子育ては、パートナーや周囲の人たちと協力して行うことが必要です。ママ一人で行うワンオペ育児は、心身の疲労や孤独感を抱えやすい傾向があります。子どもの心を健やかに育てるためにも、日頃からママがストレスを溜めすぎないことが大切です。
本記事では、ワンオペ育児の支えになる行政サービスやデジタルリソースの育児支援について紹介します。
ワンオペになりがちな現代の育児環境の事情
現代の育児環境は、男性の育休取得率が増加しつつあります。しかし、日本の男性の労働時間の長さや、核家族の一般化によって近くに頼れる人がいない環境になりやすいことから、まだまだワンオペ育児のママが多いのも事実です。
ワンオペ育児の日中は必要な育児をして、夜は夜泣き対策や授乳を行うことからママが休める時間がほとんどなく、体力的な負担が非常にかかります。
また、一人だとどうしても常に目を離さないことはできないことから、事故のリスクに対する不安も感じます。
ママの心のケアが子どもの成長にも影響
ワンオペ育児はママの身体的な負担だけでなく、精神的にもストレスがかかります。常に育児で休めない状況が続くことによって心身の疲労が溜まったり、パートナーや両親に育児の相談をできないことから孤独を感じたり、精神的に不安定になりやすくなります。精神的に不安定になると体調を壊しやすくなり、子育てにも影響します。
ママと子どもの成長のためにも、行政サービスを利用したり、男性が育児休暇を取得したりして、ママの心をケアしましょう。ママ・パパ二人で育児を行うことは、子どもにとっても何よりの家庭環境になります。
行政サービスや周囲の力を頼りましょう
子育てには、行政サービスを積極的に利用しましょう。育児支援に関する行政サービスの内容は、以下のようなものがあります。
☑ 子育て相談(電話相談、出張相談、訪問など)
☑ 育児援助(育児支援ヘルパー派遣、施設の一時預かりなど)
☑ 子ども向け施設(子育て施設支援、遊び広場、児童センターなど)
困ったことがあったら電話相談や地域の保健センターを利用してみてください。子どもとママが集まる子育て支援施設でママ同士交流してみるのも良いでしょう。
行政サービス以外にも、ベビーシッターも頼める家事代行サービスや家政婦サービスなどがあります。このようなサービスを頼って、思いきり自由な時間をつくってみてはいかがでしょうか。
最近では産後ケアセンターや産後ケアホテルが人気となっています。産後ケアホテルは、産後のサポートを専門家から受けられるホテルで、心身の回復を目的としています。里帰りが難しい人や旦那さんの休暇が取れない家族などに適しており、行政の施設と違って誰でも利用可能です。家族全員での滞在も可能な場合があります。
デジタルリソースをした育児支援も活用
今では育児をサポートするデジタルリソースも充実しています。育児に役立つデジタルリソースの例を紹介します。
☑ 子育てサイト・アプリ
☑ デジタル母子健康手帳
☑ 育児記録アプリ
地域や企業が運営する子育てポータルサイトやアプリでは、子育てに関する地域のイベント情報を見たり、オンライン相談ができたりします。電話だと話しにくいことも、オンラインだと気楽に話せます。
デジタル母子健康手帳や育児記録アプリでは、子どもの成長記録をアプリやクラウドに保存できます。パートナーが仕事で子どもの様子を見られないときでも、オンライン上で子どもの状況を確認できるので、夫婦で成長を見守ることができます。予防接種のスケジュール管理なども可能です。
まとめ
育児において、周りに頼れる人がいない状況はとても大変です。ワンオペ育児で疲れを感じ、愚痴を言ったり誰かに頼ることは間違っている、またはそれが弱音と感じてしまっていると思いがちですが、そうではありません。困ったときは一人で抱え込まずに、オンライン相談や育児支援サービスを使用してみてください。
お子さまだけでなくご自身の心身も大切にして、頻繁にケアしていきましょう。
アトピー性皮膚炎は、症状の悪化と改善を繰り返す慢性的な病気です。睡眠や食事、ストレスなど、さまざまな要因で症状の現れ方が変化します。妊娠した際にもアトピー性皮膚炎の症状が悪化したり改善したりする場合があるため、妊娠を予定している方は事前に確認しておきましょう。
妊娠とアトピー性皮膚炎との関連
