鼻を強くかんだら耳に響くことがありますが、これは鼻と耳がつながっているためです。鼻の病気になると耳に影響を与え、耳の病気を発症するケースも少なくありません。
はじめに:鼻と耳の解剖学的な関連性
鼻の奥と耳は、耳管(じかん)と呼ばれる管でつながっているため、鼻の病気が耳の病気を引き起こす場合があります。耳管の役割は、急激な気圧変化が起きたときに人の聴力を正常に保つために外気圧に合わせて中耳の圧を調整することです。また、中耳の分泌物を喉へ排出する役割もあります。
耳が聞こえにくい、耳の奥が痛いなどの症状がある場合は、鼻の病気と耳の病気を併発していることが疑われます。
鼻の病気と耳の病気の関連(原因と症状)
鼻の病気の種類は多種多様です。鼻の穴の中のことを「鼻腔(びくう)」といい、このまわりにある骨で囲まれた空洞を「副鼻腔」といいます。
この副鼻腔に炎症が起きた状態を副鼻腔炎といい、滲出性中耳炎を合併する場合があります。これは、鼓膜の奥にある中耳に粘り気のある液体が溜まることで、耳が聞こえにくい、耳が詰まっている感じがするなどの症状が現れる病気です。
また、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの炎症によって耳管の鼻側の開口部がふさがると、耳管狭窄症を引き起こし、耳が詰まっている感じがする、自分の声が響いて聞こえるなどの症状が現れる場合があります。
予防と対処法~・鼻の病気を抑えることで耳の健康を守る
鼻の病気は、鼻呼吸がしづらくなることで睡眠の質が低下し、子どもの成長や学習面に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、予防の意識を持つとともに、適切な対処法について理解しておくことが大切です。
また、鼻の病気は耳の病気を併発しやすいため、鼻の病気を抑えることが耳の健康維持につながります。
鼻の病気の予防法
ハウスダストや花粉などの物質を吸い込むことで鼻の粘膜に炎症が起きるものをアレルギー性鼻炎といいます。また、アレルギーのほか、細菌やウイルスの感染によって起きる副鼻腔炎も、原因を排除することで予防できます。
部屋のこまめな掃除によってハウスダストや花粉を取り除くとともに、加湿器で湿度を40~60%に保ち、細菌やウイルスの感染リスクを抑えましょう。また、鼻洗浄器で鼻の中の適度に洗浄することにも予防効果が期待できます。
鼻の病気が発症した場合の対処法
鼻の病気を発症した場合は、耳鼻咽喉科を受診して診断を受けることが大切です。自己判断で間違った方法でケアすると、症状が悪化する恐れがあります。
医療機関では、鼻の病気やその原因を突き止めるたに、ファイバースコープで鼻の穴の中を詳しく調べたり、細菌培養検査やレントゲン撮影、CT検査などを行います。
鼻の病気の診断を受けた場合は、医師の指示に従って薬物療法をはじめとした治療を受けましょう。例えば副鼻腔炎では、症状の重症度に応じて抗生剤や鼻水をさらさらにする薬、副鼻腔の粘膜の炎症を抑える薬などを使用します。
治療を受けつつ、自宅では定期的な鼻洗浄や加湿器による湿度調節、こまめな掃除などをして、環境を整えることが重要です。
鼻の病気を管理して耳の病気を防ぐ
鼻の病気が原因で耳の痛みや閉塞感、自分の声が響くなどの症状が現れないように、医師の指示に従って適切に対処してください。対処法の1つに鼻をかむことが挙げられますが、自分で鼻をかめないお子さんは少なくありません。
鼻をすすらずに、鼻の片側ずつ静かにかむことが大切です。また、片側の鼻の穴を親御さんの指でふさぎ、静かに鼻から息を出すように促してあげましょう。どうしても自分で鼻をかめない場合は、鼻を吸い取る機器を使用します。
まとめ:鼻と耳の健康の重要性
鼻と耳は耳管と呼ばれる管でつながっているため、鼻の病気が耳の病気を引き起こす場合があります。単なる鼻水や鼻詰まりなどと自己判断せずに、気になるときは早めに医療機関を受診しましょう。鼻と耳の病気が併発して長く続くと、治療も長期化してお子さんと親御さんに大きな負担がかかります。
