ミルクを作る際の沸騰時間はどのくらい?

ミルクを作る時の水は沸騰させて、冷ましたものを使いましょう。
沸騰時間はできれば約10分間以上行ってください。(ぐつぐつと沸騰し始めた後10分間)
しっかりと沸騰した方がよい理由は次の通りです。
①殺菌用に水に含まれているカルシウムの臭気をとり除くことができる
②ボツリヌス菌などの芽胞のある菌をふくめ病原体を殺菌させることができる
※念入りな殺菌作業は赤ちゃんの免疫が低い生後4か月頃まででOKです。その後は10分間の沸騰は不要です!
ミネラルウォーターを使用する場合には硬水or軟水?沸騰は必要?
硬水はカルシウムやミネラル含有量が軟水よりも高い特徴があります。ミルクのバランスが崩れてしまうことがありますが、硬水で絶対に調乳してはいけないというわけではありません。ミネラルウォーターを使用する場合も、水道水の時と同様に煮沸は必須です。
しかし日本の粉ミルクは水道水で作る前提で成分を調整してある場合がほとんどです。ミルクを作る際は、ミネラルウォーターよりは水道水を使う方がおすすめです
70℃以上のお湯を冷まさずに調乳するとどうなる?
調乳の際にはいったん100℃以上に沸騰させたお湯を、70℃まで冷まして粉ミルクと混ぜます。100℃に近い高温のお湯では、栄養成分のうち一部が熱変性をおこすなどの可能性があるためです。
一方70℃よりも低い温度では、もしもクロノバクターサカザキ菌などの雑菌が発生していた場合に病原体となり危険です。
哺乳瓶を初めて使用する際には消毒が必要?出先で購入し、使用する際には?
4か月未満であれば消毒が必須です。
出先の使用する場合には、適正な濃度の次亜塩素酸ナトリウム液を保存袋などに入れ、その袋の中に哺乳瓶を入れて消毒をする方法があります!できる限り自宅から消毒済みの哺乳瓶を持っていくようにしましょう。
赤ちゃん用の水等、加熱殺菌しているものであれば沸騰は不要?
調乳を赤ちゃん用の水で行う場合には、加熱殺菌されているので沸騰は不要です。ただし、ミルクを溶かす際には、70℃以上にしておくことが必要です。
哺乳ビンの消毒後匂いが気になる…水で洗い流しても良い?
せっかく消毒した哺乳瓶は、水で洗い流さずに使ってください。抵抗力の弱い4か月を過ぎた頃からは、水で洗い流した後使用しても問題ありません。
次亜塩素酸ナトリウムは規定の濃度で使用すると、ミルクと混ざった際に「塩」に変化します。匂いが気になると、赤ちゃんが消毒液を口にするのでは…?と心配になるお母さんも多いですので、気を付けてください。
正しいミルクの作り方
(WHOより)
①綺麗に手を洗う。
②哺乳ビンを消毒液から取り出す。事前に乾燥機にいれて乾かして置いてもOK。
(薬液につける消毒方法の場合も、電子レンジの場合も同じく専用のトングで取り出す。)
③よく哺乳ビンの水気を切る。
粉ミルクの場合:付属のスプーンを使用し、月齢の規定通りに測り、哺乳ビンにミルクを入れる。
キューブタイプの粉ミルクの場合、スプーン不要でカンタンに調乳できるが、細かい調整はできない点に注意。
自己判断で薄めたり、濃くしたりはやめましょう。
④一度沸騰させた後、70℃まで冷めたお湯を出来上がりの量2/3位まで入れる。
乳首とカバーを取り付け、円を描くように振り、ミルクを溶かす。
⑤出来上がりの量まで、煮沸後のお湯もしくは、赤ちゃんの水(加熱殺菌されているもの)を追加する。
※ミルクを溶かす時のみ、お湯の温度が70℃以上であれば大丈夫です。赤ちゃんの水は時短や節水のためにも便利です。事前に煮沸後のお湯を冷ましておいても良いでしょう。
⑥ミルクを冷ますときは、哺乳ビンの外側から、水に浸すなどして冷ます。
※特にプラスチックの哺乳ビンの時には、温度が分かりにくいため、必ず、自分の腕の内側の皮膚に数滴垂らして温度を確認しましょう
ミルクの作り置きは大丈夫?
ミルクの作り置きは雑菌が増える恐れがあるため、避けてください。調乳後、約2時間以内には飲ませてあげましょう。ミルクが残ってしまった場合には、廃棄して新しいものを作り直してください。免疫力の低い赤ちゃんを守るためには、いつも新鮮なミルクを飲ませましょう。
人肌って何度?
WHOや厚生労働省によると、「人肌」は36℃~40℃と言われています。
「赤ちゃんの水」とは?
一般的に「赤ちゃん用の水」と言われているものには、
"赤ちゃんに適しているという意味での軟水"を示す場合と、
"赤ちゃんのミルクを作る際に加熱殺菌されている水"を示す場合の2種類があります。
一概に赤ちゃんと言っても、前者の軟水である場合には、煮沸が必要になるので注意してください!