妊娠とアトピー性皮膚炎の関連については明確ではありませんが、妊娠中に症状が悪化する場合があります。中でも妊娠中期~後期にかけて症状が悪化する傾向があるといわれています。
妊娠中にアトピー性皮膚炎が悪化する理由ははっきりとはわかっていませんが、妊娠に伴って免疫状態が変化することが関係している可能性があります。また、女性ホルモンの分泌増加、発汗過多やストレスなども推測されている要因の1つです。
このように、妊娠とアトピーの関係については十分に解明されていないため、悪化を予防する方法もありません。症状が悪化したかどうかにかかわらず、適切な治療やスキンケアと生活の工夫を続けることが大切です。
妊娠中のアトピーケアと生活の工夫
妊娠中も妊娠していないときと同じ方法で、アトピー性皮膚炎に対するスキンケアや生活の工夫をしましょう。アトピー性皮膚炎は肌のバリア機能が低下しているため、入浴やシャワーで肌を清潔に保つことが大切です。その後、放置すると肌の水分が失われるため、水分を保持したり水分の蒸散を防いだりする塗り薬を使用しましょう。
日常生活では、十分かつ良質な睡眠、栄養バランスのとれた食事、適度な運動、ストレスケアなどを心がけてください。また、ハウスダストがアレルゲンとなり、かゆみや赤みが現れることが多いため、こまめな掃除も必要です。最初に拭き掃除をしてから掃除機をかけることで、床のダニが舞い上がってしまうことを防ぐことができます。
妊娠中のアトピー性皮膚炎治療
妊娠中は使用できる薬が限られていますが、アトピー性皮膚炎の治療薬の多くは妊娠中でも問題なく使用できます。肌に生じた炎症には、比較的マイルドな効果のステロイド軟膏を使用し、必要に応じて効果が高いものへ切り替えます。また、外用薬だけでは改善しない場合は、内服の抗ヒスタミン薬の使用を検討します。
ただし、内服薬の成分は血液を介して胎児に届くことから、外用薬と比べて妊娠初期には使用制限が厳しくなっているため、妊娠の可能性がある場合はまず薬の服用を中止して早めに医師に相談しましょう。必要に応じて薬の変更を検討します。
なお、どのような場合でも薬を使用するのではなく、治療上の有益性が薬の使用による母児への危険性を上回ると医師が判断した場合にのみ使用できます。
出産後のケアと子供への影響
出産後も引き続きアトピー性皮膚炎の治療とスキンケアを続けることが大切です。アトピー性皮膚炎はストレスの影響で悪化する可能性があるため、なるべくストレスを避けるように心がけましょう。しかし、ストレスを抑えて育児するのは難しいかもしれません。
夜眠れないときは、家族や親族に少しでもサポートしてもらったり、行政や民間のサービスを利用したりして、少しでもストレスを減らしましょう。
授乳中の治療については、特に内服薬を使用する際に注意が必要です。内服薬の成分はわずかに母乳に移行することが推測されているが、それを赤ちゃんが摂取した場合の安全性に関してはデータが極めて少ないため、赤ちゃんの様子を確認しながら慎重に薬を使用します。薬の成分が赤ちゃんに届いてしまうことが気になる場合は、「治療を受けること」と「母乳栄養」の有益性を考慮したうえで、内服薬を中止するか、授乳を続けるかどうかを判断することが大切です。
いずれにしても、妊娠の可能性があるとき、妊娠がわかったとき、産後のそれぞれの時期において主治医に相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。
耳管開放症は鼻と耳をつなぐ耳管が閉鎖しない、開いたままの状態で様々な症状を引き起こします。妊娠のほか、体調不良や急激なダイエットなどをきっかけに発症する人が多いとされています。妊娠中はただでさえ体調に変化が起こりやすいため、耳管開放症の症状や予防法を理解して、正しく対処することが大切です。
耳管開放症の概要
耳管は通常閉じていますが、唾液を飲み込むときやあくびをしたときなどに一時的に開き、中耳・鼓室(鼓膜の奥の空間)の気圧を調整する役割があります。山を登る、エレベーターで高層階に移動する、飛行機搭乗中などに、耳が詰まった感じになり、あくびをすると治ったという経験がある方は多いのではないでしょうか。これは耳管の気圧の調節が追い付かず、起こる症状です。開放症になり耳管が常時開いたままになると、鼻から中耳へ空気や音声が自由に通り、耳が詰まった感じがし、声がこもって聞こえます。
