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BabySmile

赤ちゃんの頭の形、大丈夫?
"斜頭症とSIDS予防の正しい理解を"

細野茂春先生監修

赤ちゃんの成長を見守る中で、「うちの子、頭の後ろが平らかも…」と心配になったことはありませんか?こうした状態は、一般的に「斜頭」と呼ばれ、医学的には「位置性頭蓋変形」または「変形性斜頭症」と呼んでいます。
位置的頭蓋変形には左右どちらかの後頭部が平らな斜頭症、後頭部の中央が平らで前後径が短縮した短頭症に分類されます。短頭症は稀な病態です。日常でよく使われる「絶壁頭」は後頭部中央の丸みが無い状態の総称です。

頭の形が整っていないと、将来的に大丈夫か不安になるのも当然です。
でも、まず知っておいてほしいのは、斜頭症そのものが脳の発達や健康に重大な悪影響を与えることはほとんどないということ。大半のケースは治療を必要としませんが、変形が目立つ重度の状態になってしまうと、ご家族が期待するまるいかたちまで自然には改善しにくいので生活上での工夫が必要です。

成長とともに骨がしっかりして頭蓋骨の尾根の継ぎ目がくっついてくると、形の変化が起こりにくくなってしまうため、早いうちから適切なケアを意識することが大切です。

絶壁頭とSIDS

斜頭症の原因と生活習慣との関係

赤ちゃんの頭はとても柔らかく、外からの圧力で簡単に形が変わります。
とくに、あおむけで長時間寝ていると、後頭部に圧が集中し、平らになりやすい傾向があります。

他にも、
・寝ている時間が長い
・同じ向きで寝る
・ベビーカーやバウンサーでの体勢が固定されがち
・胎内の位置や出産時の圧迫による先天的な要因
などが原因として知られています。こうした積み重ねが、頭の形に影響を与えるのです。

 

SIDS予防と絶壁頭 ― どちらも大切だからこそ知っておきたいこと

ここで、乳幼児突然死症候群(SIDS)との関係についても触れておく必要があります。
SIDSとは、健康な赤ちゃんが睡眠中などに突然亡くなってしまう原因不明の病態で、国内外で多くの事例が報告されています。
2023年に日本では48名の乳幼児がSIDSでなくなっていて、1歳未満児の死亡原因の5番目です。

このSIDSを予防するうえで、「あおむけ寝」が強く推奨されています。うつぶせ寝はたんにSIDSのリスクだけではなく、気道がふさがれやすく、窒息リスクが高まります。SIDSはうつぶせ寝、あおむけ寝のどちらの体勢でも起こっていますが、あおむけに寝かせたほうが発症率が低いことが研究でわかっています。
医学上の理由でうつぶせ寝を勧められている場合以外は、赤ちゃんの顔が見えるあおむけに寝かせましょう。睡眠中の窒息事故を防ぐ上でも有効です。
また、SIDSは冬期に多いためこども家庭庁は、毎年11月を乳幼児突然死症候群(SIDS)の対策強化月間と定め、SIDSに対する社会的関心を喚起するため、発症率を低くするポイントなどの重点的な普及啓発活動を実施しています。

あおむけ寝を続けることで斜頭症が生じるリスクもあるため、「どちらを優先すべきか」と悩むママも多いのではないでしょうか。

SIDS予防をしながら、頭の形も整えることは可能です。大切なのは、睡眠中はあおむけが基本ですがその中でも授乳毎に正面、右向き、左向きと頭の向きを入れ換えたり、覚醒時の時間帯で一定方向への頭への圧力を軽減する工夫を取り入れることです。

 

おうちでできる工夫 ― 無理なく毎日に取り入れるケア

まず取り入れやすいのが「タミータイム(うつぶせ時間)」です。これは赤ちゃんが起きているときにうつぶせの姿勢で過ごす時間を作るもので、後頭部への負担を和らげるだけでなく、首や背中の筋力も育まれます。
赤ちゃんはいつ眠ってしまってもおかしくないのでご両親のいずれかが必ず赤ちゃんの目を見ながら行う事が重要です。

タミータイムが難しい時は、親が抱っこをして過ごす時間を意識的に増やすことでも、頭部への圧を軽減することができます。
また、ベビーベッドの置き方やおもちゃの配置を工夫し、赤ちゃんが自然と左右のどちらにも首を向けるように促すことも有効です。

このように、日中の工夫と睡眠時の安全性のバランスを意識することで、絶壁頭とSIDSのどちらにも配慮した育児が可能になります。

 

いつ病院に相談したらいいの?

位置的頭蓋変形は多くの場合、重度でなければ成長とともに自然に整っていくものですが、以下のような場合には位置的頭蓋変形が重度であったり頭蓋縫合早期癒合症という手術を必要とする病気の場合があるため医師への相談を検討してください。

・頭の変形が目立ち、左右非対称が強いと感じるとき
・顔がいつも同じ方向に傾いている
・覚醒時のうつぶせや縦抱きを積極的に行っても生後6カ月を過ぎても改善が見られない
・発達の遅れや寝返りが極端に遅いと感じる
・耳の大きさやかたちに左右差があるなと感じた時

赤ちゃんの頭の形やSIDSのリスクは、ママやパパのちょっとした工夫で大きく変わります。必要以上に心配しすぎる必要はありませんが、赤ちゃんの今を大切にしながら、将来に向けたケアをしていくことが、家族みんなの安心につながります。
そして何より、ママが一人で悩まないことも大切です。気になることがあれば、遠慮せずに医師や地域の保健師に相談してください。

 
*頭蓋縫合早期癒合症
赤ちゃんや子供の頭蓋骨の縫合(骨のつなぎ目)が通常よりも早く癒合してしまう病気です。脳の成長を阻害するため神経発達の遅れの原因になります。治療は手術が必要になりますが手術の時期により方法は異なります。早期に発見されれば侵襲の少ない内視鏡的治療が可能です。

細野茂春先生監修

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