乳児湿疹の原因とケア方法
多くの赤ちゃんが一度はおこしてしまう乳児湿疹。生まれたばかりの頃はつるつるのお肌でも、急に湿疹が出始めることがあります。
乳児湿疹には様々な原因があり、それぞれの原因によって治療法やケアの方法が変わってきます。
少しでも早く湿疹がよくなるように、症状に応じたケアの方法を押さえておきましょう。
乳児湿疹とは
乳児湿疹は、赤ちゃんの頃にできる湿疹の総称です。
生後12ヶ月まで(乳児期)の赤ちゃんの皮膚はまだ弱くて未熟なので、多くの子が一度は乳児湿疹を経験します。
乳児湿疹の種類
乳児湿疹の原因や湿疹が現れる部位・年齢は様々です。
生後2~3ヶ月頃から口のまわり・頬・頭にできることが多く、成長するにしたがって、手足や体に広がっていくこともあります。最初の頃は小さなブツブツでも、次第にくっついて大きくなったり、炎症がひどくなってジュクジュクしてくることがあります。
また、乳児の頃にひどい湿疹があっても、1歳を過ぎると自然に治まるケースも多くあります。
乳児湿疹の原因とケア方法
乳児湿疹は原因によって治療やケアの方法が異なるので、それぞれの状態に合わせたポイントをご紹介します。
乳児脂漏性湿疹
症状
黄色いかさぶたの付いた湿疹や赤い湿疹が混ざってできます。じくじくすることもあります。
かゆみの程度は様々で、頭やまゆ毛などの毛が生えているところ、症状がおでこや頬などの顔、耳のまわりなど首より上に現れることが特徴です。生後2週間~3ヶ月頃に多く見られます。
原因
生まれた時に母親からもらった男性ホルモンの影響で、皮脂がたくさん分泌されることが大きな原因です。
ケア方法
軽度であれば自宅でケアができます。また、母由来の男性ホルモンが主な原因なので、症状は一時的で成長するとともに自然に治ります。皮脂の分泌そのものを抑えるのは難しいので、皮脂をきれいに落として、肌を清潔に保ちましょう。
頭皮や眉毛にかさぶたがある場合は、お風呂に入る前にベビーオイルを塗って10分ほどおくと、ふやけて取れやすくなります。柔らかくなったら、ベビー用シャンプーでやさしく洗って、かさぶたを取り除きましょう。無理にはがして肌を傷つけると、細菌が侵入して炎症がひどくなるので、無理にはがさないよう注意してください。
顔に湿疹が見られる場合は、特に眉毛や耳のまわりに洗い残しやすすぎ残しのないように心がけることが大切です。
かゆみが強い時や、かさぶたが分厚くなってきた時、赤みが強くて炎症がひどい時は、小児科か皮膚科に行って診察してもらいましょう。
新生児にきび
症状
頬やおでこの真ん中にブツブツとした、にきびができます。にきびの種類は赤いブツブツしたもの、白い芯があるもの、膿をもった白いものがあります。生後~1ヶ月頃に多く見られます。
原因
乳児脂漏性湿疹と同様、母由来の男性ホルモンによる皮脂の多量分泌と、それに未発達な皮脂腺が対応できずに、毛穴がつまることが主な原因です。
また、環境も原因の一つです。寝ている時間が多く、肌が布団に触れている時間が長い赤ちゃんは毛穴がつまりやすくにきびができることもあります。
ケア方法
母由来のホルモンが影響しているため、8ヵ月以内に自然と治っていきますが、早く症状を抑えるためにもしっかりケアしましょう。基本的には、大人と同じように肌を清潔にすることが一番のケアです。
お風呂に入れる際は、赤ちゃん用石鹸でしっかり泡を立て、泡でやさしくくるくるとなでて、皮脂をしっかり洗い落しましょう。お風呂から上がった後は、乾燥などの肌トラブルを予防するため、ベビーローションで保湿することも忘れずに。
また、肌に触れている布の汚れが原因の場合もあるので、布団や洋服をこまめに洗濯して清潔にしておきましょう。
小児乾燥性湿疹
症状
乾燥により、粉をふいたり、ひび割れができたり、赤くなったりします。また、かゆみもあるので、ひっかいたり、ふとんに肌を擦りつけようとします。外気に露出している顔や手足、面積の多いお腹や背中に現れやすくなります。
また、生後3ヶ月以降の赤ちゃんに発症しやすい皮膚トラブルです。
原因
その名の通り、乾燥が原因で湿疹ができます。生後3ヶ月以降になると、皮脂の分泌が急に低下するため、肌が乾燥しやすくなります。
この乾燥で肌のバリア機能が低下すると、外部刺激によってかゆみが生じたり炎症が起きたりします。
ケア方法
肌の乾燥を防ぐことが一番の対策です。
軽度であれば、丁寧に保湿してあげることで治まってきます。ベビーローションやベビーミルクをお風呂上りに使用しましょう。顔や手には外出前、顔は食事の前後にも保湿剤をこまめに塗りましょう。
また、爪でひっかいて湿疹を悪化させないためにも爪は切っておきましょう。冬場は、乾燥しないように加湿器を使って部屋の湿度を保ってあげることも、効果的です。
なお、炎症が強い場合は小児科か皮膚科を受診しましょう。ひどい時はステロイド剤が処方される場合もあります。
長期にわたって症状繰りかえす場合は、アトピー性皮膚炎への移行を考えて検査を受ける必要があります。
あせも(汗疹)
症状
白、ピンクや赤色の小さなかゆみのある発疹ができます。現れる部位は、頭やおでこ、首、わきの下などの汗が溜まりやすいです。
乳児から大人まで年齢を問わず、汗をかく季節に現れやすい皮膚トラブルです。
原因
汗をたくさんかくことで、汗腺が詰まって、汗を出す機能が妨げられて、皮膚内に汗がたまって水疱となった皮膚病です。赤ちゃんの汗腺の数は大人と変わらないため、同じ面積あたりの汗腺の密度が高いため、大人よりも発症しやすくなります。
また、かゆみがあるため、我慢できずにひっかく・こすることがあります。
ケア方法
汗が原因で起きるので、患部を常に清潔に保つことが一番の対策です。汗を頻繁にかく場合は、濡らしたタオルなどで、汗をこまめに拭きとりましょう。
かゆみがあるので、引っ掻いたり、こすったりしますが、患部を刺激することで、症状が悪化します。ひどくなると、病院に行って、ステロイド剤を処方されるケースも多いです。ベビーパウダーは汗を吸着する機能があるので予防にはなります。
皮膚科に行くべきか
どの程度の症状であれば、皮膚科、小児科に行くべきか迷う方も多いと思います。炎症がひどい場合や、きちんと清潔にして保湿ケアをしているのに改善されない場合は、皮膚科、小児科の先生に診てもらうことをおすすめします。
ステロイド剤は心配?市販の保湿剤も有用
処方されたステロイド剤を赤ちゃんに塗るのは心配という方も多いと思いますが、症状がひどい時は炎症を鎮めるために必要です。外用のステロイド剤は医師の管理下であれば長期間使っても心配はありません。
また再発を防ぐためには、症状がおさまったあとに子供に合った保湿剤を見つけてしっかりとスキンケアをするようにしましょう。