そのほか、自分の声や呼吸音が響いて聞こえる、耳鳴り、めまいなどの症状が現れます。横になって寝る、頭を下げると症状が軽快するのが特徴です。
治療は頭を下げる、横になるなどの体位を指導します。この他、生理食塩水を点鼻する、漢方薬の内服、鼓膜をテープで補強する治療などがあります。重症の場合、耳管にピンを挿入する手術が行われることがあります。
耳管開放症と妊娠の関連性
妊娠中のつわりによる急激な体重減少によって耳管の周りの脂肪が減少することで、耳管が常に開いた状態になります。症状がつらい時は、頭を下げる、または横になって休むようにしてください。出産後は耳管開放症が改善することがほとんどです。
ただし、耳管開放症と似た症状が現れる病気が隠れている可能性もあるため、出産後も症状が続く場合は、医師に相談することをおすすめします。
妊娠中の耳管開放症の予防策
妊娠中の耳管開放症はつわりによる体重減少が関係しています。つわりの度合いには個人差があるため、ほとんど食事や水分の摂取ができない方もいれば、いつもどおりに摂取できる方もいます。つわりがひどくて急激な体重減少が生じるおそれがある場合は、早めに医師に相談することが大切です。食生活の工夫についてアドバイスを受けるほか、栄養や水分を点滴で取り入れることで、急激な体重減少を防げる可能性が高まります。
また、妊娠中に太りたくないからといって、過度な運動や食事制限をしてはいけません。身体に大きな負担がかかるだけではなく、お腹の赤ちゃんに悪影響が及ぶおそれもあります。
今回は、妊娠中に多くの方にみられる耳管開放症について解説しました。日常生活に大きな影響は出ないものの、不快感によって妊娠生活がつらいものとなる可能性は否定できません。つわりで飲食が難しいときは早めに医師に相談するほか、妊娠中の過度なダイエットは避けることが大切です。
母乳は赤ちゃんにとって、大切な栄養源。そしてお母さんの産後の回復や免疫を引き継ぐ役目等もあり、できる限り母乳で育てられることが推奨されています。
そして良い母乳づくりのためには、毎日のお母さんの食事と栄養バランスがとても重要です。妊娠期に続いて授乳期も、積極的に摂りたい食べ物・避けた方が良い食べ物を理解して、日々の食事を気を付けましょう。
良質な母乳のために摂りたい栄養素

母乳はお母さんの血液の成分から生成されます。
お母さんの口にした食べ物は胃や腸で消化吸収された後、ブドウ糖やアミノ酸などに分解され、血液となって全身に運ばれます。その血液が乳腺組織に取り込まれて、母乳が作られるのです。
そのため、お母さんのバランスの良い食事は良い母乳づくりの第一歩といえます。次に挙げた成分は特に、授乳期には重視したい栄養素です。普段の食事に積極的に取り入れるように、心がけましょう。
● 鉄分
牛肉の赤身肉やレバー、あさりやカツオ等に多く含まれる鉄分。血液を生成する大切な栄養成分ですので授乳中は特に大切です。ビタミンCと一緒に摂取すると体内への吸収が高まり効果的です。
● カルシウム
母乳の生成に必須栄養素となります。母乳が良く出るお母さんでも、カルシウムの摂取が少ないと骨粗鬆症になる恐れもあるため、積極的な摂取を心がけましょう。
● 葉酸
妊娠前から必要な栄養素である葉酸は、血液を作る働きがあるため授乳期の女性にとっても重要な栄養素です。枝豆やブロッコリー、アスパラガス、春菊などに多く含まれています。 また、授乳中は水分補給を忘れずに。母乳の約9割が水分であり、お母さんの水分不足は母乳の量にも影響すると言われています。
授乳期に避けるべき食材は

お母さんが口にした食べ物は母乳に影響を与えます。アルコール類はもちろん、添加物や化学調味料などを多く含む食品は極力避けておいた方がよいでしょう。
また糖分の多いおやつ、脂っこい揚げ物などは母乳の出や味を悪くする可能性があります。こういった高カロリーの食品は、ついつい食べてしまうことあるとは思いますが、授乳中はできるかぎり控えるように心がけましょう。
食べ応えのあり栄養価の高い豆類、フルーツなどを上手に摂って、ストレスをためずに食事を楽しめるといいですね。
母乳が出ているかご心配の方は母乳外来も

赤ちゃんのためにもっと母乳の量を増やしたい、というお母さんも多くいらっしゃいます。母乳の出具合は、体質やホルモンの影響など受けると言われています。そのため、日々のバランスの良い食事と合わせて、ホルモンバランスを整えるリラックスした時間も大切になってきます。