鼻と耳は生活の質に大きく影響を与える器官のため、普段から予防の意識を持ちましょう。
喘息とは
気道(気管支)の慢性的な炎症によって起こる病気です。気管支が、ほこりやウイルスなどに過敏に反応し、収縮することで咳やぜーぜーという喘鳴を繰り返します。
近年ではPM2.5が原因の一つになることが知られています。
乳幼児の喘息症状
下記のような症状がみられる場合は、喘息の疑いがあります。風邪と似ている症状も多いため、子ども様子をよく観察し、早めに医療機関を受診しましょう。
☑ 息を吐くときに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という呼吸音がする
☑ 息をするときに、胸のろっ骨や鎖骨のあたりがへこむ
☑ 夜中から朝方にかけて咳が出やすい
☑ 咳がひどくて眠れない
☑ 赤ちゃんの場合、機嫌が悪くなったり母乳やミルクを飲まなくなる
喘息の原因
アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎を患っていたり、家族に喘息の方がいたりすると、喘息になりやすいと言われています。このようなお子さんがダニやほこり、カビなどのアレルゲンや、たばこや煙などの刺激を受けると過敏に反応し、喘息を引き起こしてしまうと考えられています。
喘息の治療と薬
喘息の治療に使われる薬は、大きく分けて「長期管理薬」と「発作治療薬」の二種類あります。
「長期管理薬」は、気道の炎症を抑え発作を予防するための薬で、吸入ステロイド薬と抗ロイコトリエン拮抗薬があります。これらは、長期間使ってはじめて、本来の効果が現れる薬です。症状がなくなったという理由から途中でやめてしまわず、医師の指示通りに続けることがとても大切です。
もう一つの「発作治療薬」は、発作が起きたときに使う薬です。吸入か内服で使用されるメプチン(β受容体刺激薬)は気管支を広げる働きがあり、即座に効き目が表れることが特徴です。しかし、長期管理薬のように気道の炎症を抑える働きはないため、根本的な治療にはなりません。長期管理薬を使わずに、発作治療薬のみを使用すると気道の炎症が進み、喘息が悪化するおそれがあります。
また、薬での治療の他にも、環境を整備することも大切です。ダニやほこりなどのアレルゲンを除去し、発作が起きにくい環境を心がけることで喘息の治療につながります。
日常生活で気をつけるポイント
☑ シーツ、毛布カバー、枕カバーなどはこまめに交換
☑ 布団は天日干しにした後掃除機をかける。
☑ 布製のソファーや羽毛布団はできるだけ避ける。
☑ 部屋はこまめに喚起をして空気の入れ替えを。
家のホコリやハウスダスト、ダニ等は気管支に炎症を起こすことで喘息発作の原因になります。
こまめに掃除をするように心がけて、環境を整えておきましょう。
百日咳とは
主に百日咳菌が原因による急性の呼吸器感染症で、特有の発作性の咳が特徴です。乳児期早期から感染する可能性があります。
症状
通常7~10日間程度の潜伏期を経て、鼻汁、咳嗽などのかぜ症状で始まります。次第に咳がひどくなり、百日咳特有の咳が出はじめます。顔を真っ赤にしてコンコンと短い咳が連続的に起こり、続いて、息を吸う時に笛の音のようなヒューという音が出ます。しばしば嘔吐を伴うこともあります。
発熱はせず、あっても微熱程度です。1歳未満の乳児、特に四種混合ワクチンを接種していない6か月以下の子どもでは重症化し、肺炎、脳症を合併することがあるため注意が必要です。
感染経路
百日咳は、患者の咳やくしゃみを吸い込むことによって感染します(飛沫感染)。また、咳やくしゃみで汚染された手指、器物などを介して感染します(接触感染)。
患者のほとんどは四種混合ワクチンを接種していない乳幼児です。またワクチン接種者でも、青年期以降にワクチンで獲得した免疫が低下し感染することがあります。その場合大人から子どもに感染させてしまう恐れがあります。
治療
百日咳菌に対する治療として、抗菌薬が用いられます。早期に治療を開始すれば、症状を軽くしたり、症状のある期間を短くしたりすることができます。また、適切な治療を受けた場合、5~7日間で人に感染させる危険性はなくなるといわれています。
