赤ちゃんといびき
基本的に赤ちゃんにはいびきは起きません。寝ているときに必ず起きるものではなく、いびきは何らかの原因で鼻呼吸ができていない可能性があります。
「寝る子は育つ」と昔からいいますが、寝ている時間が多い赤ちゃんの場合より睡眠の質を上げてあげることが良い成長に結びつきます。
赤ちゃんのいびきの原因は
・風邪などによる鼻づまり
・アデノイド(咽頭扁桃)肥大によって鼻の奥が狭くなっている
・口蓋扁桃肥大によって喉の奥が狭くなっている
・アレルギー性鼻炎による鼻づまり
もともと、赤ちゃんは鼻の奥の空気が通る部分が大人と比べて柔らかく、息を吸うときにその組織が震えていびきに似た鼻息のような音が聞こえことがあります。これは病気ではなく成長に伴って改善していくものですが、いわゆるいびきによって十分に睡眠が取れていないような場合は注意が必要です。
赤ちゃんがいびきをかく場合は、睡眠時無呼吸になっていないか確認しましょう。睡眠時無呼吸とは、睡眠中のいびき、低呼吸・無呼吸を繰り返すことで睡眠の質が低下し、成長や発達に影響を及ぼす病気です。
日中に眠気や集中力低下などを引き起こす大人の病気としては知られておりますが、子どものケースでは大人とは症状が異なってくるため見過ごされやすいと考えられます。以下の症状がみられた場合は、睡眠時無呼吸の可能性があります。
・大きないびきを繰り返す
・呼吸が数秒間止まる
・眠りが浅くて何度も起きる
・寝ぼけることが多い(夜驚症)
・いつまでもおねしょが続く(夜尿症)
・呼吸時にみぞおちがへこむ
・不機嫌
・寝起きが悪い
・口が渇いている
不機嫌や寝起きが悪い、口の渇きなどは、睡眠時無呼吸ではなくとも起きる症状です。数日様子を見ても改善しない場合は、赤ちゃんの体調に何らかの問題があると考えられます。
赤ちゃんのいびきは放っておくと危険
赤ちゃんがいびきをかいている場合、睡眠の質が低下することで成長ホルモンの分泌が減少し、成長発達や、顎や顔の骨格形成などに悪影響を及ぼす可能性があります。
いびきを放置すると、それだけ成長ホルモンが十分に分泌されていない期間が長くなり、成長発育への影響も大きくなります。
さらに、睡眠時無呼吸になった場合は、心臓に大きな負担がかかることで乳幼児突然死症候群のリスクも高まる可能性もあるとも言われています。
赤ちゃんの健やかな成長のためにも、いびきがみられた際はなるべく早く医師に相談しましょう。病院・クリニックでは、いびきの原因を突き止めるために次のように診察・検査します。
・鼻と喉に病変がないか確認
・アレルギー性鼻炎の有無の確認(採血などでアレルゲンを調べる)
・アデノイド肥大や口蓋扁桃肥大がないかを調べる
診察・検査の方法や流れは医療機関で異なります。
赤ちゃんのいびきの対処方法
赤ちゃんのいびきは原因を解消すること改善するため、症状を抑える治療を行います。例えば軽い鼻詰まりが原因の場合は、鼻吸引などの鼻処置や点鼻薬や抗アレルギー薬などで症状を抑えて経過観察します。肥満の場合はミルクや母乳の与える量・頻度の指導をすることもあります。
重症例でアデノイド肥大や口蓋扁桃肥大を認める場合には、「アデノイド切除術」「口蓋扁桃摘出術」を検討します。通常は3歳以上を手術対象としている施設が多いのですが、3歳未満でも重症例に対して安全な手術(内視鏡手術や術後ICU管理など)を行う施設も一部あります。
横向き枕を使用することで改善する場合もありますが、自己判断に基づいた対処をしている間に状態が悪化する可能性もあるため、赤ちゃんのいびきが気になる場合は早めに医療機関を受診しましょう。