すぐに連れていかなくてもいい?赤ちゃんを病院に連れていく目安とは
赤ちゃんに咳や鼻水、発熱などの症状がみられると、なるべく早く病院やクリニックを受診すべきと考える方もいますが、実は症状によっては数日様子を見ても問題ありません。
発熱後すぐに受診しても原因を確定するのは困難なので、赤ちゃんの状態を確認して、必要なときにのみ受診することが大切です。
病院へ行く目安
診療時間外に赤ちゃんが発熱しても、すぐに救急を受診する必要はありません。水分や食事、睡眠をとれていて、それほど機嫌が悪くなく、発熱しているが夜は眠れている、あやすと笑う、遊ぼうとするといった場合は、診療時間になるまで様子を見てもよいでしょう。
休日や夜間などの救急受診の判断基準
赤ちゃんに以下の症状がある場合は、休日や夜間などでも救急を受診することが大切です。
発熱
・生後3ヶ月未満での38°C以上の発熱
見た目
・無表情であやしても笑わない(いつも興味を示すものに興味を示さない)
・何をしても機嫌がよくならない
・ぐったりしている、反応が悪い
・嘔吐する(噴水のように強く吐く、飲むのと吐くのを繰り返す)
・苦しそうに泣く、泣き方が弱い
・呼びかけに反応しない、しゃべらなくなった
・発熱が無いのにけいれんした場合。発熱がある場合でも5分以上続く時や、5分以内でも2回以上繰り返すけいれん
呼吸
・呼吸が苦しそう
・小鼻がヒクヒク
・肩で息をしている
・咳き込んで何度も吐く
・水分もとれない
・ケンケンと犬が吠えるような咳をする
血のめぐり
・呼吸が苦しそう(小鼻がヒクヒク、肩で息をしている、咳き込んで何度も吐く、水分もとれない)
・顔が青い、白い
・手足がいつもよりも異様に冷たい、白い
・皮膚がまだら色、紫色になっている
・冷や汗が出ている
身体を強く打った
・頭を強く打った後にすぐに泣かなかった、何度も吐く、意識がもうろうとしている、打ったところがブヨブヨしている、血が止まらない、けいれんが起きた
・腹部を強く打った
・手足を強く打った後にその部分が腫れているか、動かさないか、変形している
・やけどをした場合、特にその子の手のひら以上の面積のやけどの場合は必ず受診。
また、全身が真っ青になっている、呼吸ができていない、呼吸が止まっている、痛みなどの刺激に対して反応を示さない、眠ってばかりいる、けいれんが5分以上続いているといった場合はすぐに救急車を呼びましょう。
救急車を呼ぶかどうかを含め受診の判断に迷う場合は
「子ども救急電話相談(電話番号:#8000)」を利用してください。
病気の時の自宅ケア
最初は単なる発熱でも、後から救急受診の必要性が高い症状が現れる可能性もあるため、注意深く観察することが大切です。発熱が持続している場合、嘔吐や母乳・ミルクの飲み、食欲、息苦しさ、反応はあるか、機嫌、よく眠れているかなどを観察しつつ、次のようにケアしてください。
・こまめに水分補給をする
・汗をかいたときは拭いてあげる、着替えさせる
・悪寒で寒がっている時は適宜保温。熱が高く本人が辛そうな時は、やや涼しい状態にしてあげましょう。本人が嫌がらないようなら、氷枕やアイスパックなどで冷やしてもかまいません。
上記の受診を要する症状がなくとも、保護者の方が大きな不安を抱えているような場合は、一度受診しておくとよいでしょう。
大人とは違う?小児科診察の特徴
流れを紹介しますね!
① 小児科のナースは受診する前に、問診表に記載されていたものを確認します。
【受診時に医療従事者が何を知りたいのか】
► 今までの病気や治療、入院したことがあるのか、何かお薬をのんでいるのか。
► 母子手帳に記載されている妊娠から出産、周産期と呼ばれる次期に入院や手術歴など
► いつから症状があるのか。
これはまた別途各症状についてのところでお伝えします。
► 周囲の流行情報
► 予防接種歴
► 保護者からの何か変
時には医療者の視点だけでは気づかないこともあります。医療者は重症なのかの判断はできますが、常にその子を観察している訳では無いので、保護者が見る元気と医療者が見る元気は違いますよね。その元気一つとってみると、実は保護者がいつもと違うんですとか、何となく機嫌が悪いとか、何となく元気がない気がすると言ったあとに、その日の夜から発熱したとか、口の中に口内炎があったとか、っていうことはよくあります。
なので何か変と、いつもの様子を見ている人が気づきほうこくしてくれることはとても重要です。
► 診察前の状況の確認
診察時には怖くて泣いてしまったりするお子さんもいます。そのため、待合いにて、保護者がどのようにかかわっているのか、笑顔や活気はあるのかということを小児科のナースは観察しています。
② 身長・体重(半年頃までは頭囲・胸囲測定)
特に、新生児から乳児にかけては、ミルクや母乳の飲みが良好か、身長と体重を主に測定しています。
また、必要時には頭囲や胸囲も測定しています。
全身裸になるのもこの時なので、全身の肌の状態(発疹があるか、カサカサはどうか)など、アザなどが無いか確認をしています。
小児科の診察前や診察時など、沢山全身状態を見る機会があります。そのため、ベビーちゃんの場合のお洋服は着脱しやすいマジックテープのものだと保護者の負担も無くなると思います。
③ ドクターの診察
月齢によって、ドクターが診る視点というのは変わります。小児科では、成長発達過程が著しく月齢によっても違うため、月齢に合った診察を行います。
初めて診察するお子さんは、基本頭~足の先まで全身状態を確認していますね。また、症状によっても見る部位なども変わってきます。
なるべくお子さんが泣いてしまうと診察が出来ない部位があったりしますので、お口の中を見たり注射などの嫌がることは最後に行います。
処置の時に中に保護者が中に入れないのはなぜ?