乳幼児突然死症候群(以下、SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)は、赤ちゃんが窒息や事故などが起きていないにもかかわらず、眠っているときに突然亡くなる病気です。
日本での発症頻度は6,000~7,000人に1人と推定されており、生後2~6ヶ月に多くみられます。SIDSは眠っているときに起きることから保護者が早期に気づくことが難しく、気づいたときには心肺停止状態になっていることが多いとされています。
乳幼児が呼吸をしておらず心肺停止状態となっている場合、心肺蘇生法を行うことで命が助かる可能性はあるのか、心肺蘇生法の手順や注意点とともに解説します。
SIDSと心肺蘇生法との関連性
心臓が停止してから早期に心肺蘇生法を行うことで一命を取り留める確率が上がるとのデータが存在します。ただし、SIDSのみに限定した場合、心肺蘇生法によって一命を取り留める確率が上がることを示すデータは存在しません。
しかし、心肺蘇生法には心臓を再び動かす効果が期待できるため、乳幼児が呼吸をしていない場合は早急に開始することが重要です。心肺停止の状態を確認してから通報し、救急車が到着して心肺蘇生法を開始するまでには、平均12分程度かかります。
この場合、救命率は数%といわれているのですが、これは脳に酸素が供給されていない状態で生命を維持できるのが3~4分程度とされているためです。また、時間の経過とともに脳がダメージを受けるため、1秒でも早く蘇生させる必要があります。
乳児の心肺蘇生法の手順
ここでは、心肺蘇生法の手順を紹介します。乳児に行う心肺蘇生法は、「胸骨圧迫」と「人工呼吸」、「AEDの使用」の3つです。ただ、SIDSは自宅で起こることが多く、AEDを持っている家はほとんどないため、AEDの使用は現実的ではありません。
そこで今回は、自宅でAEDが無い場合の心肺蘇生を解説します。もちろん、AEDが近くにあれば、AEDを使用するようにしましょう。AEDを用いた心肺蘇生は次回で解説します。
まず、異変に気づいたら名前を呼びながら肩の部分か、足の裏を叩いて反応を見ます。反応がなければ周囲の人に助けを求め、「あなたは119番通報してください」と具体的に指示します。家に自分一人しかいなかった場合は、可能なら携帯電話などで119番通報して胸骨圧迫を開始します。もし、近くに通信機器が無かった場合は、下記の心肺蘇生を2分間行った後に通信機器を取りに行き、119番通報を行います。
まず、胸骨圧迫を始めましょう。左右の乳首を結ぶ線の真ん中の少し下を2本の指で押します。このとき、胸の約1/3が沈む深さまで強く圧迫してください。速さは1分間に100~120回程度です。これを30回行ったら、人工呼吸を2回行うということのを絶え間なく続けます。
人工呼吸では、まずは片手をおでこに当て、もう片方の手の人差し指と中指をあご先に当て、持ち上げることで気道を確保します。そして、口と鼻を同時に自分の口で覆い、息を2回吹き込みましょう。吹き込む量は、子供の胸が軽く上がる程度です。
続いて、胸骨圧迫に切り替えてください。
また、どうしても人工呼吸が難しい場合は、胸骨圧迫のみでもしっかり行うことが大切です。
SIDSが起きる原因は解明されていないものの、リスク要因についてはガイドラインで示されています。傾向として、男児・早産児・低出生体重児・うつぶせ寝・両親の喫煙・人工栄養児・早朝から午前中・冬期に多いことがわかっています。
うつぶせ寝は避ける、たばこを吸わない、なるべく母乳で育てるなど、少しでもSIDSのリスクを抑えることから始めましょう。
母子手帳の役割~切れ目のない母子へのケア

母子手帳は、妊娠、出産、新生児、乳幼児の各段階で、母と子の健康をサポートするための重要なツールです。その最大の役割は、ケアが切れ目なく提供されることにあります。
例えば、妊娠中から出産後、また母と子それぞれで通院する病院や担当医が変わることがあります。各医療機関では、個々の健診や予防接種の記録を保管し、他院の情報は一般的には共有されません。
しかし、母子手帳を活用することで、いくつもの病院を受診しても一貫した情報が保たれ、連続したサポートを受けることが可能となります。
また、予防接種やワクチンの記録は、小学校卒業後や成人した後にも必要となることがあります。母子手帳があれば、そのような状況でも正確な記録を提供できます。このように、母子手帳は長期間にわたって必要とされるものなので、子供が成長した後も大切に保管しましょう。
母子手帳の中身とその活用
母子手帳は、妊娠5週目以降の女性に市町村から提供されます。妊娠の経過、出産の様子、小学校入学前までの子供の健康状態や発達、予防接種などを記録・管理するために使われます。
また、妊娠中の生活や食事の注意点、子育てに関する情報など、市町村ごとに様々な情報が記載されています。
<母子手帳の内容例>
・妊婦の健康状態・妊娠中の経過の記録
・出産の状態と産後の経過
・乳幼児の発達
・予防接種の記録
・健診の記録