咳に対しては咳を鎮めたり、痰を出しやすくしたりする薬や、気管支を拡げる薬などが使われます。また、十分な水分補給が必要となります。
予防法
飛沫感染・接触感染を防ぐため、手洗い、うがいを心がけましょう。乳幼児の四種混合の定期接種に加えて、学童期以降に百日咳を含んだ3種混合ワクチンを任意で接種することがあります。
近年では大人も百日咳にかかりやすい傾向にあり、普通の風邪と見分けがつかないことも多いです。普段から感染対策を徹底し、大人から乳幼児にうつさないように心がけましょう。
肺炎とは
肺に炎症ができる病気を、まとめて肺炎と呼びます。主に細菌やウイルスなどの病原微生物により引き起こされます。乳幼児の場合は生後6か月頃から母親由来の免疫が低下し、風邪をこじらせて肺炎となるケースも多いため注意が必要です。特に夏に流行するRSウイルスは肺炎になりやすいことが知られています。
乳幼児の肺炎の症状
乳幼児の肺炎は、発熱や鼻水などからはじまり、痰がからんだような湿った咳が続きます。息苦しい様子も見られることもあります。
もし重症になると、ぐったりとして食欲もなくなり、呼吸困難に陥ってチアノーゼを起こしたり、激しい咳で嘔吐を繰り返して、脱水症状を起こしたりするケースもあります。言葉を上手に話せない乳幼児では、保護者による評価が重要です。夜間頻回に咳嗽で覚醒するとき、飲水や食事が取れず尿量が減っている場合は小児科を受診する必要があります。
肺炎の種類
肺炎には主に下記の3つの種類に分類されます。
細菌性肺炎
インフルエンザ菌や肺炎球菌、黄色ブドウ球菌などの細菌が原因となる肺炎
ウイルス性肺炎
RSウイルスやアデノウイルス、インフルエンザウイルスなどによる肺炎
非定型肺炎
マイコプラズマやクラミジアが原因となる肺炎
乳幼児の肺炎は細菌による肺炎が多いですが、RSウイルスは1歳以下の乳児が多くかかります。
またマイコプラズマは学童期に感染することが多く、4年に一度流行する傾向があります。
治療法
肺炎の治療法は、種類によって変わってきます。
ウイルス性の肺炎であれば特効薬がないため、去痰薬や気管支拡張薬で症状を和らげます。また自然に治っていくケースも多いです。一方、細菌肺炎や非定型肺炎の場合は抗菌薬が処方されます。乳幼児の場合は、脱水や症状が急変する恐れがあるため、多くの場合は入院での治療となります。
突発性発疹とは生後6か月から2歳頃までに発症する感染症です。突然38~40℃の高熱で発症します。ヒトヘルペス6型7型というウイルスが原因で起こると考えられており、主に無症状の大人から感染します。
症状

主な症状は発熱と発疹です。10日程度の潜伏期間があり、突然高熱が出ます。38℃~40℃の高熱が3-4日続いたのち、平熱に戻ると発疹が現れます。通常は発疹が現れて初めて、突発性発疹の診断がつきます。発疹は痒みを伴うことはほとんどなく、一週間以内には自然に消滅します。
治療や対応
特別な治療法はなく、必要に応じて解熱剤などの対処療法が行われます。突発性発疹は高熱が出ても元気なことも多く、ミルクの飲みが良く、機嫌も良いようであれば様子を見ておいてください。一方、ミルクを飲む量が少なかったり、ぐったりしていたりする様子が見られるようであれば、医療機関を受診してください。
熱性けいれんを合併した場合
突発性発疹にかかると、10%程度の割合で熱性けいれんを合併すると言われており、注意が必要です。もし熱性けいれんが起きた場合は、誤嚥しないようにベットなどに横にさせて落ち着いて行動しましょう。
けいれんが5分以上続く場合には、救急車を呼び医療機関を受診してください。けいれんが5分以内で収まった際にも、呼びかけに反応しなかったり、けいれんを繰り返したりする場合は医療機関を受診してください。
ロタウイルスとは、乳幼児の急性胃腸炎を引きおこすウイルスです。感染力が強く、5歳までのほとんどの小児が感染するといわれています。
症状