これは、採血などの処置の時に保護者が中に入れないのはなぜ?という質問です。これはかなり多くの保護者からの質問を受けます。
結論ですが、病院によっては入れる入れないは違うということ!
正直、病院やナースの考え方で、一概にどちらがいいとは言えないこと。
ちなみに私が働いていたクリニックは採血時に保護者も中に入ってもらっていました。
その理由として、保護者と離れることに恐怖を覚えているお子さんも多く、意外に保護者がいて応援してくれれば、頑張れるお子さんも多くいます。保護者の方も、中に入れなくて何をされているのか分からず、我が子の泣き声だけ聞こえる状態にトラウマになったという研究もあり、そういった意味では、ある意味採血をすることは難しい手技だったり、医療従事者も頑張っていることを見てもらうことも、信頼関係を作るうえでは重要と考えていました。
実際に自分の子供が入院した際に、いつの間にか沢山の針跡を見た時に、難しかったんだと思いながらも、医療従事者への不信という思いも少なからずありました。自分の子供が一番大切ですからね。
保護者にも動くため危ないので、しっかり固定させてほしいという旨伝え、バスタオルでぐるぐる巻きにしして、保護者に上から「ぎゅー」っと抱きしめてもらい、腕はナースが抑え、もう一人のナースが採血をするという形をとっていました。
また、理解があるお子さんと保護者の場合には、保護者と向き合って抱っこしてもらい採血をすることもしていました。
採血が「意地悪をしていること」ではなく、治療としてしっかり必要なこととしてしっかり伝えることと、なるべく早くこの恐怖の時間を終えることができるように協力をいただくことを目的に中に入ってもらいました。
ナースサイドから見たら、緊張するということでもありましたが、それは慣れでもありますし、見ている見ていないに関わらず、同じ手技をしているまでであるので、あまりにももうナースでは無理!となったら、ドクターにお願いすることもしていました。でもその緊張の中行うと、ナースの手技はとても爆上げするんですよね。私はそのように採血が得意になるナースを育てていました。とはいっても、血が苦手や我が子の痛がる姿を見ていられないという方もいますので、その場合には保護者の意見を尊重していました。
採血時に保護者に外で待っててもらう場合は?
病院によってはまだ外で待っていてもらう場合も多いようです。私も過去の病院ではそのようにしている所が殆どでした。
その理由に、保護者は近くにいるのに助けてくれなかったと思うことや、保護者との時間に辛い思いを共有してほしくないという思いで外でお待ちいただくということをしています。
ご自身のお子さんが採血や処置をする際に、中に入りたいですか?外で待っていたいですか?
選べるようになったら良いなと個人的には思っています。
よくあるのが・・・
「せっかく来たのに、予約で埋まっていてみてもらえなかった」
「一般診療と予防接種の時間に分かれているため、 予防接種の時間に行ってしまったら熱ではみてもらえなかった」
「夏休みでやっていなかった」
私が以前働いていた小児科クリニックでは、一日に150人位の患者さんが来ており、なるべく制限はしたくないものの、緊急時以外制限をせざるを得ない状況だったりしました。特にワクチンの場合には、1週間単位で在庫や入荷本数など計算したりしますので、余分に確保しているもののワクチンの種類によってはすぐには受けられないこともありますので余裕をもって予約をした方がよいです。特に、2か月の予防接種開始時には、産まれたらすぐに予約を取らないと取れない場合もあります。
朝イチの予約枠を開示する同時に予約が埋まってしまい、朝イチなのにこれだけの人数が来たら夜中になってしまう・・・なんて時もありました。
必ず、受診前に受診する先の診察時間や予約方法などの情報を確認した上での受診をしてくださいね!
必ず必要な持ち物チェックリスト
これがないと受診できないので注意 ※保険証は無くても大丈夫だけど自費覚悟です。
母子健康手帳
ナースは何を見ているの?
産まれた時のこと、今の体重や身長の伸びやママの状態、初めてのワクチン接種以外の時には今までの予防接種歴、過去の病気など沢山の情報から、お子さんが今どのような状態にあるのかを見させてもらってるよ!
この情報からママやお子さんが何に困っているかを察知することもできる大切なものなんです。
医療証(市区町村によって違う)
これは受診時に無料になったりするよ。市区町村をまたいだりすると使用できないこともあるので、必ずどこの病院を受診するかも含めて事前に確認しておいてね!
健康保険証
医療証だけではなく、必ず健康保険証も必要になるよ!
ワクチン予診票
ワクチンを受ける際は必ず必要で、市区町村によっても対応が違う。
この予診票も市区町村によって異なりますので、任意接種以下外のものは市区町村から配布される予診票をもってきてもらう、もしくは病院に置いてあるものを使用できる場合など、様々。
問診票
今はオンライン上での問診が必要な場合が多いため、受診前にチェックを!
オンライン上の場合では事前に記載が必要無かったりゆっくり記入できるので便利ですよね。でもどちらにしても当日詳細や症状は聞かせていただいています。
紹介状
これは床以上の大きな病院を受診する際に必要な場合、また電話予約が必要なことが多い。
あった方がよい持ち物チェックリスト
これがなくても受診できるけど、無いと困るかも。理由と共にお伝えします!