・妊娠・出産・育児に関するアドバイス
・妊娠中や産後の食事や栄養
2023年に改訂された母子健康手帳
母子手帳は社会情勢や育児に関する知見の変化に合わせて、およそ10年ごとに内容が見直されています。そして2023年には11年ぶりに改訂が行われ、新たな様式に変更されました。
今回の改訂では、産後うつや産後ケアについての記入欄や子育ての相談機関の職員記入欄等が新設されたり、成長を記録する欄が18歳まで拡張されたりと、時代の変化に合わせた内容が盛り込まれています。
また父親が書く欄を増加し、父親の育児参加を促す視点も新たなポイントと言えるでしょう。
デジタル化が進む電子母子手帳
近年の急速なデジタル化に伴い、電子版の母子手帳アプリ等の利用も増えています。紙の母子手帳に加えて電子版の母子手帳を利用することで、いつでもどこでも母子手帳の情報をスマートフォンで確認できるようになるため、より便利に活用できるでしょう。
予防接種の数も年々増えていますが、アプリを使うことでスケジュールの管理も容易になります。さらに紙の母子手帳を紛失してしまった際や、災害時等でも、記録をすぐに引き出せることは電子版の大きなメリットと言えます。
今後はマイナンバーカードと母子手帳の連携も検討されています。デジタル化が急速に進む現代において、これまでよりも短期間のうちに母子手帳の形式や利用方法がさらに変化し、便利になる可能性も高いでしょう。
まとめ
母子健康手帳の使命とは、母子の健康を守り、成長を記録すること。妊娠から出産、育児までという母と子の大切な期間を通じて、健康管理をサポートしてくれる重要なツールです。現代では電子版母子手帳を活用することで、さらに便利に情報を管理できるため、利便性も向上するでしょう。
これからママになる方も現在ママの方も、さまざまな形で母子手帳を活用し、その価値を最大限に引き出してください。
多くの赤ちゃんが一度はおこしてしまう乳児湿疹。生まれたばかりの頃はつるつるのお肌でも、急に湿疹が出始めることがあります。
乳児湿疹には様々な原因があり、それぞれの原因によって治療法やケアの方法が変わってきます。
少しでも早く湿疹がよくなるように、症状に応じたケアの方法を押さえておきましょう。
乳児湿疹とは
乳児湿疹は、赤ちゃんの頃にできる湿疹の総称です。
生後12ヶ月まで(乳児期)の赤ちゃんの皮膚はまだ弱くて未熟なので、多くの子が一度は乳児湿疹を経験します。
乳児湿疹の種類
乳児湿疹の原因や湿疹が現れる部位・年齢は様々です。
生後2~3ヶ月頃から口のまわり・頬・頭にできることが多く、成長するにしたがって、手足や体に広がっていくこともあります。最初の頃は小さなブツブツでも、次第にくっついて大きくなったり、炎症がひどくなってジュクジュクしてくることがあります。
また、乳児の頃にひどい湿疹があっても、1歳を過ぎると自然に治まるケースも多くあります。
乳児湿疹の原因とケア方法
乳児湿疹は原因によって治療やケアの方法が異なるので、それぞれの状態に合わせたポイントをご紹介します。
乳児脂漏性湿疹
症状
黄色いかさぶたの付いた湿疹や赤い湿疹が混ざってできます。じくじくすることもあります。
かゆみの程度は様々で、頭やまゆ毛などの毛が生えているところ、症状がおでこや頬などの顔、耳のまわりなど首より上に現れることが特徴です。生後2週間~3ヶ月頃に多く見られます。
原因
生まれた時に母親からもらった男性ホルモンの影響で、皮脂がたくさん分泌されることが大きな原因です。
ケア方法
軽度であれば自宅でケアができます。また、母由来の男性ホルモンが主な原因なので、症状は一時的で成長するとともに自然に治ります。皮脂の分泌そのものを抑えるのは難しいので、皮脂をきれいに落として、肌を清潔に保ちましょう。
頭皮や眉毛にかさぶたがある場合は、お風呂に入る前にベビーオイルを塗って10分ほどおくと、ふやけて取れやすくなります。柔らかくなったら、ベビー用シャンプーでやさしく洗って、かさぶたを取り除きましょう。無理にはがして肌を傷つけると、細菌が侵入して炎症がひどくなるので、無理にはがさないよう注意してください。
顔に湿疹が見られる場合は、特に眉毛や耳のまわりに洗い残しやすすぎ残しのないように心がけることが大切です。
かゆみが強い時や、かさぶたが分厚くなってきた時、赤みが強くて炎症がひどい時は、小児科か皮膚科に行って診察してもらいましょう。
新生児にきび
症状
頬やおでこの真ん中にブツブツとした、にきびができます。にきびの種類は赤いブツブツしたもの、白い芯があるもの、膿をもった白いものがあります。生後~1ヶ月頃に多く見られます。
原因
乳児脂漏性湿疹と同様、母由来の男性ホルモンによる皮脂の多量分泌と、それに未発達な皮脂腺が対応できずに、毛穴がつまることが主な原因です。
また、環境も原因の一つです。寝ている時間が多く、肌が布団に触れている時間が長い赤ちゃんは毛穴がつまりやすくにきびができることもあります。
ケア方法
母由来のホルモンが影響しているため、8ヵ月以内に自然と治っていきますが、早く症状を抑えるためにもしっかりケアしましょう。基本的には、大人と同じように肌を清潔にすることが一番のケアです。