ロタウイルに感染すると、1-3日の潜伏期間のあと症状が現れます。発熱や嘔吐といった症状が初期に現れることがあり、続いて白っぽい水のような下痢が、1週間ほど続きます。激しい嘔吐や下痢により脱水のおそれもあるため、入院が必要になる場合もあります。
また重症化すると血圧低下や脳症、けいれん、急性腎不全などを引き起こすケースもあり、注意が必要です。ぐったりしている、呼びかけてもすぐ眠るなどの様子が見られたら、すぐに医療機関を受診してください。
治療法
ロタウイルスに対する抗ウイルス薬は現時点ではないため、下痢や嘔吐、脱水、発熱などの症状に対する対処療法を行います。特に脱水症状になりやすいため、症状が落ち着いたときに、少しずつ水分補給を行うようにしましょう。脱水症状が強い場合には、病院で点滴などを行うこともあります。
二次感染を防ぎましょう
ロタウイルスは非常に感染力が強いため、もしお子様が罹患した場合は家族に二次感染させないように気を付けましょう。嘔吐物や排泄物にはロタウイルスが大量に含まれている可能性があるため、素早く処理するようにしましょう。
おむつの交換の時
使い捨てのゴム手袋などを使い、できる限り手で触れないようにしましょう。捨てるときはビニール袋などで密封してください。
寝具や衣類が汚れた時
嘔吐物や排泄物が付いてしまった寝具や衣服は、ウイルスが飛び散らないように気を付けながら、もみ洗いします。その後、次亜塩素酸ナトリウムで消毒します。熱水が使える洗濯機があれば、85℃で1分間以上の熱湯消毒をするとよいでしょう。
布団やカーペットなど、すぐに処理できないものはビニール袋にいれて密閉しておきます。洗濯ができないものは汚れをふき取った後によく乾燥させて、スチームアイロンや布団乾燥機を使ってください。
室内や食器類の消毒
患者の使った食器類は、85℃以上で1分間以上の熱湯消毒が有効です。ウイルスが室内に浮遊して壁や床に付着する可能性もあるため、広範囲に室内の掃除を行い感染予防をしましょう。
ウイルス感染よって喉の奥にある喉頭が狭くなり、特徴的な咳や、かすれ声、喘鳴などの症状をきたす疾患の総称です。6か月から4歳ぐらいの乳幼児によくみられ、特に1歳から2歳程度の子供に頻度が高い病気です。
症状
オットセイの声や犬の吠える声に例えられるような、特徴的な咳が出ます。また声のかすれ、熱が出るなどの症状があります。気道が狭くなることにより、呼吸困難を伴う場合があるため、お子さまに普段と違った様子がないか、呼吸が苦しそうにしていないかよく確認することが必要です。
原因
クループ症候群は主にウイルス感染により引き起こされます。気温が下がる晩秋~冬にかけて多く、パラインフルエンザウイルスやRSウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルス感染が原因となっています。
治療
治療が必要な場合は、のどの腫れを引かせるため血管収縮剤、ステロイド薬の吸入を行います。また症状に応じて、解熱剤や気管支を拡張する薬、痰の薬などが処方されます。
家庭での対処方法
咳は乾燥によって悪化するため、加湿器を使うなどして、室内の湿度を高めに保つようにしましょう。また白湯や麦茶などの温かい飲みもので水分をしっかり補給すると、脱水の予防になり咳症状も収まることがあります。また、夜間に症状が悪化することが多いため、咳で睡眠が出来なくなることがあります。
睡眠が出来ないとき、呼吸が苦しそうなときなどは医療機関を受診してください。
風邪をひいたときは抗生剤を使えばよいとお考えの方も少なくありませんが、実は風邪の約9割はウイルスが原因のため、細菌にのみ効果を発揮する抗生剤では改善につながらないことが多いのです。やみくもに抗生剤を使うと大切なお子さんの健康に悪影響が及ぶ可能性もあるため、どのようなときに使用するのかを確認しておきましょう。
抗生剤とは
抗生剤とは、「抗菌薬」の別称です。「抗生物質」や「合成抗菌薬」などの名称もあり、その由来が微生物か完全化学合成かで使い分けられることもありますが、現在はそのように分けないことがほとんどです。微生物由来の薬剤であっても化学合成を施されているものもあります。ですから「抗生剤」という言葉は、細菌を壊したり増殖を抑えたりする薬の総称として一般的には使われています。