~新生児から乳児編~
まず、受診する際に、【待ち時間】 があることを覚えておいてほしいです。
病院毎になるべく短縮する努力はしているものの病院によって、ドクターによって、症状によって、その日の混雑具合のよっても変わってきます。
オムツ・おしりふき
新生児なら特に、絶対必要なものですね。病院で購入できる場合もありますが、用意が無い場合もあるため、まさかのオムツパンパンで漏れちゃう!なんてことも良くあります!
ビニール袋
オムツを持ち帰りの場合が多いため、 おむつ用のビニール袋を用意しておくと良いです。他に色々使えるので、数枚持っておくと良いと思います。
ミルクまたは授乳グッズ
診察前には飲ませないが基本です。そのため、待ち時間が長いと、終わった後におなかを空かせているためとても不機嫌だったり、泣き止まないなんてことがあったりします。
特にワクチン注射後にそうなっていることが多く、ご褒美と落ち着かせるために、与えてから帰るママが多かったです。
お着換え
泣きすぎて吐く!おしっこやうんちが漏れる!何度となく私はそのようなお子さんを見てきましたので、あった方が良いと思います!
短肌着とか長肌着とかまでのお着換えは無くとも、おうちに帰るまでのお洋服はあった方がよいかもしれません。なぜなら、バスタオルでくるんでそのまま帰宅したお子さんを見てきたからです!
お薬手帳
産まれてから飲んでいるお薬や使用しているお薬がある場合には、教えてほしい情報になります。
よく使用しているけど、薬の名前やどれくらいの量なのかが分からない場合が多いため、正確な情報のお薬手帳は必需品です。
ハンドタオル
ミルクがこぼれた時や、涙を拭く時など、何かと便利です。
子供の食べ物の好き嫌いを直したい!
よく相談を受けます。確かに、全ての食べ物に偏りが無く食べるバランスは栄養面でもとても重要になります。
そもそも、食べ物が好きか嫌いかといつ決まるのでしょうか。
もちろん私も食べ物の好き嫌いある?と聞かれるとあると言います。でも赤ちゃんは好きか嫌いかなんて知りません。
実は、【保護者や保育者が子供が食べなくて残したものを見た時に、嫌いなの?】と聞いた時から始まると言われています。残した=嫌いなんだと認識するということです。
保育士や幼稚園教諭に聞くと、プロは声をかけないと言います。敢えてその事実に触れないということです。
人は一度「嫌」という感情になると嫌と認識してしまうんです。そこから好きに移行するのってとても難しい。
ではプロはどうしているのか?
もしかしたら「ニンジンが嫌い」かもしれないと思ったら、まず何が嫌なのかを観察をすると言います。
機能的
キノコやお肉など繊維などかみ切れない。魚やパンなど、パサパサして飲み込めない
感覚
形や色・見た目のこだわり・もし持ちが気持ち悪い・サクサクが痛く感じる
精神的
つっかえることや気持ち悪くなることへの不安。残さず食べることへのプレッシャー・食べることが嫌いになってる
子供の場合には主にこの3つが原因のことが多い。
そのため、毎回観察し、これなら食べれているけど、にんじん丸ごとは嫌なんだなと、子供の感情を大切にみていくことが必要なんですね。そうすると、ニンジンが嫌いではなく、ニンジンの味・触感・見た目が嫌なんだねという気持ちに共感して、これなら食べれるんだね!を沢山伝えれたらよいですね。
上記を踏まえると、好き嫌いは聞かない方がよい?
好き嫌いの2択にしない方がよいということですね。この食感は苦手なんだ、この見た目は興味がないんだ、今はただ遊んで観察しているんだ・・・と嫌いではなく、苦手や興味がないだけで、勝手に保護者や保育者が好きか嫌いの2択にしたら幅は狭まってしまう。
食べられない理由=感情的なもので本人の努力によってなんとかなるものだと間違った認識を与えることになる。
よく好き嫌いを無くしましょうとか、好き嫌いをしないようにとか、嫌いなものを食べられるようにと思っている方も多く、私もその一人でした。でも本当に子どものためを思うと、バランスよく食べることはしたいこと、それは健康な体を作りたいからですよね。
でもこの根拠を知ると、自然と子供は食べ物に対しての嫌いという思いは無くなります。なので、おうちの食卓では、あきらめずに同じものを出したり、形や見た目、食感を変えて出していくことがとても大切なんですよね。
それを回りの大人が美味しそうに食べる、食べるって楽しい!と伝えることが一番大切です。
好き嫌いの考え方は人間関係にも通じる?
この世の中、同じ食べ物、同じ人はいません。自分と違う人がいます。合う合わないはあるでしょう。しかし、嫌いという感情でそれ以上の関わりを止めてしまうのは勿体ない。何かされて嫌だったのか、嫌いになる理由はあるはずで、子供自身はその相手自身を嫌いと思っていないかもしれないですよね。
嫌いを強制するとどうなるのか・・・
トラウマになるんです!