また赤ちゃんの母乳の飲み方や搾乳などにも、母乳の出具合が関係することもあります。ご自分の母乳がきちんとでているか、赤ちゃんがちゃんと飲めているのか、ご心配な方は産婦人科の母乳外来で相談されても良いでしょう。
妊娠中は動作も緩慢になり、運動不足になりがちです。周囲からも安静を促されることが多いため、動く機会が減ってしまうこともあるようです。しかし健康な母体づくりのためには、適度な運動を取り入れることはとても大切です。妊娠中の運動してい良い時期や、適切な運動内容について確認しておきましょう。
妊娠初期の運動は慎重に

妊娠初期はとてもデリケートな時期ですが、運動をやめる必要があるわけではありません。かかりつけ産婦人科医とよく相談しながら、妊娠前と変わらない運動をする分には問題ありません。
一方、妊娠して新たに始めるスポーツ等は控えましょう。慣れない動作などで、怪我や転倒などのリスクが伴うためです。妊娠前に運動の習慣がなかった方は、散歩など軽い運動に取り組むと良いでしょう。
妊婦におすすめの運動

安定期に入ると体重のコントロールのためにも、妊婦の運動は推奨されています。ただ、激しい運動は妊娠期間中を通じて厳禁。ジャンプが伴う運動や負荷をかけるような運動、長時間立ち通しになる運動、おなかを圧迫するような運動も避けましょう。自転車については、移動手段の都合などでどうしても利用する必要がある場合は、妊娠初期~中期のはじめまでとし、おなかが出てきたら利用を止めるようにしましょう。特に妊娠後期は大きなお腹でバランスがとりにくくなり、転倒のリスクが高くなります。安全のためにも乗らないようにしてください。運動としてのエアロバイクは、無理のない範囲であれば問題ありません。
妊娠期に適したスポーツは安全な有酸素運動で、全身運動になるもの、そして楽しく長続きするものがおすすめです。代表的なものとしては、水泳やエアロビクス、ウォーキングなどです。しかしこれらの運動でも、無酸素運動の状態とならないように。例えば水泳のタイムを競ったりするなど、瞬間的に強い力が必要になるやり方は禁物です。またお腹の張りなど、なにか異変を感じたらすぐに運動を中断して安静に過ごすようにしましょう。
妊娠期に運動する際の注意点
日本臨床スポーツ医学会産婦人科部会の提言する「妊婦スポーツの安全基準(2019)」を参考に妊娠期の運動の際の注意点を挙げておきます。下記の事項に注意しながら、健康な母体づくりをしていきましょう。
1. 母児の条件
1)現在の妊娠が正常で、かつ既往の妊娠に早産や反復する流産がないこと。
2)単胎妊娠で胎児の発育に異常が認められないこと。
3)妊娠成立後にスポーツを開始する場合は、原則として妊娠12週以降で、妊娠経過に異常がないこと。
4)スポーツの終了時期は、十分なメディカルチェックのもとで特別な異常が認められない場合には、特に制限しない。
2. 環 境
1)真夏の炎天下に戸外で行うものは避ける。
2)陸上のスポーツは、平坦な場所で行うことが望ましい。
3.スポーツ種目
1)有酸索運動、かつ全身運動で楽しく長続きするものであることが望ましい。
2)妊娠前から行っているスポーツについては、基本的には中止する必要はないが、運動強度は制限する必要がある。
3)競技性の高いもの、腹部に圧迫が加わるもの、瞬発性のもの、転倒の危険があるもの、相手と接触したりするものは避ける。
4)妊娠16週以降では、仰臥位になるような運動は避ける。
4.メディカルチェック
1)妊婦スポーツ教室を実施する場合
a.医療施設が併設されているか、あるいは緊密な連携体制が確立していること。
b.運動開始前後に母体血圧、心拍数、体温、子宮収縮の有無、胎児心拍数測定などのメディカルチェックが実施できること。
2)個人でスポーツを行う場合
a.スポーツを行っていることを産科主治医に伝えること。
b.スポーツ前後に心拍数を測定し,スポーツ終了後には子宮収縮や胎動に注意すること。
c.体調に十分に注意し、無理をしないこと。
5.運動強度
1)心拍数で150 bpm以下,自覚的運動強度としては「ややきつい」以下が望ましい。
(資料編日本臨床スポーツ医学会誌:Vol. 13 Suppl., 2005.277)
2)連続運動を行う場合には,自覚的運動強度としては「やや楽である」以下とする。
6.実施時間
1)午前10時から午後2時の間が望ましい。