お風呂に入れる際は、赤ちゃん用石鹸でしっかり泡を立て、泡でやさしくくるくるとなでて、皮脂をしっかり洗い落しましょう。お風呂から上がった後は、乾燥などの肌トラブルを予防するため、ベビーローションで保湿することも忘れずに。
また、肌に触れている布の汚れが原因の場合もあるので、布団や洋服をこまめに洗濯して清潔にしておきましょう。
小児乾燥性湿疹
症状
乾燥により、粉をふいたり、ひび割れができたり、赤くなったりします。また、かゆみもあるので、ひっかいたり、ふとんに肌を擦りつけようとします。外気に露出している顔や手足、面積の多いお腹や背中に現れやすくなります。
また、生後3ヶ月以降の赤ちゃんに発症しやすい皮膚トラブルです。
原因
その名の通り、乾燥が原因で湿疹ができます。生後3ヶ月以降になると、皮脂の分泌が急に低下するため、肌が乾燥しやすくなります。
この乾燥で肌のバリア機能が低下すると、外部刺激によってかゆみが生じたり炎症が起きたりします。
ケア方法
肌の乾燥を防ぐことが一番の対策です。
軽度であれば、丁寧に保湿してあげることで治まってきます。ベビーローションやベビーミルクをお風呂上りに使用しましょう。顔や手には外出前、顔は食事の前後にも保湿剤をこまめに塗りましょう。
また、爪でひっかいて湿疹を悪化させないためにも爪は切っておきましょう。冬場は、乾燥しないように加湿器を使って部屋の湿度を保ってあげることも、効果的です。
なお、炎症が強い場合は小児科か皮膚科を受診しましょう。ひどい時はステロイド剤が処方される場合もあります。
長期にわたって症状繰りかえす場合は、アトピー性皮膚炎への移行を考えて検査を受ける必要があります。
あせも(汗疹)
症状
白、ピンクや赤色の小さなかゆみのある発疹ができます。現れる部位は、頭やおでこ、首、わきの下などの汗が溜まりやすいです。
乳児から大人まで年齢を問わず、汗をかく季節に現れやすい皮膚トラブルです。
原因
汗をたくさんかくことで、汗腺が詰まって、汗を出す機能が妨げられて、皮膚内に汗がたまって水疱となった皮膚病です。赤ちゃんの汗腺の数は大人と変わらないため、同じ面積あたりの汗腺の密度が高いため、大人よりも発症しやすくなります。
また、かゆみがあるため、我慢できずにひっかく・こすることがあります。
ケア方法
汗が原因で起きるので、患部を常に清潔に保つことが一番の対策です。汗を頻繁にかく場合は、濡らしたタオルなどで、汗をこまめに拭きとりましょう。
かゆみがあるので、引っ掻いたり、こすったりしますが、患部を刺激することで、症状が悪化します。ひどくなると、病院に行って、ステロイド剤を処方されるケースも多いです。ベビーパウダーは汗を吸着する機能があるので予防にはなります。
皮膚科に行くべきか
どの程度の症状であれば、皮膚科、小児科に行くべきか迷う方も多いと思います。炎症がひどい場合や、きちんと清潔にして保湿ケアをしているのに改善されない場合は、皮膚科、小児科の先生に診てもらうことをおすすめします。
ステロイド剤は心配?市販の保湿剤も有用
処方されたステロイド剤を赤ちゃんに塗るのは心配という方も多いと思いますが、症状がひどい時は炎症を鎮めるために必要です。外用のステロイド剤は医師の管理下であれば長期間使っても心配はありません。
また再発を防ぐためには、症状がおさまったあとに子供に合った保湿剤を見つけてしっかりとスキンケアをするようにしましょう。
乳児期の赤ちゃんの肌は、大人の肌の半分ほどの厚さしかありません。また肌の本来持っている機能も、未熟な状態です。そのため、紫外線が皮膚のより深い層まで浸透し、さらに分裂能が旺盛な赤ちゃんの肌は紫外線によって受ける刺激が大人よりも大きくなります。
さらに、紫外線により受けた皮膚のダメージは長年蓄積されていきます。赤ちゃんの頃に日焼けをした時はそれほど目立った影響がなかったとしても、大人になってから影響が出てしまうことがあるため注意が必要です。
紫外線のメリットとデメリット

日の光に当たることで、ビタミンDを肌で作り出すことができます。ビタミンDは、カルシウムを骨に沈着させるために必要な栄養素です。生後1か月を過ぎた頃から短い時間外気浴をすると良いでしょう。
外出の際には、できるだけ紫外線の強い時間帯は避けるように気をつけてください。
夏場では午前10時より前、午後ならば3時以降に外出することを調整することをおすすめします。
もし紫外線を長期間浴びてしまうと、まだ肌の弱い赤ちゃんは将来皮膚に様々な影響が生じます。赤ちゃんが紫外線を浴びることによって起きるデメリットには、次のようなものがあります。
☑ 将来の皮膚がん発症リスクを高める
☑ 皮膚の老化の(しみ、しわ、たるみができやすくなる)進行をはやめる
赤ちゃんの日焼け対策

日差しの強い日には、赤ちゃんにも日焼け止めを塗って対策すると良いでしょう。赤ちゃんの肌は薄くてデリケートなので、肌に優しい日焼け止めを選んでください。