私が外来で見てきたお子さんでは、幼稚園や小学校に入った際に、【給食が苦手】になってしまうお子さんが多いです。
本当に給食が苦手なお子さんは多いです。とくに強制されて食べた経験があるお子さんや、時間内に食べきれないと思ってしまうお子さん、給食時に嘔吐してしまった経験があるお子さん、食事は楽しい時間と感じないお子さんは、学校での給食の時間が苦痛になり、不登校になってしまう方も見てきました。今は、給食ではなく、自分のお弁当を持っていくなど対応してくれる学校も多くなりましたが、不登校にならなくても、登園や登校への不安に感じるお子さんは少なくないです。
そのため、本当に小さい頃からの食事は楽しいという思いは本当に大切になります。
【日本教育資料より】
► NGな声かけ例
・好き嫌いをしないで食べよう
・残さず食べよう
・残さず食べるまで次のことが出来ない⇒これはもう虐待です。
► トラウマの例
・食べ物を見ただけで、吐き気がする。
・みんなの前で吐いてみんなと一緒に食べられない
・大人になって外食が出来ない
► 食を広げる対応
・食べられない理由を考える
・本人が食べられると覚える
・においをかぐことから始める
・少しでも食べられたら、食べられたことを伝える
► トラウマになってしまった時の個別対応例
・学校や保健室や相談室、空き教室などで食べる
・お弁当を持っていくなど
【余談コラム】
口の中がピリピリする方嫌だった・・・
たまたま、私が働いていた時の小学生に、なんでトマトが嫌いなのか聞いてみた。そしたら、口の中がピリピリするから嫌いなんだけど、みんな無理して食べてっていうから嫌なんだよね・・・と。
それは、アレルギーだったのです!!小学生まで気づかなかった、無理に頑張ってピリピリしながら食べていた。そんなこともあるので、理由を聞くことはとても大切ですね。
意地悪されている子と遊ばせたくない?
遊ばせたくないというのは保護者の気持ちですよね。本人の気持ちを受け止めてあげてほしいと思います。
どのように意地悪なのか、話をしっかり聞いた上で、必要なら幼稚園や保育園、学校の先生へ相談すると良いでしょう。また、そ
の際に、「初めて手を出されてびっくりした」や、「痛い思いをした」やなどという感情を口にすることを練習する機会になります。
また、相手の行動が嫌だっただけで、その子自身を嫌いとは思っていないかもしれません。けど、こどもは感情の違いなど理解はできないため、「~ちゃんと遊びたくない。~ちゃん嫌だ」と言ってきます。そのため、大人が口にだして感情を整理してあげるお手伝いが出来たら、人間関係の幅が広がるでしょう。そして、「きちんと相手に嫌だ」と伝えることをしてほしいですね。
年齢や程度にもよりますが、お子さんを見ていると、遊ばせたくないというのは親の気持ちで、本人居合はケロっとしていることも多いですね。
仲が悪くなった子供の親とどのように関わる?
仲がなぜ悪くなってしまったのか。子供には子供の世界がある。親はいつも通り普通に話をしたら?
保護者同士が気まづいということなのでしょうか。子供は子供、保護者は保護者と割り切ってよいと思います。
これは私の主観になりますが、保護者同士が仲がよいのであれば、保護者同士は今子供がどんな状態なのかを話せる関係であればとても良い関係でいれますよね。そこで、保護者同士の関係が悪くなってしまうようなのであれば、そこまでの関係だったということになるのでしょうか・・・
人間関係がうまくいかない。学校に行けない。この先が心配。
人間関係の勉強をする場所
思春期外来で沢山のお子さんを見てきました。みんなとてもまじめなお子さんが多く、失敗をしてはいけないと思っていたりします。
沢山失敗してもいいんです。おうちで、伝えるシミュレーションをすることも大切だったりします。だから、1回失敗したら、そこからどのようにしていくのかそこを先生と保護者と本人で話をしていけるとうまくいくかもしれません。カウンセリングでもそのようにシミュレーションをする「行動療法」というものもあります。
沢山失敗した方が、あとあと社会に出た時に、その失敗が生きてくることがあるので、沢山の練習をさせましょう!沢山つまづいたからこそ、人に優しくできたり、気持ちが分かる人になって社会人になっている方は沢山いますよ。
発熱に伴う脱水

発熱の時には、走っている時のように汗をかきやすく、呼吸も荒くなります。そのため、体内の水分や塩分が大量に失われて、脱水になる恐れがあります。
脱水症状は、単なる水の不足ではなくカラダから「電解質」も同時に失われた状態のことを指します。
電解質とは:
別名イオン。水に溶けると電気を通す物質で、細胞の浸透圧を調節、筋肉細胞や神経細胞の働きに関わる重要な役割があるため、多すぎても少なすぎても細胞や臓器の機能が低下し、命に関わることがあります。
主なイオンとは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロール=5 大栄養素。
これらをミネラルと呼びます。
子供が脱水にかかりやすい理由
子供は体重に占める水分量が大きく、60-80%は水分でできています。皮膚や呼吸によって失われる水分量も多いです。腎臓の働きが未熟であるため、水分を身体に保つ能力も大人より低いことが原因です。赤ちゃんはのどが渇いていることを訴えることが出来ないため、ママやパパは脱水に注意してあげることはとても大切です。
発熱時の食事と水分補給
嘔吐下痢等の、その胃腸症状がなければ、通常の食事をしていても問題がありません。
病気の時は、おかゆや体に良いものを食べさせたい気持ちになりがちですが、普段食べ慣れていないものを体調不良の時に食べることはつらいこともあると思います。脂が多いものは控えるなど工夫をすれば、本人が食べたいものを食べさせるとよいでしょう。もちろんおかゆは胃腸に負担はかけずおすすめですが、通常のごはんでもしっかり噛んで食べていれば胃腸への負担は減らせます
水分に関しては、食事が出来ているのであれば、お茶や水を飲む程度でも問題ないです。食事から糖分や塩分の摂取はできています。全く食事が摂れない場合には、糖分や塩分の含んだ飲み物を摂取することで脱水は防げます。アイスは冷たくて、カロリーもあるので病気の時には食べやすくおすすめです。
理想は消化に良いものを
理想は消化の良いもので・・・というものの、あくまでも、理想論で、子育てや具合い子供にはうまくいかないことが多いです。
母乳もミルクも薄めずにそのままでOKです。
経口補水液の別名は飲む点滴!食欲が無く、水分も少ししか摂れない場合におススメです。
例えば、経口補水液と同じ量の塩分が摂りたかった場合には、
経口補水液 500ml=味噌汁 1杯(具なし)=梅干し 1個
が同じナトリウムの量の目安です。
カリウムの量=100%オレンジジュース(紙パック)=バナナ 1本 となってます。
経口補水液が飲めない場合にも、他の食材でアレンジすることも可能です!
