乳幼児期(1歳~)のいびき
乳幼児期(1歳~)にいびきがみられる場合は、原因を突き止めて対処する必要があります。
早めに対処しなければ成長や学習などに悪影響が及ぶ可能性があるため、いびきが長く続く場合はクリニックを受診しましょう。
乳幼児期のいびきの原因と影響
いびきは、鼻から気管支あたりまでの「上気道」が狭くなり、気道の粘膜が振動することで発生します。上気道が狭くなる原因には、鼻づまりや風邪、扁桃やアデノイドの肥大、アレルギー、構造的な問題、肥満などがあります。
いびきをかいていても十分に酸素を取り込めていれば問題ありません。
しかし、睡眠時無呼吸症候群と呼ばれる睡眠中に呼吸が停止する病気の場合は、睡眠の質の低下による成長・学習への影響が懸念されます。
いびきの診断と治療
乳幼児のいびきが酸素を取り込めていないほどに重度かどうかは、見た目や音だけでは判断できません。まずは専門家に相談し、いびきの状態や影響度について詳しく調べることが大切です。
乳幼児のいびきの検査では、上気道が狭くなる原因がないか調べます。また、検査機器で睡眠中の呼吸やいびき、心拍などをモニターするほか、睡眠の状況をご家族の方に動画で記録していただきます。
いびきの原因を特定できた場合は、原因に合った治療を行います。例えば、アレルギー性鼻炎が原因の場合は、アレルギー反応や炎症を抑える薬が有効です。また、扁桃またはアデノイドの肥大が原因の場合は、切除手術を検討します。
いびきの予防と対策
扁桃またはアデノイドの肥大によるいびきは予防できませんが、アレルギーや肥満などが原因のいびきは予防できる可能性があります。
適切な寝具や寝姿勢の確保
枕の高さが合わないと、上気道が圧迫されて狭くなり、いびきが起こりやすくなります。高すぎても低すぎても悪影響が及ぶため、子どもに合う高さに調整することが大切です。朝、起きたときに枕から頭がずれ落ちている場合は、枕の高さが合っていない可能性があります。枕の高さが合っているかどうか本人が判断することは難しいため、首の付け根部分と背中が布団に着いているかどうかを確認しましょう。首の付け根部分と背中が布団に着いていない場合は、着くように枕の高さを変えてみてください。
また、仰向けよりも横向きに寝る方がいびきが起こりにくい傾向があります。なかなか横向き姿勢を維持させることは難しいものですが、可能な範囲で姿勢を保てるようにしましょう。ただし 、SIDS(乳幼児突然死症候群)の予防の観点から1歳頃までは仰向けで寝かせることが大切です。
アレルギー対策
ハウスダストや花粉などが原因で上気道の粘膜に炎症が起きている場合は、アレルギーの原因となる物質を遠ざけることが大切です。こまめに掃除機をかける、空気清浄機を利用する、ダニやカビが繁殖しやすいタオルはこまめに洗濯する、家の外で身体についた花粉を払ってから家に入るなど、さまざまな方法で対策しましょう。
適度な運動と栄養バランスの良い食事
肥満を防ぐために、適度な運動と栄養バランスの良い食事を心がけることも大切です。積極的に公園へ連れて行く、糖質や脂質が多すぎるメニューを避ける、おやつを与えすぎないなど、家族の方が生活習慣をコントロールしましょう。
加湿器の使用
空気が乾燥していると感染症のリスクが高まります。感染症を防止することでいびきを予防できるため、部屋が乾燥しないように加湿器で湿度を40~60%に保ちましょう。また、こまめに水分をとって、上気道の乾燥を防ぐことも感染症対策に有効です。水分をとると鼻水も柔らかくなるため、鼻詰まりの予防にもつながります。
まとめと今後の展望
乳幼児期のいびきを放置すると、睡眠の質が低下することで成長や学習面に悪影響が及ぶ可能性があります。子どものいびきは家族の方が見つける必要があるため、寝ている様子をこまめにチェックすることも大切です。
もし、いびきが長く続くようであれば専門家に相談しましょう。