日焼け止めには、「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の2種類があります。
紫外線吸収剤
大人向けの日焼け止めの多くに使われています。無色透明の為白浮きせず、塗心地も滑らかで使い心地が良いのが特徴です。
ただし、長期に使用すると肌への負担が大きくなるというデメリットがあります。
紫外線散乱剤
白浮きしやすく、塗心地がベタベタしてしまうというデメリットはありますが、有機化合物ではない為肌への負担が少ないという特徴があります。
2種類のうち、赤ちゃんが使う日焼け止めとして推奨されるのは「紫外線散乱剤」です。「紫外線吸収剤」は、紫外線を肌の上で別の物質に変化をさせている為、肌への刺激があったり、アレルギー反応を起こしたりします。
赤ちゃんの為の日焼け止めを購入する際は、低刺激である「紫外線散乱剤」のタイプがおすすめです。
赤ちゃんが日焼けしてしまったら

日焼け止めによる紫外線対策を紹介しました。
夏のお出かけで、赤ちゃんが日焼けをしてしまった時は、すぐにスキンケアをしてあげることで症状の悪化を防ぎます。
冷やす
日焼けで赤くなるのは「火傷」の一種です。その為、火傷と同じ対処を行います。
少しだけ肌が赤くなっているようであれば、水にぬらしたタオルに当ててあげましょう。
もしも、赤みが強かったり、少し腫れてしまっているようであれば、お子様用の熱様シートや、保冷剤をガーゼに巻いて患部をしっかりひやしてあげましょう。
保湿する
日焼けをした後の肌は乾燥しやすく、デリケートになっています。
その為、日焼けした部分の熱が取れたら、肌をしっかり保湿しましょう。
肌を清潔にして保湿クリームなどで保護をしてあげることで、その後の肌トラブルが起こりにくくなります。
最近ではローションタイプのベビー用保湿剤も出ているので、こちらを使えばしっかりと肌を保湿し肌を保護することができるのでおすすめですよ♪
軽度の日焼けであれば、いま紹介したスキンケアでだいたいの症状はよくなります。
しかし、日焼けがひどい、もしくはスキンケアの後も様子がおかしい場合は、必ず皮膚科を受診しましょう。
病院への受診が必要だと思われる症状は以下です。
☑ 皮膚がガサガサになっている
☑ 湿疹が出てきた
☑ 火傷のように赤くなり腫れている
☑ 発熱が続いている
☑ 日焼けした場所をひっかいている
☑ 日焼けの反応が異常である
日焼けは、時間が経ってから症状がひどくなる場合もあるので、赤ちゃんの様子をいつも以上に注意して見てあげるのも大切です。
頭痛は大人によくある症状であり、乳幼児にとっては関係のない病気だと思われがちです。しかし、頭痛は年齢を問わず、乳幼児などの小さな子どもにも症状が現れます。ただ、「頭が痛い」と口に出して症状を適切に表現できない場合が多いため、親や保護者が頭痛であることを気づかないケースもあるでしょう。小さな変化やサインを見逃さないように、お子さまの様子をよく観察しておくことが大切です。
頭痛の種類と症状
子どもが頭痛を発症している可能性がある場合、顔色が悪い、元気がなくなる、痛そうな表情をする等の症状が見られます。ただし、これらの症状は他の病気とも重なることが多いため、親や保護者にも判断が難しいことも多いでしょう。子どもが発症する頭痛の種類・症状について確認し、適切な対応を心がけるようにしてください。
お緊張型頭痛
頭や肩、首の筋肉の緊張・ストレス等によって引き起こされる頭痛です。近年生活習慣の変化から、子どもでもスマホやゲームで長時間同じ姿勢が続くことで発症するケースが増えてきています。頭の両側が締め付けられるような痛みが生じ、片頭痛のように動けないほどの重い痛みはありません。
片頭痛は体を動かすと痛みがひどくなるのに対して、緊張型頭痛はストレッチをしたり入浴したりして首を温めてあげると症状が緩和されます。
鼻閉に伴う頭痛
感冒の機会が多い子どもでよく見られる鼻閉も頭痛の原因となります。感冒症状い伴って前頭部の痛みが数日間続く場合は副鼻腔炎を合併している可能性があります。医師の診断を受けましょう。
頭痛で受診する目安
子どの頭痛がどの程度重いものなのかを判断するためには、子どもの行動や反応を注意深く観察することが大切です。たとえば、子どもが頭痛を訴えつつも通常通りに遊んでいるようなら、その頭痛は比較的軽度のものと見て良いでしょう。しかし、次にあげる症状が見られた場合は、速やかに医療機関を受診してください。
☑ 発熱
☑ 嘔吐を繰り返す
☑ 意識がはっきりしない
☑ 突然の激しい痛みがある
☑ 目の充血や痛み
頭痛の治療と投薬
子どもの頭痛は大人と比べて軽症のことが多く、必ずしも薬物療法を必要としません。軽度から中程度の頭痛の場合は、睡眠をしっかりとり、水分等を補給するなどして様子を見ることで治癒することも多いです。一方、頭痛が慢性化している場合は、医師の指導のもとでアセトアミノフェンなどの薬物療法を検討します。またゲームやスマホの使用も制限することが重要です。
保護者の観察が大切です