赤ちゃんには・・・
常にミルクもしくは母乳で大丈夫です。
離乳食が始まっているお子さんには・・・
熱のあがりはじめには:麦茶や白湯を人肌程度で
熱のピーク時には:ビタミンやミネラルを意識してピークを過ぎたら:エネルギー源を補給の3段階を意識するとよいでしょう。
その他のホームケア
① 熱が上がる時には悪寒といって、ブルブルふるえ、大人もそうですが、子供も赤ちゃんも寒く感じます。体の中心に血液を集めるので、手足が冷たくなる特徴があります。
⇒このときには身体を冷やさないように注意しましょう。
② 熱が上がりきった時には、顔が真っ赤、手足も熱い、熱も 39-40℃近く、悪寒も止まっている状態です。汗をかいていることも。
⇒この時には、本人が嫌がらなければ、冷やしてもよいが、無理に冷やす必要はありません。
あくまでも冷やして本人が気持ちがいいと思うかどうか、で判断してください。
【余談コラム】
20年近く前ですが、子供が熱を出して病院に連れていくと、裸にさせられ、全身を冷やされたことがあります。確かに、あまりにあっためすぎてしまうと、子供は熱を逃がしにくくなってしまうということがあります。ただ、熱=冷やす という認識が強かったからなんですよね。
冷やすところは?
あくまでも、ウイルスや細菌との闘いが終わらない限り、熱は下がりません。冷やす目安は本人が気持ちが良いかどうか、がポイントです。
冷やす場合は、太い血管(動脈)が走っている、首、脇、足の付け根部分を冷やすといいです。冷却シートは、冷やす効果は無く、冷たく感じる効果があるものです。
【余談コラム】
冷却シートを使う場合には、結構ずれて、赤ちゃんの鼻や口をふさいでしまうということがあります。使用する際には、十分に気を付けてください。
解熱剤は使用する?
☑ ぐったりして眠れないとき
☑ 水分が取れないとき
☑ 頭痛やのどの痛みがあるとき
☑ 40℃以上あるとき
などが使用の目安といわれています。
基本的には、【医師の指示通り】にケアしてあげてください!ただ、医師の指示通りとはいうものの、医師も困ったら使ってね!という思いを込めて処方していることが多いこともあります。
例えば、【頓服で 38.5℃以上の時】と記載してあることも多くあります。そういった記載があると、「38.5℃以上の時に使ったら病気が治る」「毎回必ず飲まなければならない」と思われる方もいらっしゃいますが、そこは違います。
先にも記載した通り、熱はウイルスや細菌との闘いが終わらない限り下がりません。また、熱を無理矢理下げることで闘いを長引かせるという文献もあります。あくまでも解熱剤は、脱水にならないように、少しでも飲んだり食べたりすることが出来るように、少しでも楽にして眠れるように、頭痛やのどの痛みなどを楽にできるようにというものです。よって熱に関して言えば、39℃が38℃になるくらいの目安と考えておくとよいでしょう。
そもそも体温って何?

体温は、脳にある体温中枢でコントロールされています。
人間は環境によって体温が変化することがほとんどない「恒温動物」であり、 成人の平均体温は36.0℃~37.0℃前後に保たれています。
一方、子供は脳の機能がまだ未熟であるため、一日うちでも体温がかわることがあります。寝ているとき、泣いているとき、遊んでいるとき・・・さらに年齢によっても変化します。また気候や外気にも影響を受けることもあります。
平熱って何度?
「平熱」には個人差があり、正常な値が決まっているわけではありません。平均して36.5℃から37.4℃が多いと言われている。
特に新生児の体温は高めになっている傾向があります。
発熱の定義は?
医学的には、38.0℃を超える時および、平熱を1℃超える時には発熱と言われています。
平熱の測り方
病院等で正確な平熱を測定する際は、体調が良い時かつ安静な状態で、食事前に4回(朝・昼・夕・寝る前)×1週間の測定を行います。
自宅等では、【朝起きた時、夜寝る前】の2回測定し、1週間の平均を測定すると良いでしょう。
体温計を選ぶポイント
体温計の種類
①耳式体温計
②腋窩体温計
③非接触体温計
④口腔内直腸体温計
④は、子供には使用しません。 入院治療が必要な時や、 口腔内はよく基礎体温測定の際に使用するものです。
では、それぞれの体温計のポイントをお伝えします。
①耳式体温計の特徴
・測定時間が早い (1~2秒)
・外気温に左右されにくい
・耳垢があるとうまく測れない
・じっとしている必要がある
赤ちゃんが寝ている間も測定しやすい点も便利です。
測定時のポイント
鼓膜温を測定するので、鼓膜に耳垢があると正確な値が測れません。
②腋窩体温計の特徴
・30秒から2分、非接触や耳式より時間がかかる
・簡単で正確に測れる
・予測式だが高性能のためほぼ正しい値が出る
・心配なら実測ができる
現在は水銀はなくなりました。電子体温計が一般的です。
測定時のポイント
・汗をかいている場合は必ず、拭いてから脇のくぼみの中央に斜め下から体温計の先端を当てる
・体温計が体に対して30℃~45℃くらいの角度で入れ。脇をしっかりとじる。
・予測式体温計は数十秒くらいで電子音でお知らせしてくれるよ。
・予測式の体温が「本当かなぁ?」と思う時は、そのまま10分くらい脇にそのまま挟んでおくと、再度電子音がなり、正しい値を教えてくれるよ!