2)週2~3回で、1回の運動時間は60分以内とする。
7.その他
1)高血圧症、糖尿病、肥満症などの妊娠中の合併症の予防と治療を目的とする運動療法は、専門医と相談の上で、十分に注意して実施すること。
妊娠を希望するようになった時、最初に意識してほしいことは毎日の食事と栄養バランスです。妊活中に摂取する栄養は、妊娠しやすい体づくり、そして生まれてくる元気な赤ちゃんのためにとても大切です。食事や生活面で、妊活中にどんなことを心がければよいのか改めて確認しておきましょう。
妊娠に気づいた時には既に赤ちゃんの体が形成されている

女性が妊娠に気づく時期は、早くて妊娠5~6週目の頃です。妊娠5週目とは、おなかの中の赤ちゃんの脳、臓器、目、鼻などが形成される時期。つまり、女性が妊娠に気づいた時には、赤ちゃんの体の重要な器官の多くが既にできあがっているのです。細胞分裂がとても活発な妊娠初期、お母さんの摂取した栄養も大きな役割を果たします。
そのため妊娠に気づく前の妊活中から、毎日の食事と栄養バランスに気を付けることが大切になってきます。
妊娠を考えた時から摂取したい栄養素

妊娠を考えた時から、女性は赤ちゃんの成長に関わる栄養素を意識して摂取することが必要です。特に「葉酸」は、妊娠前から積極的に摂取できる食事を心がけましょう。
厚生労働省は、‘妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までの間に、1日0.4mg(400μg)の葉酸を摂取することによって神経管閉鎖障害の約70%の予防効果がみられる’と発表しました。胎児器官形成は妊娠4週には開始するため、妊活中から葉酸を十分含んだバランスのよい食事を心がけることが重要です。
その他にも、鉄分やたんぱく質、ビタミンDやビタミンB6、亜鉛も妊娠を望む女性には欠かせない栄養素です。妊娠のために、産めるカラダづくり(プレコンセプションケア)はとても大切ですので、カラダの資本となる食事の栄養バランスには普段よりも意識しましょう。
妊活は普段の食事を見直すことからスタート

葉酸をはじめとする妊活~妊娠に必要な栄養素を摂取するために、現代では様々なサプリメントが販売されています。サプリメントは必要な栄養素を補うために手に取り入れることも一つの方法です。ただ、サプリメントに頼り切って、普段の食事をおろそかにしてしまうことは問題です。いくらサプリメントで栄養素を補えたとしても、添加物や化学調味料などを摂取してしまう可能性もあるからです。
妊娠を考え始めた時から、最初に取り組みたいことはやはり普段の食生活の見直しです。理想は、サプリメントに頼りすぎず毎日口にする食事の栄養バランスを、改めて見直してみることが大切です。
妊活に悩んだらブライダルチェックという選択肢も
妊活中の女性にとって、食事をはじめ様々なことに迷ったり悩んだりすることでしょう。妊活についての正しい知識を得るために、また自身の体を改めて確認するためにも、婦人科でブライダルチェックを受けることも選択肢の一つです。
ブライダルチェックとは、結婚や妊娠を控えた方が子宮や卵巣などに疾患がないかを検査する診療です。ブライダルチェックを受けることで病気の早期発見・早期治療に役立ち、何も異常がなければ安心して妊活に取り組むことができます。妊娠してから発見された病気は、治療が難しい場合もあります。
正しい妊活のための体づくりについて、専門医から必要な生活習慣や食生活なども、アドバイスも受けられますので気になる方は一度受診されてみると良いでしょう。
母乳には、赤ちゃんの成長に欠かせない栄養が豊富に含まれています。また、免疫力を強化して、細菌やウイルスなどから赤ちゃんを守る効果も期待できます。ただ、ミルクにも母乳と同程度の栄養が含まれているため、赤ちゃんの成長においてはどちらを与えても問題はありません。
赤ちゃんの健やかな成長を願う方は、母乳の栄養成分や免疫強化の仕組みなどを確認しておきましょう。
母乳の栄養と赤ちゃんの成長

母乳には、タンパク質や脂質、炭水化物、ビタミンAやビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンKなどのほか、カリウムやカルシウム、マグネシウム、セレンなど、さまざまな栄養成分が含まれています。