子どもが自分の身体の症状を上手に伝えられるようになるのは、だいたい5歳くらいからだと言われています。頭痛の症状があるか、どのくらいひどいか判断し適切な対処をするには、本人の様子を日頃からよく観察しておくことが必要です。例えば、頭が痛い様子があるが、いつものように遊んでいるといった場合には、軽度のケースが多いです。一方発熱があったり、嘔吐が見られたりする場合、意識がしっかりしていない等いつもと変わったところがある場合にはすぐに受診するようにしてください。
生後半年間は胎児期の母親からの移行抗体で”かぜ”に罹りにくいことが知られています。しかし母親をはじめ同居家族がコロナに感染した場合、赤ちゃんへも容易に感染します。実際に、赤ちゃんがコロナに感染する可能性はどの程度あるのか、また症状や対処法は大人と違いがあるのかなど、もしもに備えて知っておきましょう。
赤ちゃんがコロナに感染する可能性に関して、胎児期の移行免疫、母乳による免疫機能を助ける働きによって感染症にかかりにくいことから、コロナには感染しないと思う方もいるでしょう。実際には、母乳育児かどうかにかかわらず、コロナの感染のしやすさは大人と同程度とされています。
赤ちゃんがコロナに特別にかかりにくいとは考えない方がよいでしょう。
感染時の主な症状
赤ちゃんがコロナに感染した場合の症状は、大人と比べて軽いとの報告があります。しかし、まれに重症化することがあり、感染症対策が必要です。
症状は、乾いた咳や鼻水、鼻づまり、発熱などです。ただし、鼻水や鼻づまりなどの症状は大人と比べて少ないとされています。一部では、嘔吐や腹痛、下痢といった消化器症状もみられます。これらの症状が現れない無症状のケースもあることから、コロナに感染している人と接触した場合には注意が必要です。
赤ちゃんへのコロナの感染のしやすさは、新型コロナウイルスの株によって異なります。変異株のオミクロンが流行した際は、子供の感染が増えたといわれています。今後も、変異株の流行によって感染のしやすさに変化がみられる可能性があるため、流行期には感染症対策をより徹底することが大切です。
自宅で観察すべき症状と対応方法次の症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。
☑ ゼイゼイと呼吸が苦しそう
☑ 顔色が悪い
☑ 母乳やミルクを飲まない、嘔吐や下痢が続いていて口の中の乾き、尿の色が濃い、少ないなど脱水の症状がみられる
☑ ぐったりとしている、呼びかけても反応がない
☑ 38度以上の発熱が半日以上続いている
☑ けいれんした
けいれんが起きた(手足のつっぱり、眼が上を向くなど)場合は救急車を呼びましょう。
また、コロナ感染に合併してクループ症候群になる子供がみられます。「ケンケン」とオットセイの鳴き声のような咳が止まらないとき、咳で寝れなそうなときは医療機関を受診しましょう。
自宅でのお世話の方法
赤ちゃんは脱水症になりやすいことに加え、気道が細いことから呼吸器感染症が重症化しやすい傾向があります。
コロナ感染によって発熱した場合、こまめに母乳やミルクを与えて脱水を防ぐことが大切です。なお、2歳未満の子供へのマスクの着用は、呼吸を妨げるリスクがあるため避ける必要があります。お世話をする家族のマスクの着用期間は、症状が現れてから10日間、症状がなくなってから3日間のうち、長い方の期間が経過するまでです。
新型コロナウイルスは便にも排出されるため、おむつ交換の際はおむつ交換用のシートを使用するか、交換したところの床を清掃しましょう。おむつはビニール袋で二重に密閉して捨て、その後は必ず手を洗うことが大切です。
また、日中はなるべく換気をする、赤ちゃんの鼻水や吐しゃ物がついた衣類はすぐに洗濯するなどしましょう。入浴は、新生児を最後に入れることに加え、タオルの共有は避けてください。
新生児のコロナへの感染のしやすさは大人とほとんど変わらないうえに、重症化するリスクもあるため、適切な対応を心がけましょう。
むし歯は、放っておくと歯を失うだけではなく、痛みが原因で食事がとりづらくなることや、乳歯の下にある永久歯の歯や歯ならびに悪影響を及ぼすことがあります。むし歯は日常生活にさまざまな影響を及ぼす疾患です。
その為、日々の歯磨きは、むし歯を防ぐために欠かすことができません。乳幼児のうちから適切な歯ブラシを身近に感じてもらい、正しい持ち方、磨き方で歯磨きを習慣づけましょう。
歯ブラシの持ち方とその影響とは
歯ブラシを正しく使ううえで、正しい持ち方を身につけることは欠かせません。歯ブラシをわしづかみすると、磨く力が強すぎるために毛先が広がり、歯垢をしっかりと落とせなくなります。
優しく磨くと汚れが落ちている気がしないかもしれませんが、汚れを落とすのは歯ブラシの毛先であるため、優しい力で細かく磨くことが大切です。
また、歯茎に付着した歯垢はマッサージするように磨いて落とすのですが、力が強すぎると歯茎を傷つけてしまうことがあります。適度な力加減であれば、歯茎にダメージを与えずに汚れを落とすことができます。
ペングリップ式の持ち方のメリット