③非接触体温計の特徴
・測定時間は早い(数秒〜1秒)
・外気温に左右される
・触れずに体温を測ることができて衛生的
非接触体温計は額やこめかみから放出される、赤外線量を測定して体温に換算しています。忙しい朝の時間や多数の子供たちを測る際、毎日の体調管理の目安にはスピーディかつ衛生的に体温測定ができて便利です。
ただし、外気の温度等に影響されやすい点には注意が必要です。真冬や真夏等には外の気温に左右されることも多く、室内でも扇風機やストーブ、カイロ等でも測定温度に影響があるため注意が必要です。
測定時のポイント
・しっかりおでこで測る
・汗や髪の毛をどかして!
・測定距離は1~5cm程度(製品による)
おでこは、熱や体温変化に敏感に反応するため、血流量が多く体の深部体温(体の中心)を反映します。そのため、髪の毛や汗、化粧品などで測定部位が覆われていると、誤差の原因になる気を付けてください。また製品に定められた測定距離もきちんと守って測定しましょう。
体温計を選ぶポイント
体温計の種類によって測り方が異なります。どのように測りたいかで、おすすめする体温計が異なってきます。色々な体温計を試しても良いのですが、自分の平熱を知るためには同じ体温計を続けて使用することが望ましいでしょう。
どうして熱が出るの?
①体の中に最近やウイルスなどの異物が侵入すると免疫細胞が働き、脳の視床下部に作るように指令をだします。
②体温をあげるために、皮膚の血管が収縮したり、悪寒(ブルブル震える)を起こして、熱の放出を少なくします。ほかにも体の中では色々なことが起きています!
③免疫細胞が活発に働いて、細菌やウイルスを弱らせ、体温が上がって高熱が続くと、体力を消耗して脱水などお起こすことがあります。
④免疫細胞の働きによって、細菌やウイルスが排除されると発汗などによって熱を放出し、体温を下げてくれます。多量の水分が失われるため、こまめに水分を取る必要があります。
熱が出ると怖い?
殆どの発熱の場合、細菌やウイルスによる感染が多いです。感染に伴う熱は免疫反応がよく、体を守るために白血球が戦っているという証拠なのです。
感染症の際には、体温を上げた方が、ウイルスや細菌の増殖が抑えれれて、白血球の働きが強くなり、感染症と戦いやすくなると言われています。つまり子供にとって発熱は、病気を治す重要な働きを担っていると言えるのです。
熱は怖くないの?
発熱そのものは、感染と戦うために大切な役目を果たしています。しかし、小さな子どもが発熱すると、ママやパパは不安になってしまう方も多いでしょう。熱が出るたびに、悪化してしまいそう・・・苦しそうだし、死んでしまうことがあるのではないか?と様々不安に襲われることもあります。特に、夜の病院のやっていない時間帯は保護者にとって、【恐怖の夜】になっているのではないでしょうか。
感染症に伴う発熱自体では、決して怖いものではないため必要以上に不安になることはないでしょう。高熱で脳が溶けたり、焼けたり…なんてことは起きません。ただし、髄膜炎や脳炎などの中枢神経にウイルスや細菌が入り込むと後遺症を残すことがあります。また熱に伴う、合併症として、脱水、痙攣、鼻水からの中耳炎などを起こすことがあります。そのため、発熱の際はならべく病院を受診し、家庭でのケアを行ってください。
特に脱水と中耳炎に関しては、ホームケアで十分防ぐことができます。適切なケアを行って、合併症を防ぐようにしてあげましょう。
熱が高いと重症?
小さな赤ちゃんが急に高熱を出すと、ママやパパはびっくりされることでしょう。しかし熱が高いからと言って、重症とは限りません。熱が高くても脱水も無く、元気な状態という事は子どもではよくあることです。
一方熱がでなくても、全身症状が悪く、敗血症などの重症なこともあります。発熱のあるなしに限らず、いつもと変わった様子がないか普段からよく子どもを観察してあげてください。
ミルクを作る際の沸騰時間はどのくらい?

ミルクを作る時の水は沸騰させて、冷ましたものを使いましょう。
沸騰時間はできれば約10分間以上行ってください。(ぐつぐつと沸騰し始めた後10分間)
しっかりと沸騰した方がよい理由は次の通りです。
①殺菌用に水に含まれているカルシウムの臭気をとり除くことができる
②ボツリヌス菌などの芽胞のある菌をふくめ病原体を殺菌させることができる
※念入りな殺菌作業は赤ちゃんの免疫が低い生後4か月頃まででOKです。その後は10分間の沸騰は不要です!
ミネラルウォーターを使用する場合には硬水or軟水?沸騰は必要?