抗生剤は、細菌の構造や増殖の仕組みに作用することで、細菌を壊したり増えるのを抑えたりする薬です。例えば、世界で初めて発見された抗生剤のペニシリンは、細菌が持つ細胞壁の合成を邪魔することで細菌を壊します。
人の細胞にはもともと細胞壁が存在しないため、人の細胞に影響を与えることなく細菌を壊すことができます。抗生剤は細菌に対してのみ効果を発揮するものであり、ウイルスやカビなどによる感染症には効果がありません。
抗生剤が効く病気、効かない病気
抗生剤が効く病気は細菌感染症、効かない病気はそれ以外の感染症です。
例えば、溶連菌感染症や百日咳、とびひなどは細菌感染が原因のため、抗生剤の効果が期待できます。一方、おたふくかぜ、ヘルパンギーナ、アデノウイルス、手足口病、ロタウイルス感染症、水ぼうそうなどはウイルス感染が原因のため、抗生剤の効果は期待できません。
また、扁桃炎や気管支炎、中耳炎、副鼻腔炎などは細菌とウイルスのどちらでも生じる可能性があるものの、ウイルス感染が原因のケースが多いため、抗生剤を使わなくてもよい場合がほとんどです。
以前は、細菌感染の疑いが強くなくとも抗生剤を処方する流れがありましたが、抗生剤を繰り返し使用することで良い影響を与える常在菌まで破壊されるほか、抗生剤が効かない「耐性菌」が発生して感染症に弱くなる恐れがあるため、抗生剤を処方するかどうか慎重に判断することが求められています。
また、処方された抗生剤を途中で飲むのをやめた場合、ぶり返すことで結果的に長期間服用することになるほか、耐性菌が発生する恐れもあります。処方された抗生剤は最後まで飲みきることが大切です。
抗生剤を赤ちゃんに処方する基準
赤ちゃんと幼児、大人において、抗生剤を処方する基準に違いはありません。のどや鼻水の状態、場合によっては血液中の成分を調べて、細菌感染が強く疑われる時に抗生剤を使用します。また、抗生剤にはさまざまな種類があり、感染が起きた箇所や原因となる細菌などに応じて使い分けなければなりません。
1日の内服回数も1回から4回などとさまざまです。抗生剤の効果を十分に得るとともに、耐性菌のリスクを抑えるためにも、医師や薬剤師の指示に従って正しく服用しましょう。
抗生剤の飲ませ方
生後半年以内の赤ちゃんは本能的に何でも飲み込もうとするため、抗生剤を飲ませることはそれほど難しくありません。しかし、成長するにつれて味覚の発達や自我の芽生えの影響で抗生剤の服用を嫌がるようになります。
抗生剤を嫌がる場合は、少量の水に溶かして哺乳瓶の乳首やスポイトで飲ませましょう。飲み終わったら、水やミルク、母乳などで口の中に残った薬を流してあげてください。また、好みの食べ物に薬を混ぜて飲ませたり、食べる・薬を飲むを交互に行ったりする有効です。この場合も、口の中に食べ物や薬が残らないように飲み物を飲ませてあげてください。
子どもと新型コロナウイルス
新型コロナウイルスは、当初「子どもは感染しにくい」とされてきました。しかし、厚生労働省の7月時点のまとめによると、10歳代の感染者はこれまでに9万人以上、全体の11%を占めるに至っています。子どもが新型コロナウイルスに感染する場合、症状で診断されることはほとんどありません。家族や幼稚園・保育園の先生が感染したために濃厚接触者として検査を行ったことがきっかけで、陽性が発見される例がほとんどです。
子どもに現れる症状は
子どもが感染した場合多くは無症状、あるいは1日だけ38℃程度の熱が出ることがあります。乳幼児が新型コロナウイルス感染が原因で、肺炎にまで進行することは極めてまれです。重い症状に陥る例もわずかながら報告されていますが、10代以下の死亡者はほとんどありません。デルタ株については、特に子どもが感染しやすいということはなく、全体の患者数が増える中でお子さんの患者数も増えていると考えられます。デルタ株が「現時点での子どもの重症化のリスクが高くなるというデータはない」とする見解が国内外の専門家からも示されています。
