酸化亜鉛や二酸化チタンなどの物理的な紫外線散乱剤が配合されているものがおすすめです。さらに無添加の、汗や水に強いウォータープルーフタイプを選ぶといいでしょう。赤ちゃんのスキンケアで注意すること
当たり前のことですが、赤ちゃんのスキンケアの基本として、まず自分の手や服などの汚れを落とし清潔にしてから赤ちゃんに触れましょう。また、新しい製品を使う際は、刺激がないかどうか、アレルギー反応が出ないかどうかを、肌の一部でパッチテストをして確認しましょう。 もし赤ちゃんお肌に赤みや痒みなどが出たら、すぐに使用を中止し、小児科か皮膚科を受診することをおすすめします。 赤ちゃんのスキンケアは、健やかな成長を促すためにとても大切です。適切なスキンケアを行うことで、乾燥や肌トラブルを防ぎ、将来の健康なお肌を作ってあげることにも繋がります。※この文章は一般的な情報であり、個々の赤ちゃんに当てはまるとは限りません。赤ちゃんの肌の状態や、気になることがあれば、必ず専門家や医師にご相談ください。
どうして赤ちゃんのスキンケアがそんなに大切なの?
【第2回】赤ちゃんの肌トラブル:対処法&予防法
赤ちゃんのお肌は非常に敏感で、さまざまな肌トラブルに見舞われることがあります。 今回は、赤ちゃんによく見られる肌のトラブルについて、簡単な説明と対処法、予防法について説明します。おむつかぶれ
おむつを長時間替えていないとき、下痢をしているときなどにおしっこやうんちが長時間触れているときなどにお尻や太ももの内側などに起きる皮膚の炎症です。かゆみのある赤み、ぶつぶつ、場合によっては水ぶくれやびらんを伴うこともあります。高品質のおむつでも、こまめに替えないとお尻がふやけて傷付きやすくなります。さらにそこに排泄物などの刺激や摩擦が加わると、おむつかぶれが起きやすくなります。対処法
軽い赤みであれば市販のワセリンを塗って、刺激から肌を守りましょう。ワセリンを塗っても治らないとき、下痢が続いていて悪化したとき、症状がひどいときなどは小児科か皮膚科を受診しましょう。予防法
おむつはこまめにチェックし、濡れていればすぐに交換します。うんちをしたあとに時間があれば、お尻をシャワーやぬるま湯をたっぷり含ませたティッシュなどで拭いてあげるとさらに効果的です。おむつ交換時には、肌を優しく清潔に拭き、自然乾燥させてからから新しいおむつをつけるとムレにくくなります。また、ワセリンなどの保護クリームを使えば刺激から肌を守ってくれます。普段から通気性の良いおむつを選び、時々おむつをはずして皮膚を空気に触れさせる時間を持たせると効果的です。よだれかぶれ
よだれによって口のまわりが炎症を起こして赤くなったりブツブツができたり、場合によっては肌が乾燥してカサカサになることもあります。赤ちゃんにとってよだれはつきものですので、慌てることはありません。対処法
赤ちゃんの口周りを清潔に保ち、保湿してあげると、症状は徐々に治まっていきます。食事の後は、軽く押さえるようにして、濡らした柔らかいタオルでやさしく口周りを拭きましょう。口周りを拭いた後は、ワセリンなどの保湿剤を塗って肌を保護しましょう。症状が改善しない場合は小児科や皮膚科を受診しましょう。予防法
よだれや食事の後の食べかすをこまめに拭きとって、ワセリンなどの保湿剤を口の周りに塗っておくことです。口の周りを拭くときはティッシュやガーゼでこすらず、少し濡らしたものでやさしく押し拭きするよう気を付けましょう。ゴシゴシこすると肌を刺激してしまいます。拭いた後はそのままにしておくと肌が乾燥してしまうので保湿剤を使うといいでしょう。汗疹(あせも)
汗を出すための汗管の出口が塞がれ、汗が皮膚の内部に閉じ込められることで起こる発疹です。小さな赤いぷつぷつとした形状が特徴です。かゆみやチクチクとした軽い痛みを伴う場合もあります。暑い季節や室内が暖かすぎる時、特に首周り、胸、背中などに発生しやすくなります。対処法