硬水はカルシウムやミネラル含有量が軟水よりも高い特徴があります。ミルクのバランスが崩れてしまうことがありますが、硬水で絶対に調乳してはいけないというわけではありません。ミネラルウォーターを使用する場合も、水道水の時と同様に煮沸は必須です。
しかし日本の粉ミルクは水道水で作る前提で成分を調整してある場合がほとんどです。ミルクを作る際は、ミネラルウォーターよりは水道水を使う方がおすすめです
70℃以上のお湯を冷まさずに調乳するとどうなる?
調乳の際にはいったん100℃以上に沸騰させたお湯を、70℃まで冷まして粉ミルクと混ぜます。100℃に近い高温のお湯では、栄養成分のうち一部が熱変性をおこすなどの可能性があるためです。
一方70℃よりも低い温度では、もしもクロノバクターサカザキ菌などの雑菌が発生していた場合に病原体となり危険です。
哺乳瓶を初めて使用する際には消毒が必要?出先で購入し、使用する際には?
4か月未満であれば消毒が必須です。
出先の使用する場合には、適正な濃度の次亜塩素酸ナトリウム液を保存袋などに入れ、その袋の中に哺乳瓶を入れて消毒をする方法があります!できる限り自宅から消毒済みの哺乳瓶を持っていくようにしましょう。
赤ちゃん用の水等、加熱殺菌しているものであれば沸騰は不要?
調乳を赤ちゃん用の水で行う場合には、加熱殺菌されているので沸騰は不要です。ただし、ミルクを溶かす際には、70℃以上にしておくことが必要です。
哺乳ビンの消毒後匂いが気になる…水で洗い流しても良い?
せっかく消毒した哺乳瓶は、水で洗い流さずに使ってください。抵抗力の弱い4か月を過ぎた頃からは、水で洗い流した後使用しても問題ありません。
次亜塩素酸ナトリウムは規定の濃度で使用すると、ミルクと混ざった際に「塩」に変化します。匂いが気になると、赤ちゃんが消毒液を口にするのでは…?と心配になるお母さんも多いですので、気を付けてください。
正しいミルクの作り方
(WHOより)
①綺麗に手を洗う。
②哺乳ビンを消毒液から取り出す。事前に乾燥機にいれて乾かして置いてもOK。
(薬液につける消毒方法の場合も、電子レンジの場合も同じく専用のトングで取り出す。)
③よく哺乳ビンの水気を切る。
粉ミルクの場合:付属のスプーンを使用し、月齢の規定通りに測り、哺乳ビンにミルクを入れる。
キューブタイプの粉ミルクの場合、スプーン不要でカンタンに調乳できるが、細かい調整はできない点に注意。
自己判断で薄めたり、濃くしたりはやめましょう。
④一度沸騰させた後、70℃まで冷めたお湯を出来上がりの量2/3位まで入れる。
乳首とカバーを取り付け、円を描くように振り、ミルクを溶かす。
⑤出来上がりの量まで、煮沸後のお湯もしくは、赤ちゃんの水(加熱殺菌されているもの)を追加する。
※ミルクを溶かす時のみ、お湯の温度が70℃以上であれば大丈夫です。赤ちゃんの水は時短や節水のためにも便利です。事前に煮沸後のお湯を冷ましておいても良いでしょう。
⑥ミルクを冷ますときは、哺乳ビンの外側から、水に浸すなどして冷ます。
※特にプラスチックの哺乳ビンの時には、温度が分かりにくいため、必ず、自分の腕の内側の皮膚に数滴垂らして温度を確認しましょう
ミルクの作り置きは大丈夫?
ミルクの作り置きは雑菌が増える恐れがあるため、避けてください。調乳後、約2時間以内には飲ませてあげましょう。ミルクが残ってしまった場合には、廃棄して新しいものを作り直してください。免疫力の低い赤ちゃんを守るためには、いつも新鮮なミルクを飲ませましょう。
人肌って何度?
WHOや厚生労働省によると、「人肌」は36℃~40℃と言われています。
「赤ちゃんの水」とは?
一般的に「赤ちゃん用の水」と言われているものには、
"赤ちゃんに適しているという意味での軟水"を示す場合と、
"赤ちゃんのミルクを作る際に加熱殺菌されている水"を示す場合の2種類があります。
一概に赤ちゃんと言っても、前者の軟水である場合には、煮沸が必要になるので注意してください!