子どもがもし感染した場合
もし子どもに陽性反応が出た場合には、「ホテル療養」ができませんので、原則入院をすることになります。病院で隔離して家族や他の人に感染させないため、また悪化をしないか医療機関がチェックするために入院という処置がとられます。多くの場合は無症状のまま回復して退院されていきます。また、コロナの家庭内感染で親が入院して、濃厚接触者である子どもを保護するために入院させることも多いです。
子どもが感染源になるリスクについて
子ども同士で新型コロナウイルスを感染させることは、極めて稀であると言われています。基本的に手洗いやスクで感染予防を行い、学校や保育園・幼稚園等でも対策を講じているならば、子ども同士での感染のリスクは極めて低いと言えます。新型コロナウイルスの子どもへの感染経路の7割以上は家庭内だと推定されます。大人が家庭内にウイルスを持ち込まないように、対策を行うことが子どもへの感染をさせないためにも非常に大事です。
オミクロン株と海外での状況

英国を始め海外では5-19歳の感染者数が多い状況です。これはワクチン接種を行っていない人数が多い世代だからと言われています。子どもが家庭内感染の感染源となっています。オミクロン株の流行も危惧されこの世代へのワクチン接種は感染流行に必要かもしれません。
RSウイルスとはどんな病気?
RSウイルスは、生後1歳までに70%以上、2歳までにほぼ100%が初感染を受けるといわれています。米国においては感染者の30から40%において感染症を発症し、1~3%が重症化し入院するという報告もあり、小児での入院患者の中で最も大きな原因病原体です。
海外の報告によれば、10万人当たりの年間死亡率は1歳未満で5.4人(インフルエンザで2.2人)、1-4歳で0.9人(インフルエンザで1.1人)と乳幼児の死亡の原因疾患としてはインフルエンザを凌駕する疾患です。米国において毎年2000人が亡くなるとされているなど、時に重症になることがあります。重症になる疾患は多岐にわたり、細気管支炎や重症肺炎といった重度呼吸障害がもっとも主体で、突然死、脳症、心筋炎もおこることがあります。特に基礎疾患の有無や早産児が重症化の原因となりますが、基礎疾患のない小児例においても多数の重症例がいることが確認されています。
細気管支炎や重症肺炎で入院になる原因で最も多く、重症例では、喘鳴、呼吸数の増加や陥没呼吸など呼吸困難を呈してきます。乳児では無呼吸発作をおこすこともあります。鼻汁も強く、哺乳力の低下から脱水も悪化の原因になります。
治療と医療機関での予防方法
RSウイルスに感染した場合の治療は、酸素投与、輸液、呼吸管理などが中心です。気管拡張剤およびステロイドの効果については多数の臨床研究がなされています。
RSウイルスはSIDSとの関連性も
SIDSの診断基準が変更前の古い報告によれば、Sudden Infant Death Syndrome (SIDS)の関連ウイルスとして、RSウイルスはインフルエンザウイルス、エンテロウイルス、パラインフルエンザウィルス等と並び報告されています。古い報告では、免疫染色によれば2歳以下の乳幼児の死亡のうち18.2%にウイルス感染を認め、その内の約1/3がRSウイルスであったとされていました。SIDSの季節的発生率はRSウイルスの流行に一致することも知られており、乳幼児の突然死の一部にRSウイルス感染関連死が含まれていると考えられています。突然の変化は、窒息や中枢神経感染、心筋炎、代謝異常などが病態として推察されています。
RSウイルスの予防法
RSウイルスの感染ルートは、主に濃厚接触や分泌物に汚染された表面への接触です。予防には感染者との距離を保ち、病院や施設では隔離をガウン手袋にて対応します。
RSウイルスは、消毒薬に弱い性質を持つため、次亜塩素酸ナトリウム、消毒用アルコール、イソジンなどポピドンヨードが有効です。感染期間は3~8日(乳幼児や免疫に問題がある場合は3週間程度持続)で、発熱・咳などの症状が安定し、全身状態の良い者は登園(校)は可能となります。