子供は、歯ブラシを手のひらで握る「パーム式」で持ちがちですが、鉛筆と同じように持つ「ペングリップ式」が推奨されています。ペングリップ式は、パーム式と比べて力の入れ方をコントロールしやすいため、結果として適度な力加減で磨くことができます。
歯磨きのときの適切な力加減は、150~200gとされています。実際にスケールで計測すると、予想以上に優しい力で磨く必要があることがわかるでしょう。判断が難しい場合は、歯ブラシの毛先が広がらない程度の力、もしくは手のひらに歯ブラシを当てて皮膚が少し白くなる程度の力を目安としてください。
ペングリップ式を乳幼児から身に付けましょう
ペングリップ式は、鉛筆の持ち方を習得しているお子さまであれば、抵抗なく持てるようになるはずです。実際にやって見せたり、イラストで伝えたりするとよいでしょう。
続いて、正しい磨き方を伝えてください。磨き方のポイントは、歯ブラシを小刻みに動かして 1 本ずつ磨くこ とです。実際にやって見せるだけではなく、子供の手を持って動かしましょう。
ペングリップ式で磨く場合は、持ち手にガイドがついた歯ブラシが適しています。持ち手が四角形の歯ブラシ は、角度を変えるときに持ちづらく感じてしまい、うまく磨けなくなる可能性があります。
歯磨きへのやる気を育むために
歯磨きの技術を伝えても、本人がやる気にならなければ習慣化はできません。子供が歯磨きに対するモチベーションを高く保てるように、親が導いてあげることも大切です。例えば、好きな色やキャラクターの歯ブラシを使うだけでも、モチベーションアップにつながります。
また、果物の味や匂いがついた歯磨き粉を使うと、歯磨きの時間が楽しみになるかもしれません。そのほか、キャラクターが歯磨きを教えてくれる動画を見せることも効果的です。
子供によって歯磨きに対するやる気やモチベーションが上がるポイントなど異なるため、さまざまな方法を試 してみましょう。
また、歯磨きが終わった後に大げさなぐらいにしっかりと褒めてあげてください。反対に、「なぜうまく磨けないの?」と叱ると、歯磨きが嫌いになる恐れがあります。うまくできなかったり途中でやめてしまったりしても、頑 張ったことを褒めてあげましょう。歯磨きは大人でも完璧に磨けている人は少ないと言われています。子どもたちに教えるときは、1回や2回でできるようになろうとせずに、焦らずに少しずつ習慣付けましょう。少しずつ上手に磨けるようになることを心がけることが大切です。
子どもの頃に正しいセルフケアが身につくと、大人になってからも歯の健康を守りやすくなります。お子様の将来のためにも、歯ブラシの持ち方、ペングリップ式を使うべき理由などについて理解し、正しい歯磨きの方法を教えましょう。
乳幼児期(1歳~)にいびきがみられる場合は、原因を突き止めて対処する必要があります。
早めに対処しなければ成長や学習などに悪影響が及ぶ可能性があるため、いびきが長く続く場合はクリニックを受診しましょう。
乳幼児期のいびきの原因と影響

いびきは、鼻から気管支あたりまでの「上気道」が狭くなり、気道の粘膜が振動することで発生します。上気道が狭くなる原因には、鼻づまりや風邪、扁桃やアデノイドの肥大、アレルギー、構造的な問題、肥満などがあります。
いびきをかいていても十分に酸素を取り込めていれば問題ありません。
しかし、睡眠時無呼吸症候群と呼ばれる睡眠中に呼吸が停止する病気の場合は、睡眠の質の低下による成長・学習への影響が懸念されます。
いびきの診断と治療
乳幼児のいびきが酸素を取り込めていないほどに重度かどうかは、見た目や音だけでは判断できません。まずは専門家に相談し、いびきの状態や影響度について詳しく調べることが大切です。
乳幼児のいびきの検査では、上気道が狭くなる原因がないか調べます。また、検査機器で睡眠中の呼吸やいびき、心拍などをモニターするほか、睡眠の状況をご家族の方に動画で記録していただきます。
いびきの原因を特定できた場合は、原因に合った治療を行います。例えば、アレルギー性鼻炎が原因の場合は、アレルギー反応や炎症を抑える薬が有効です。また、扁桃またはアデノイドの肥大が原因の場合は、切除手術を検討します。
いびきの予防と対策
扁桃またはアデノイドの肥大によるいびきは予防できませんが、アレルギーや肥満などが原因のいびきは予防できる可能性があります。
適切な寝具や寝姿勢の確保
枕の高さが合わないと、上気道が圧迫されて狭くなり、いびきが起こりやすくなります。高すぎても低すぎても悪影響が及ぶため、子どもに合う高さに調整することが大切です。朝、起きたときに枕から頭がずれ落ちている場合は、枕の高さが合っていない可能性があります。枕の高さが合っているかどうか本人が判断することは難しいため、首の付け根部分と背中が布団に着いているかどうかを確認しましょう。首の付け根部分と背中が布団に着いていない場合は、着くように枕の高さを変えてみてください。
また、仰向けよりも横向きに寝る方がいびきが起こりにくい傾向があります。なかなか横向き姿勢を維持させることは難しいものですが、可能な範囲で姿勢を保てるようにしましょう。ただし 、SIDS(乳幼児突然死症候群)の予防の観点から1歳頃までは仰向けで寝かせることが大切です。