大人がこれらの栄養を食事から摂るように、赤ちゃんは母乳やミルクから同じように栄養を摂ります。赤ちゃんの皮膚や筋肉、内臓、骨などを作り、成長させるためには母乳やミルクを適切な回数・量で与えることが大切です。
母乳のパワー~ 免疫力強化
母乳には、赤ちゃんを細菌やウイルスなどから守る「免疫グロブリンA (IgA)」や「ラクトフェリン」などの免疫物質が含まれています。中でも産後10日目頃までに分泌される「初乳」に多く含まれており、この時期に授乳することで赤ちゃんの免疫力を強化できます。
これらの免疫物質はミルクには含まれないため、母乳を与えるメリットの1つといえるでしょう。また、乳幼児突然死症候群の発症率の低下や小児期の肥満の低下、将来の糖尿病の発症リスクの低下など、さまざまな健康面のメリットがあります。
ただし、ミルクで育てているからといって、免疫力が低くなったり乳幼児突然死症候群をはじめとするトラブルのリスクが高まったりするわけではありませんので安心してください。
母乳が出づらいときの対策
母乳が出づらい場合は、赤ちゃんに乳首を吸わせる回数を増やしてみましょう。母乳を分泌するためのホルモン値が高まり、母乳が出やすくなる可能性があります。また、乳首をしっかりとくわえられていない場合もあるため、赤ちゃんの顎が乳房に触れるように深くくわえさせてみてください。
それでも母乳が出ない、不足している場合は、ミルクと組み合わせて栄養を補うか、完全にミルクでの育児に切り替えることを検討しましょう。ただし、専門家のアドバイスを得ることで母乳が出やすくなることもあるため、自己判断しないことが大切です。
母乳が出ない、不足しているなどの悩みを抱えると、「生活習慣が悪いから良くなかった」「私が悪い」などと思い込み、落ち込んでしまう方も少なくありません。
もし、母乳について悩みがあるときは、母乳外来や自治体の育児相談室の利用を検討しましょう。母乳に関する専門家に相談することで、母乳が出なかったり不足していたりするときの対応方法がわかるだけではなく、気持ちの面でも楽になる可能性があります。
精神的成長と親子の絆
授乳はもちろん、ミルクをあげるときに赤ちゃんとしっかり触れ合うと、親子の絆を深めることができます。成長に伴い離乳食が始まると、次第に授乳やミルクを与える量が減ってきて、触れ合いの時間がわずかに減ることもあります。
離乳食をあげるときはもちろん、時間があるときは一緒に遊ぶなどして赤ちゃんと関わる時間をなるべく多く確保しましょう。
赤ちゃんの精神的成長と親子の絆の構築が促され、より良い親子関係を作ることができます。
妊婦さんにとって楽な寝方と言われる、「シムス位」という体勢があります。おなかが大きくなって寝苦しさを感じるときにはおすすめの体勢で、産婦人科等でも紹介されています。シムス位の正しいやり方やメリットなどを確認して、寝苦しい時期を乗り切りましょう。
シムス位とは
次の手順でシムス位を行ってください。
1. 身体の左側を下にして、横向きで寝ます。
2. 右足を曲げて、クッションなどの上に乗せます。
3. 手は自分にとって楽な位置に置きます。
寝苦しさが楽になる姿勢は、個人差があります。シムス位が快適ではない場合は、決して無理に行わないようにしましょう。おなかの中の赤ちゃんの位置によっては、左側ではなく右側を下にした方が楽な方もいらっしゃいます。また横向きの寝方がつらい場合は、仰向け寝でも大丈夫です。
自分に合った楽な姿勢を見つけて、安眠をとれるようにすることが大切です。
シムス位のメリット
シムス位は妊娠中の女性の身体にとって、メリットが主に3つあります。
● 胃腸負担の軽減
身体の左側を下にして寝ると、消化系の臓器、胃や膵臓への負担を軽減すると言われています。また胃の形の関係で、左側を下にして寝ると胸やけの原因となる胃酸の食道への逆流を抑制することもできます。
● 腰の痛み緩和
おなかが大きくなると、寝ている時も腰痛に悩まされる方も多くいらっしゃいます。シムス位はおなかの重さを感じにくく、腰痛のつらさを和らげることが可能です。
● 仰臥位低血圧症候群の予防に
仰臥位低血圧症候群とは、妊娠末期に妊婦が仰向け寝をすることで引き起こされる病気です。吐き気や心臓のドキドキ、冷や汗、顔面蒼白などの症状が現れます。左側を向いて寝るシムス位では、血液が循環しやすくなるために仰臥位低血圧症候群を防ぐことができると言われています。
