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赤ちゃんの聴力検査は大切!その重要性と受け方

小森 学先生監修

赤ちゃんが生まれた後に行われるさまざま検査の内でも、ことばの発達や人とのコミュニケーション能力に必要となる聴覚の異常を早期に発見する聴力検査はその重要性ゆえに非常に注目されています。

 

早期発見が重要な理由

① ことばの獲得は、生後まもなくから始まるため、きこえにくさがあればことばの発達に影響が生じるため、できる限り早めの対応が必要です。

② 赤ちゃんは周囲の音やことばを聞き取ることで、ことばを理解し、しゃべることで人との関わりあいを学びますが、きこえにくさはそうした人とのコミュニケーションに影響を与えてしまいます。

③ 早めに発見することで、きこえを補うことのできる補聴器を付けたり、きこえに配慮した教育(療育といいます)を早く開始することができるため、ことばの発達や人とのコミュニケーションへの影響を最小限にすることができます。

 

1000人に1〜2人が先天性難聴

先天性難聴は全出生児の約1,000人に1~2人に認める比較的頻度の高い疾患です。1990年代より欧米諸国を中心に「新生児聴覚スクリーニング」(NHS:newborn hearing screening)が導入され、日本でも2001年から導入され、現在ではお産を取り扱う施設の98%以上で実施可能となっています。厚生労働省の報告によると2019年時点での普及率は全国で91%になっています。2014年までの産婦人科診療ガイドラインでは推奨度がC(実施が考慮される)でしたが、2017年に改変されたものでは、推奨度がB(実施が勧められる)に引き上げられました。

また、ウイルスによる胎内感染で最も頻度が高いサイトメガロウイルス(CMV)というウイルスの感染が先天性難聴の原因となる可能性があります。このウイルスによる先天性の感染は新生児300人に1人ほど報告されています。NHSでもし片耳でも要精査と言われた場合には生後21日目以内の尿検査で先天性CMV感染かどうかが判断できるため、なるべく早期にこれらの検査ができる病院への受診が必要となります。

 

NHSには2つの検査方法があります

OAE(耳音響放射)

耳に小さなプローブ(イヤホン)を挿入し、特定の音を送ります。内耳が正常であれば、内耳から音が反射され、それを検出します。
 

自動ABR(聴性脳幹反応)

頭や耳の周囲に電極を装着し、音を聞かせた際の脳の反応を測定します。赤ちゃんが眠っている状態でも検査が可能です。

NHSの機器としては通常自動ABRかOAEが使用されますが、その検出できる難聴の範囲や精度などで厚生労働省は自動ABRを推奨しています。

 

出産後すぐのNHSが推奨されています

出産施設での新生児聴覚スクリーニング検査

多くの産院や病院では検査の内容を説明した後に実施します。産後1週間以内に実施され、費用は病院や自治体によりますが、公費助成がある自治体もあります(後述)。要精査であった場合は数回確認検査を行うことが望ましいとされており、そこでも要精査の場合には精密検査機関へ紹介となります。

精密検査機関での検査

NHSで要精査となっても難聴と決まったわけではありません。スクリーニング検査のため、正常であっても引っかかってしまうことはあります。おおよそ両側とも要精査の場合には5人に3人が両側難聴、片側要精査の場合には半分が片側難聴、12人に1人くらいの割合で両側難聴が見つかります。

 

自治体による費用負担や助成もある

NHSの検査費用は2,000円から10,000円程度で、出産費用に含まれている場合もあります。自治体によっては無料または助成が受けられますが、公費に関しては全額負担とまではなってないのが現状です。

専門機関での精密検査は健康保険の適用があり、3割負担で受けることができます(一般的に赤ちゃんは乳幼児医療助成制度があるため負担はもっと少ないです)

 

きこえの悪さを見逃さないためのポイント

NHSの実施数は増加していますが、まだすべての分娩取り扱い医療機関で実施されているわけではなく、助産院や自宅分娩などのケースもあり、NHSの精査・療育へのルートから外れてしまった場合や生まれた時には正常であったにもかかわらず難聴が進行するケースもあります。
仮にそうしたケースでも、赤ちゃんの聴力の発達異常を見逃さないために気を付けるポイントも付け加えます。

赤ちゃんの行動に注意:音が鳴る方向を向くかどうかを確認しましょう。
名前を呼ぶと反応するか:反応が鈍い場合、聴覚の問題の可能性があります。
おもちゃの音に反応するか:ガラガラや鈴などのおもちゃに関心を持つかどうかを観察します。

もし、赤ちゃんが音に反応しない、呼びかけに振り向かないといった行動が見られた場合、早めに耳鼻咽喉科や保健センターに相談することをおすすめします。

小森 学先生監修

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