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乳児血管腫

立花幸晃先生監修

 
乳児血管腫は、いちごを半分に割ってはり付けたような見た目であることから、いちご状血管腫とも呼ばれていました。全身のさまざまな箇所に現れ、症状によっては健康面に何らかの問題を引き起こすことから、必要に応じて治療を行います。

乳児血管腫

概要

血管腫は血管の拡張や増殖によって生じる良性腫瘍です。出生時から大きさが変化しない「血管奇形」と、大きくなっていく「血管腫」があります。血管奇形が自然に消えないのに対して、血管腫は自然に消えることが特徴です。

乳児血管腫は、生後数日~数週間後に少しずつ現れる、盛り上がりのある赤あざです。大きさは数ミリから握りこぶしほどのものまでさまざまで、生後6~12ヶ月でピークに達し、5~10歳で自然に消えるといわれています。現れる箇所もお腹や頭部、目の周りなどさまざまで、部位によっては何らかのトラブルを引き起こします。
 

治療法

乳児血管腫は治療をしなくても自然に消失することが期待できるため、経過観察のみとするケースが多い病気です。しかし、自然に消失した後にしわやたるみが生じて将来的に見た目が気になることがあるため、治療を提案される場合があります。特に、かなり大きなものは、伸びた皮膚が縮みきらずに盛り上がりが残り、見た目に影響が及びます。

乳児血管腫の治療法は、レーザー治療と内服治療です。レーザー治療では、血液中のヘモグロビンがレーザーのエネルギーを吸収して、熱が発生することで血管の内壁が壊れて血管が閉塞し、乳児血管腫の改善へ導きます。生後2~3ヶ月以内に照射すると、ピーク時の大きさを小さく留める効果も期待できます。ただし、深さが1mm以上のものに対する効果は限定的です。

3ヶ月程度の間隔を空けて、5~15回程度の照射を行います。照射時にはゴムで弾かれたような痛みがあるため、痛みを抑える目的で貼り薬や塗り薬のほか、麻酔を行うことがあります。

内服治療では、血管腫の増殖を抑える効果が期待できる薬剤を使用します。ただし、乳児血管腫が健康に害を与えている場合や、急激に大きくなったり痕が残りやすいと判断されたりした場合に限り内服治療を行います。

レーザー治療と内服治療はいずれも保険適用の治療法です。
 

早期治療が必要な場合

乳児血管腫は、発生した部位によっては身体の機能や発達に悪影響を及ぼします。例えば、目の周りに現れると、盛り上がった赤あざによって視野が妨げられることがあります。また、喉にできた場合は気道をふさがれて呼吸困難に陥る可能性も否定できません。そのほか、肛門や尿道の出口にできた場合は、排泄障害につながることがあります。

健康面への害はないものの、頭皮に生じた大きな乳児血管腫は、治療を行わないと髪が生えてこなくなることがあるため、コンプレックスの原因になる可能性を踏まえると、治療した方がよいといえるでしょう。

なお、現在は乳児血管腫が小さくて機能や発達に影響を及ぼしていなかったとしても、将来的にトラブルにつながると判断された場合は、早期治療を行います。乳児血管腫に気づいた段階で診断を受けて、治療方針や治療を受けるタイミングなどについて医師と相談して決めることが大切です。

今回は、乳児血管腫の症状や治療法、早期治療が必要なケースについて解説しました。単なる赤あざではなく、機能や発達に悪影響が及ぶこともあるため、放置せずにまずは医師に相談しましょう。

立花幸晃先生監修

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