● 妊娠中に控えたい体勢
妊娠中は基本的に、「自分が楽だと感じる体勢」でリラックスして睡眠をとることが大切です。その中で「うつ伏せ寝」はできるだけ控えるようにしましょう。
赤ちゃんは羊水やお母さんの皮下脂肪などのクッションに守られているので、妊娠中にうつ伏せ寝をしたからと言って、赤ちゃんが潰されると言うことはありません。ただし、長時間うつ伏せ寝をすると腰や肩に負担がかかることもあるので、気を付けた方がよいでしょう。多くの場合は、お腹が大きくなると自然とうつ伏せ寝は寝にくくなってくるので、シムス位を試してみることをおすすめします。
妊娠12週頃からはつわりも落ち着き、食欲も増してくる方が多くいらっしゃいます。お腹の中にいる赤ちゃんへ充分な栄養を届けるために食事はとても大切ですが、急激な体重増加は出産に影響を及ぼす可能性が高まります。体重増加の目安によく注意して、出産に備えるようにしましょう。
妊娠中の適正体重

妊娠中における体重増加量の目安は妊娠前の「BMI(Body Mass Index)」の値により定められています。妊娠前の体型によっても、適正体重は異なります。
下記を参照し、ご自分の適正体重増加を確認してください。
BMI=妊娠前の体重(kg)/身長(m)²
妊娠前の体格指数(BMI)が18.5未満「やせ型」の体重増加目安:12〜15kg
妊娠前の体格指数(BMI)が18.5以上25.0未満「ふつう体型」の体重増加目安:10〜13kg
妊娠前の体格指数(BMI)が25.0以上30未満「肥満」の体重増加目安:7〜10kg
体格指数BMI25以上の体重増加目安:個別対応(上限5kgが目安)
● 目安体重の引き上げについて
日本産科婦人科学会は2021年3月、妊娠中の女性が出産までに増やすべき体重について、新たな指標を公表しました。新たな指標では体格指数(BMI)18.5未満の「やせ」の女性の場合は、従来に比べて3キロ多く体重増加することが推奨されます。この度の改訂の背景としては、日本で体重2500
妊娠中に太るリスク・やせるリスク
妊娠中は太りすぎてもやせすぎても、母体と赤ちゃんに何らかの影響を与える可能性があります。太りすぎ・やせすぎによって生じる様々なリスクを確認しておきましょう。
● 妊娠中に太るリスク
妊婦中に目安値を超えて体重増加してしまうと、下記のようなリスクが生じる可能性があります。
妊娠高血圧症候群
母体の肝機能や腎機能、血液凝固機能などに障害が現れ、激しいむくみやけいれん発作等が生じます。また胎盤の働きを弱めてしまうため胎児が育ちにくくなったり、酸素の供給が難しくなってしまう場合がります。
妊娠糖尿病
体重の増加などが要因で、血糖値が上昇し糖代謝異常を起こします。妊娠糖尿病の方は、妊娠高血圧症候群も併発しやすくなります。
帝王切開分娩
産道にも脂肪がつくため、自然分娩が難しくなる可能性が高まります。
巨大児
巨大児で生まれた赤ちゃんは、分娩後に低血糖を起こしやすい傾向があり、様々なトラブルも多くなります。
膝や腰の痛み
急激な体重増加により、身体全体に負荷がかかり膝や腰の痛みを引き起こすことがあります。
微弱陣痛
陣痛が通常よりも弱くなり、出産までの時間が長引き母体に負担となる可能性があります。
他の病気への移行
産後に高血圧や腎臓病などの慢性疾患へ移行する可能性があります。
● 妊娠中にやせるリスク
一方、体重増加を制限するために、過度に体重増加を抑えることも禁物です。母体が推奨体重よりやせてしまうと、次のようなリスクを招く可能性があります。
☑
低出生体重児での出産、胎児発育不全児
☑
切迫早産または早産
☑
母体の健康状態の悪化
☑
貧血
妊娠中にやせすぎてしまうとまず第一に、出生児体重が2,500g未満の「低出生体重児」での出産リスクが高まります。低出生体重児は、身体機能に異常が生じ、成人後に高血圧や糖尿病等を発症する割合が増加することが報告されています。
母体の栄養が不足している状態からお腹の赤ちゃんに栄養供給するため、健康状態が悪化して、早産や胎児発育不全児での出産となる可能性も生じます。さらに妊娠中のトラブルに限らず、母体に様々な健康リスクが伴うため、体重の管理や栄養補給を適切に行うことが大切です。
健康的な体重管理の方法

3食のご飯を規則正しく食べ、食事の量に注意することが重要です。妊娠初期から後期にかけて、体重を理想的に増やすために気をつけたいことをご紹介します。