アレルギー対策

ハウスダストや花粉などが原因で上気道の粘膜に炎症が起きている場合は、アレルギーの原因となる物質を遠ざけることが大切です。こまめに掃除機をかける、空気清浄機を利用する、ダニやカビが繁殖しやすいタオルはこまめに洗濯する、家の外で身体についた花粉を払ってから家に入るなど、さまざまな方法で対策しましょう。
適度な運動と栄養バランスの良い食事
肥満を防ぐために、適度な運動と栄養バランスの良い食事を心がけることも大切です。積極的に公園へ連れて行く、糖質や脂質が多すぎるメニューを避ける、おやつを与えすぎないなど、家族の方が生活習慣をコントロールしましょう。
加湿器の使用

空気が乾燥していると感染症のリスクが高まります。感染症を防止することでいびきを予防できるため、部屋が乾燥しないように加湿器で湿度を40~60%に保ちましょう。また、こまめに水分をとって、上気道の乾燥を防ぐことも感染症対策に有効です。水分をとると鼻水も柔らかくなるため、鼻詰まりの予防にもつながります。
まとめと今後の展望
乳幼児期のいびきを放置すると、睡眠の質が低下することで成長や学習面に悪影響が及ぶ可能性があります。子どものいびきは家族の方が見つける必要があるため、寝ている様子をこまめにチェックすることも大切です。
もし、いびきが長く続くようであれば専門家に相談しましょう。
基本的に赤ちゃんにはいびきは起きません。寝ているときに必ず起きるものではなく、いびきは何らかの原因で鼻呼吸ができていない可能性があります。
「寝る子は育つ」と昔からいいますが、寝ている時間が多い赤ちゃんの場合より睡眠の質を上げてあげることが良い成長に結びつきます。
赤ちゃんのいびきの原因は
・風邪などによる鼻づまり
・アデノイド(咽頭扁桃)肥大によって鼻の奥が狭くなっている
・口蓋扁桃肥大によって喉の奥が狭くなっている
・アレルギー性鼻炎による鼻づまり
もともと、赤ちゃんは鼻の奥の空気が通る部分が大人と比べて柔らかく、息を吸うときにその組織が震えていびきに似た鼻息のような音が聞こえことがあります。これは病気ではなく成長に伴って改善していくものですが、いわゆるいびきによって十分に睡眠が取れていないような場合は注意が必要です。
赤ちゃんがいびきをかく場合は、睡眠時無呼吸になっていないか確認しましょう。睡眠時無呼吸とは、睡眠中のいびき、低呼吸・無呼吸を繰り返すことで睡眠の質が低下し、成長や発達に影響を及ぼす病気です。
日中に眠気や集中力低下などを引き起こす大人の病気としては知られておりますが、子どものケースでは大人とは症状が異なってくるため見過ごされやすいと考えられます。以下の症状がみられた場合は、睡眠時無呼吸の可能性があります。
・大きないびきを繰り返す
・呼吸が数秒間止まる
・眠りが浅くて何度も起きる
・寝ぼけることが多い(夜驚症)
・いつまでもおねしょが続く(夜尿症)
・呼吸時にみぞおちがへこむ
・不機嫌
・寝起きが悪い
・口が渇いている
不機嫌や寝起きが悪い、口の渇きなどは、睡眠時無呼吸ではなくとも起きる症状です。数日様子を見ても改善しない場合は、赤ちゃんの体調に何らかの問題があると考えられます。
赤ちゃんのいびきは放っておくと危険
赤ちゃんがいびきをかいている場合、睡眠の質が低下することで成長ホルモンの分泌が減少し、成長発達や、顎や顔の骨格形成などに悪影響を及ぼす可能性があります。
いびきを放置すると、それだけ成長ホルモンが十分に分泌されていない期間が長くなり、成長発育への影響も大きくなります。
さらに、睡眠時無呼吸になった場合は、心臓に大きな負担がかかることで乳幼児突然死症候群のリスクも高まる可能性もあるとも言われています。
赤ちゃんの健やかな成長のためにも、いびきがみられた際はなるべく早く医師に相談しましょう。病院・クリニックでは、いびきの原因を突き止めるために次のように診察・検査します。
・鼻と喉に病変がないか確認
・アレルギー性鼻炎の有無の確認(採血などでアレルゲンを調べる)
・アデノイド肥大や口蓋扁桃肥大がないかを調べる
診察・検査の方法や流れは医療機関で異なります。
赤ちゃんのいびきの対処方法
赤ちゃんのいびきは原因を解消すること改善するため、症状を抑える治療を行います。例えば軽い鼻詰まりが原因の場合は、鼻吸引などの鼻処置や点鼻薬や抗アレルギー薬などで症状を抑えて経過観察します。肥満の場合はミルクや母乳の与える量・頻度の指導をすることもあります。
重症例でアデノイド肥大や口蓋扁桃肥大を認める場合には、「アデノイド切除術」「口蓋扁桃摘出術」を検討します。通常は3歳以上を手術対象としている施設が多いのですが、3歳未満でも重症例に対して安全な手術(内視鏡手術や術後ICU管理など)を行う施設も一部あります。
横向き枕を使用することで改善する場合もありますが、自己判断に基づいた対処をしている間に状態が悪化する可能性もあるため、赤ちゃんのいびきが気になる場合は早めに医療機関を受診しましょう。