赤ちゃんにこのような症状が現れたらシャワーで流して拭いて、皮膚を清潔にして、涼しい環境で過ごさせましょう。自然によくなっていきます。すでに炎症を起こしていて、かゆみや痛みがひどく不快感を示しているのであれば小児科か皮膚科への受診をお勧めします。予防法
汗による症状なので、気温や湿度に応じて、通気性の良い衣服を選びます。また、室内の温度と湿度を適切に保ち、赤ちゃんが汗をかきすぎないようにします。さらに汗や汚れを優しく洗い流し、清潔に保つために定期的なシャワーや入浴も大切です。乾燥肌
赤ちゃんの皮膚は水分を保持する能力が低いため、特に冬場に乾燥しやすく、赤みやかゆみ、粉をふくことがあります。 肌を触ってみてザラザラ、カサカサ感を感じたら、バリア機能がうまく働かず水分が逃げてしまって、乾燥気味になっているサインです。発生しやすいのは冬場の乾燥する季節や、室内の暖房によって湿度が低下した環境でよく見られます。顔や手足の露出部分、体の開放部に多く発生します。対処法
まずは部屋の保湿、加湿器で部屋が乾燥しすぎないようにします。さらに赤ちゃんのお肌を清潔に保つことです。薄い皮膚を傷つけないようにやさしくぬるま湯で洗ってあげましょう。なるべく肌への刺激が少ない弱酸性のボディソープや石けん、ベビーソープを使用してやさしく洗ってあげてください。スポンジやタオルを使うと肌に刺激を与えるおそれがあるため避け、柔らかなガーゼや手のひらで洗いましょう。洗った後にはやはり保湿クリームなどを塗っておきましょう。予防法
日ごろカサカサになる部分だけではなく、全身にたっぷりと保湿効果のあるベビーオイルやベビーローション、クリームなどを塗り、常に保湿されている状態を作ってあげましょう。 ベビーローションで水分、ベビーオイルで油分をバランス良く補給し、乾燥しやすい部位には油分が豊富なクリームを重ね付けするなどすると一層効果的です。普段から加湿器を使って室内の湿度を適切に保ち、刺激となる長時間のお風呂や熱いお湯は避け、ぬるま湯で短時間の入浴にすることもいいでしょう。かぶれ(接触皮膚炎)
特定の物質に対する刺激反応やアレルギー反応により、皮膚に湿疹が出現する状態です。化粧品や洗剤、柔軟剤など、特定の化学物質に接触したときに、接触部位に発生します。対処法
濡れタオルや保冷剤、冷やしたガーゼなどで患部を冷やすと赤ちゃんの不快感は少なくなることがあります。ヒリヒリや刺激感があれば、低刺激の洗浄剤で優しく洗い落したり、ワセリンなどを用いた保湿も重要です。症状が軽い場合は数日で完治することもありますが、症状が改善しない場合や長期間続く場合は小児科か皮膚科への受診をおすすめします。予防法
刺激性のある化学物質や繊維などから肌を守るために、日ごろから赤ちゃん用の製品をきちんと選ぶことが大切です。また、洗濯物は洗剤が残らないように十分にすすぎ、柔軟剤の使用は控えめにします。 新しい衣類は着用前に必ず洗濯し、肌に直接触れることが少なくなるようにします。 これらの予防策を日常生活に取り入れることで、かぶれの可能性をかなり少なくすることができます。乳児脂漏性皮膚炎
皮脂分泌の多い生後3~4週間ごろ、皮脂の分泌が盛んな頭部、眉間、顔面、耳のまわりなどにできはじめます。症状はカサカサしたものから黄色っぽい脂っぽいかったかさぶたができるなどさまざまです。皮脂の分泌が改善する生後3か月ごろより自然と症状は治まります。対処法
基本の対処法は1日1回、頭や体をお風呂できれいに洗って、保湿することです。石鹸の洗い残しはかぶれの原因になるのでしっかりすすぎましょう。かさぶたは、ベビーオイルなどでふやけさせてから洗うと効果的です。たいていの場合は自然に治っていきますが、かゆみがひどい場合や、1~2カ月たってもなかなか治らない場合は小児科あるいは皮膚科を受診してください。予防法