食事の摂り方
糖質や脂質の多いものを避けバランスの良い食事を心がけましょう。食事を思うように摂れずに体重が増えない場合は、少量の食事をこまめに摂るようにしてみてください。
料理や味付け
塩分は1日あたり6.5g未満に抑えるように注意。揚げ物などを避け蒸し料理などを取り入れたり、天然出汁や御酢などを活用して味に工夫をしてみてください。
運動
家事や散歩など軽度な運動を、無理のない範囲で続けましょう。運動はストレスの解消や気分転換にも最適です。ただし体重が増えすぎたからといって激しいスポーツは厳禁です。
体重や食事を記録する
毎日同じ時間に体重を計ると、体重管理へのやる気が促されます。また体重や食事を記録すると、食生活の見直しにも役立ちます。
体重管理は母体と赤ちゃんの健康のために欠かせません。あまり神経質になる必要はありませんが、急激な体重増加は様々なトラブルの原因になります。
食事内容の見直しや適度な運動、体重測定を習慣にし、無理のない範囲で体重管理をするようにしましょう。食生活の改善を行っても体重管理が難しい時は、担当医や助産師さんに相談するようにしてください。
妊婦さんの2人に1人ができるといわれる妊娠線。一度できてしまうと完全には消えることは難しいといわれています。妊娠初期からケアを行うことである程度予防できるため、妊娠線ができる原因やケア方法を理解して対策を行うと良いでしょう。
妊娠線ができる理由

妊娠線とは、妊娠時にできる肉割れのようなひび割れた線のことです。妊娠線ができる主な理由は、お腹が急激に大きくなる際に皮膚が伸びるためだと言われています。皮膚の表面にある表皮は柔軟に伸びる一方、皮膚表面の下にある真皮と皮下組織は伸びにくく、表皮の伸びるスピードに追いつけない場合に断裂ができます。その断裂によって、赤紫の線状斑の妊娠線ができてしまうのです。特にアトピー性皮膚炎などで慢性的な乾燥状態の人は、妊娠線ができやすい傾向にあります。
さらに妊娠中に増加するコルチコステロイドと呼ばれるホルモンも、妊娠線ができるもう一つの要因です。コルチコステロイドはコラーゲンの生成や肌のターンオーバーを抑える作用があり、皮膚が弾力性を欠いてしまうことで断裂が起こりやすくなります。
また、妊娠線はお腹に周りにできることが多いですが、バストや太もも、お尻などの脂肪がつきやすい箇所にもできることがあります。
正中線とは
妊娠線とよく混同されやすいものに正中線というものがあります。これはおへそを中心に縦に1本伸びる線です。これは妊娠してからできる妊娠線と違って、男女問わず生まれつきあるものです。妊娠中はホルモンの刺激でメラニン色素が増加することで、正中線がくっきりと表れる場合がありますが、出産すると色も薄くなります。
妊娠線を予防するには
妊娠線を予防するためには、下記のことに気を付けるといいでしょう。
● 体重コントロール
短期間の急激な体重増加によって、妊娠線ができやすくなります。体重の増加を標準の範囲にとどめるように、1日のカロリー摂取量や食事メニューを見直してみてください。特につわりが治まった時期、一気に食事量が増えるケースが多いようです。十分に気を付けましょう。
● 適度な運動
体調や妊娠経過に問題ない場合、適度な運動を行いましょう。運動によって新陳代謝が良くなり、肌のターンオーバーが促され真皮の状態も改善することが期待できます。また運動で筋肉の衰えを防ぐことで、お腹が急激に膨らむことをある程度抑えることができます。
● 肌の保湿をする
お腹が大きくなる前の妊娠4~5か月頃から、妊娠線ができやすい所(お腹やヒップ、太ももなど)の保湿ケアを行いましょう。肌の水分や油分が保たれていれば、お腹が大きくなって皮膚が引き伸ばされても妊娠線の発生を抑えられます。
自分に合った専用の妊娠線クリームや保湿ケア製品を選び、保湿剤成分などが心配の時は医師に相談するようにしましょう。
妊娠線ができても焦らない

妊娠線は自然に消えることはないですが、産後6か月ほどで徐々に薄くなっていきます。産後も妊娠線ができた箇所の保湿ケアを続けると、乾燥を防ぎ肌質の改善が期待できます。
妊娠中はさまざまな体に様々な変化が起きて、戸惑う方も多いでしょう。妊娠線もその一つですが、あまり悩み過ぎたりしないことが一番です。無理のない範囲で妊娠線のケアをしておくようにしましょう。