乳幼児突然死症候群(以下、SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)は、赤ちゃんが窒息や事故などが起きていないにもかかわらず、眠っているときに突然亡くなる病気です。
日本での発症頻度は6,000~7,000人に1人と推定されており、生後2~6ヶ月に多くみられます。SIDSは眠っているときに起きることから保護者が早期に気づくことが難しく、気づいたときには心肺停止状態になっていることが多いとされています。
乳幼児が呼吸をしておらず心肺停止状態となっている場合、心肺蘇生法を行うことで命が助かる可能性はあるのか、心肺蘇生法の手順や注意点とともに解説します。
SIDSと心肺蘇生法との関連性
心臓が停止してから早期に心肺蘇生法を行うことで一命を取り留める確率が上がるとのデータが存在します。ただし、SIDSのみに限定した場合、心肺蘇生法によって一命を取り留める確率が上がることを示すデータは存在しません。
しかし、心肺蘇生法には心臓を再び動かす効果が期待できるため、乳幼児が呼吸をしていない場合は早急に開始することが重要です。心肺停止の状態を確認してから通報し、救急車が到着して心肺蘇生法を開始するまでには、平均12分程度かかります。
この場合、救命率は数%といわれているのですが、これは脳に酸素が供給されていない状態で生命を維持できるのが3~4分程度とされているためです。また、時間の経過とともに脳がダメージを受けるため、1秒でも早く蘇生させる必要があります。
乳児の心肺蘇生法の手順
ここでは、心肺蘇生法の手順を紹介します。乳児に行う心肺蘇生法は、「胸骨圧迫」と「人工呼吸」、「AEDの使用」の3つです。ただ、SIDSは自宅で起こることが多く、AEDを持っている家はほとんどないため、AEDの使用は現実的ではありません。
そこで今回は、自宅でAEDが無い場合の心肺蘇生を解説します。もちろん、AEDが近くにあれば、AEDを使用するようにしましょう。AEDを用いた心肺蘇生は次回で解説します。
まず、異変に気づいたら名前を呼びながら肩の部分か、足の裏を叩いて反応を見ます。反応がなければ周囲の人に助けを求め、「あなたは119番通報してください」と具体的に指示します。家に自分一人しかいなかった場合は、可能なら携帯電話などで119番通報して胸骨圧迫を開始します。もし、近くに通信機器が無かった場合は、下記の心肺蘇生を2分間行った後に通信機器を取りに行き、119番通報を行います。
まず、胸骨圧迫を始めましょう。左右の乳首を結ぶ線の真ん中の少し下を2本の指で押します。このとき、胸の約1/3が沈む深さまで強く圧迫してください。速さは1分間に100~120回程度です。これを30回行ったら、人工呼吸を2回行うということのを絶え間なく続けます。
人工呼吸では、まずは片手をおでこに当て、もう片方の手の人差し指と中指をあご先に当て、持ち上げることで気道を確保します。そして、口と鼻を同時に自分の口で覆い、息を2回吹き込みましょう。吹き込む量は、子供の胸が軽く上がる程度です。
続いて、胸骨圧迫に切り替えてください。
また、どうしても人工呼吸が難しい場合は、胸骨圧迫のみでもしっかり行うことが大切です。
SIDSが起きる原因は解明されていないものの、リスク要因についてはガイドラインで示されています。傾向として、男児・早産児・低出生体重児・うつぶせ寝・両親の喫煙・人工栄養児・早朝から午前中・冬期に多いことがわかっています。
うつぶせ寝は避ける、たばこを吸わない、なるべく母乳で育てるなど、少しでもSIDSのリスクを抑えることから始めましょう。
母子手帳の役割~切れ目のない母子へのケア

母子手帳は、妊娠、出産、新生児、乳幼児の各段階で、母と子の健康をサポートするための重要なツールです。その最大の役割は、ケアが切れ目なく提供されることにあります。
例えば、妊娠中から出産後、また母と子それぞれで通院する病院や担当医が変わることがあります。各医療機関では、個々の健診や予防接種の記録を保管し、他院の情報は一般的には共有されません。
しかし、母子手帳を活用することで、いくつもの病院を受診しても一貫した情報が保たれ、連続したサポートを受けることが可能となります。
また、予防接種やワクチンの記録は、小学校卒業後や成人した後にも必要となることがあります。母子手帳があれば、そのような状況でも正確な記録を提供できます。このように、母子手帳は長期間にわたって必要とされるものなので、子供が成長した後も大切に保管しましょう。
母子手帳の中身とその活用
母子手帳は、妊娠5週目以降の女性に市町村から提供されます。妊娠の経過、出産の様子、小学校入学前までの子供の健康状態や発達、予防接種などを記録・管理するために使われます。
また、妊娠中の生活や食事の注意点、子育てに関する情報など、市町村ごとに様々な情報が記載されています。
<母子手帳の内容例>
・妊婦の健康状態・妊娠中の経過の記録
・出産の状態と産後の経過
・乳幼児の発達
・予防接種の記録
・健診の記録
・妊娠・出産・育児に関するアドバイス
・妊娠中や産後の食事や栄養
2023年に改訂された母子健康手帳
母子手帳は社会情勢や育児に関する知見の変化に合わせて、およそ10年ごとに内容が見直されています。そして2023年には11年ぶりに改訂が行われ、新たな様式に変更されました。
今回の改訂では、産後うつや産後ケアについての記入欄や子育ての相談機関の職員記入欄等が新設されたり、成長を記録する欄が18歳まで拡張されたりと、時代の変化に合わせた内容が盛り込まれています。
また父親が書く欄を増加し、父親の育児参加を促す視点も新たなポイントと言えるでしょう。
デジタル化が進む電子母子手帳
近年の急速なデジタル化に伴い、電子版の母子手帳アプリ等の利用も増えています。紙の母子手帳に加えて電子版の母子手帳を利用することで、いつでもどこでも母子手帳の情報をスマートフォンで確認できるようになるため、より便利に活用できるでしょう。
予防接種の数も年々増えていますが、アプリを使うことでスケジュールの管理も容易になります。さらに紙の母子手帳を紛失してしまった際や、災害時等でも、記録をすぐに引き出せることは電子版の大きなメリットと言えます。
今後はマイナンバーカードと母子手帳の連携も検討されています。デジタル化が急速に進む現代において、これまでよりも短期間のうちに母子手帳の形式や利用方法がさらに変化し、便利になる可能性も高いでしょう。
まとめ
母子健康手帳の使命とは、母子の健康を守り、成長を記録すること。妊娠から出産、育児までという母と子の大切な期間を通じて、健康管理をサポートしてくれる重要なツールです。現代では電子版母子手帳を活用することで、さらに便利に情報を管理できるため、利便性も向上するでしょう。
これからママになる方も現在ママの方も、さまざまな形で母子手帳を活用し、その価値を最大限に引き出してください。