おでこや頭部の余分な皮脂は毛穴詰まりの原因になりますから、まずは日ごろから頭皮やおでこをきちんと洗い、余分な皮脂をきちんと落としてあげることが重要です。赤ちゃん用のヘアシャンプーを使って指の腹でしっかり洗いましょう。デリケートな赤ちゃんの肌はこすらずやさしく洗うのが大原則ですが、頭皮はある程度ならゴシゴシ洗いも大丈夫です。過剰な皮脂汚れをきちんと落とすことが大切です。アトピー性皮膚炎
皮膚バリア機能の低下をきっかけに、慢性的な炎症を起こす皮膚の病気です。激しいかゆみや湿疹、皮膚の厚みが増すことなどが特徴です。生後数カ月から顕著になることが多く、顔(特に頬)、首、肘の内側、膝の裏などの屈曲部に起きやすいのが特徴です。赤ちゃんの場合、成長とともに湿疹は改善していく場合が多いのですが、小児期になってもなかなか治らない、あるいは成人型のアトピー性皮膚炎に移行することもあります。対処法
入浴後や洗顔後すぐに、肌に優しい保湿剤を塗ることで、肌の水分を保持します。強い洗浄力のある石鹸は避け、赤ちゃん用の低刺激の洗浄料を使用し、丁寧にすすぎます。また、室内の湿度を適度に保つことが大切です。特に冬場などは加湿器を使用することが効果的です。 刺激的な衣料や洗剤、柔軟剤は使用を避け、肌に優しい素材の衣類を選びます。 症状が改善しない場合や、日常生活に支障をきたすほどの症状が見られる場合には、なるべく早めに専門の医師によるアドバイスを求めましょう。予防法
最近の研究で、新生児からスキンケアを行い良い状態の肌を保つことで、アトピー性皮膚炎の発症リスクは3割以上低下するというレポートもあります。 また、家庭内のダストやペットの毛など、アレルゲンになり得るものを控えるようにし、アレルギーを引き起こす食品に注意し、栄養バランスの良い食事も大切です。小児ニキビ
思春期や大人のニキビ、赤ちゃんのニキビはどれも皮脂腺の活発化が原因の一つですが、小児ニキビは主に生後数週間から数年発生します。特に新生児ニキビは、生後2〜3週間で出現することがあります。対処法
沐浴やお風呂などで皮脂の汚れを落とす、肌に合った赤ちゃん用の石鹸で優しく洗う、すすぎをしっかり行うことがおすすめです。新生児ニキビは通常特別な治療を必要とせず、数週間から数カ月で自然に消えます。 重要なのは、赤ちゃんの肌を清潔に保つことです。予防法
常に皮脂などの汚れに注意して肌を清潔にするように心がけてください。まとめ
赤ちゃんの肌のトラブルは、これまで説明したようなスキンケアによる予防策を日常生活に取り入れることで、最小限に抑え、快適な育児環境を整えることができます。まとめると次のようなポイントになります。 ✔ 乾燥肌:保湿クリームやオイルの使用 ✔ 湿疹:清潔を保ち、刺激を避ける ✔ あせも:こまめに汗を拭き、服装に気をつける ✔ おむつかぶれ:おむつ交換の頻度を上げ、保湿クリームでケア ✔ アトピー性皮膚炎:日常のスキンケアを徹底し、早めに医師の指示を仰ぐ しかし、赤ちゃんの肌にブツブツやジクジクしているところがあったり、症状が長期にわたり改善しない場合、特に発熱が続いている場合などは他の疾患が隠れている場合もありますのでなるべく早くかかりつけ医へ受診をしてください。どうして赤ちゃんのスキンケアがそんなに大切なの?
【第1回】赤ちゃんの肌の特徴とスキンケアの重要性
赤ちゃんのお肌はぷっくりしていて見るからに健康そう。大人のようにスキンケアなんて必要ないのではと思ってしまいがちですが、実は予想以上にデリケートでこまめなケアが必要です赤ちゃんの肌は想像以上にデリケート
生まれたばかりの赤ちゃんのお肌は、大人のようにしっかりとしたバリア機能ができていません。発展途上の皮膚なのです。そのため、外部刺激を受けやすく、乾燥しやすいため、適切なスキンケアが大切です。バリア機能の未発達
赤ちゃんのお肌の特徴を簡単に紹介すると、まずバリア機能が未発達であることが挙げられます。 皮膚は表皮(ひょうひ)・真皮(しんぴ)・皮下組織(ひかそしき)の3層から構成されています。