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意外と知らない予防接種

意外と知らない予防接種

藤本義隆先生監修

50年間で1億500万人の命を救っている予防接種

予防接種のことを世界規模で考えてみます。実は、2024年は世界保健機関(WHO)と国連児童基金(UNICEF)の共同による「予防接種拡大計画」(EPI: Expanded Programme on Immunization)が始まってから50周年となります。
「予防接種拡大計画」(以下、EPI)とは、予防可能な感染症から世界中の子どもを守るためにワクチン接種を推進するプロジェクトで、1974年のEPI設立以来、ワクチン接種は1億5,400万人の死亡を防いでおり、そのうち1億4,600万人は5歳未満の乳児で、そのうち1億100万人は1歳未満の乳児であるとされています。

「ワクチン接種による生存率と健康の改善への貢献:予防接種拡大プログラムの50年をモデル化」 . The Lancet . 403 (10441): 2307–2316. 
「Contribution of vaccination to improved survival and health: modelling 50 years of the Expanded Programme on Immunization」

EPI は発足当初、結核、ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、麻疹の 6 つの小児疾患からすべての子供を守ることに重点を置いていました。現在、この数は生涯にわたって推奨されるワクチンが 13 種類に増え、状況に応じて推奨されるワクチンがさらに 17 種類あります。

日本では、終戦直後の感染症まん延や死亡率上昇に伴い1948年に予防接種法が制定され、これにより特定の疾病を対象に公費負担で予防接種を受けることができるようになりました。

予防接種の種類(厚生労働省) 予防接種・ワクチン情報​

 

そもそも予防接種って何?どうして必要?

こんなにたくさんの予防接種がありますが、そもそも予防接種って何でしょう。
予防接種とは「病気に対する免疫をつけたり、免疫を強くするために、ワクチンを接種すること」をいいます。

ワクチンとは、予防接種の際に用いる投与物(薬剤)のことです。病原体(ウイルスや細菌)の病原性を弱めたりなくしたりしたものです。「ワクチン接種」という言葉が用いられることもありますが、「予防接種」と同じ意味で使われます。

では、こうした予防接種はなぜ必要なのでしょうか。
予防接種は、赤ちゃんが将来かかる可能性のある感染症から身を守るための最も効果的な方法の一つです。ワクチンによって、病気の重症化や死亡を防ぎ、集団免疫(ある感染症に対する社会全体の抵抗力)の形成にも貢献します。

予防接種を何時から始めるべきでしょう?
多くのワクチンは、生後2カ月から接種を開始できます。これは、お母さんからもらった免疫が弱まり始める時期であり、赤ちゃんが様々な感染症にかかりやすくなるからです。
予防接種のスケジュールは、生後2ヶ月から5種混合ワクチン、B型肝炎ワクチン、ロタワクチン、肺炎球菌ワクチンなど、以降定期的に追加接種を行いますが、ワクチンによって異なりますので、具体的なスケジュールは、お住まいの地域の予防接種スケジュールや、かかりつけの小児科医にご確認ください。また、以下のサイトからも予防接種の情報が得られます。

厚生労働省 予防接種・ワクチン情報​

国立感染症研究所 予防接種情報​

 

予防接種のメリットとデメリットは?

ここで予防接種に関するメリットとデメリットをまとめておきます。参考にしてください。

予防接種のメリット

・感染症の予防: 重い病気にかかるリスクを大幅に下げることができます。
・集団免疫の形成: 多くの人が予防接種を受けることで、社会として感染症の流行を防ぐことができます。
・医療費の削減: 感染症にかかって治療を受ける費用よりも、予防接種の費用の方が費用対効果が高い傾向があります。

予防接種のデメリット

・副反応: 発熱や接種部位の痛みなど、軽い副反応が出る場合があります。
・アレルギー: ワクチンの成分に対してアレルギー反応が出る可能性があります。
・効果の持続期間: ワクチンの効果は永久ではありません。定期的な追加接種が必要な場合があります。

※副反応については予防接種健康被害救済制度があります。

予防接種健康被害救済制度について

予防接種を受ける際の注意点

・かかりつけの小児科医に相談: ワクチンの種類やスケジュール、副反応など、気になることがあれば、かかりつけの小児科医に相談しましょう。
・予防接種の記録: 予防接種の記録は母子健康手帳や記録アプリなどを使って、正確に大切に保管しておきましょう。
・熱がある場合: 熱がある場合は、予防接種を延期することがあります。
・アレルギーのある場合: ワクチンの成分に対してアレルギーのある場合は、事前に医師に伝えてください。

 

予防接種法改正の最新の変更点(2024年10月現在)

2024年年4月1日付で予防接種法が改正され、乳幼児の定期予防接種スケジュールなどに変更が行われました。以下が主な変更点です。

①これまでの「4種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)」と「ヒブワクチン」が一つになった「5種混合ワクチン」になり、これら5つの疾患に対する接種スケジュールが簡素化され、1回の接種で可能となり、接種回数の削減と接種に対するストレス軽減につながると期待されます。

②2024年4月より15価の「小児用肺炎球菌ワクチン」接種を実施していますが、10月1日に予防接種法が改正され、20価ワクチンが定期接種に追加されました。10月以降に小児用肺炎球菌ワクチン接種を開始する場合、20価ワクチンでの接種となります。20価ワクチンは、計20種類の肺炎球菌に対して予防効果を有しています。
※「価」は、ワクチンが対応する病原体の種類を表す

③定期接種実施要領の改正に伴い、異なるワクチン間の接種間隔の制限が一部緩和されました。ワクチンには「注射生ワクチン」「経口生ワクチン」「不活化ワクチン」などがありますが、今後は注射の生ワクチン間のみ、接種してから27日以上あけることになりました。その他のワクチンについては制限がなくなりました。ただし、あくまでも異なるワクチン間の接種間隔についてですので、同一ワクチンを複数回接種する際の接種間隔の制限は従来どおりとなりますのでご注意ください。

また、2024年4月、10月の法改正では特に明記されてはいませんが、新型コロナワクチンに関しては接種をどうすればいいのかが気になるところ。
新型コロナワクチンの接種は、臨時接種(公費)での接種が2024年3月末で終了し、4月以降は任意接種となっています。日本小児科学会では、「生後6カ月~17歳のすべての小児への新型コロナワクチン接種(初回シリーズおよび適切な時期の追加接種)を引き続き推奨します」としています。
 
 
※参考サイト
厚生労働省 予防接種・ワクチン情報​
国立感染症研究所 予防接種情報
日本小児科学会< 生後6か月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方
 
 

藤本義隆先生監修

HEALTHCARE 赤ちゃんのヘルスケア情報


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