どうして赤ちゃんのスキンケアがそんなに大切なの?
【第1回】赤ちゃんの肌の特徴とスキンケアの重要性
赤ちゃんのお肌はぷっくりしていて見るからに健康そう。大人のようにスキンケアなんて必要ないのではと思ってしまいがちですが、実は予想以上にデリケートでこまめなケアが必要です
赤ちゃんの肌は想像以上にデリケート
生まれたばかりの赤ちゃんのお肌は、大人のようにしっかりとしたバリア機能ができていません。発展途上の皮膚なのです。そのため、外部刺激を受けやすく、乾燥しやすいため、適切なスキンケアが大切です。
バリア機能の未発達
赤ちゃんのお肌の特徴を簡単に紹介すると、まずバリア機能が未発達であることが挙げられます。
皮膚は表皮(ひょうひ)・真皮(しんぴ)・皮下組織(ひかそしき)の3層から構成されています。
表皮は皮膚の最表面の層で、さらに5層にわかれています。皮脂膜の下の角質層は、角層細胞がレンガを積み上げたように重なっています。この部分が外界からの刺激や異物の侵入を防ぐバリア機能を果たしています。赤ちゃんの場合、角層細胞が小さくふぞろいでバリア機能がとても未熟です。そのため、角層細胞のすき間から異物が侵入しやすく、外部刺激を受けやすい状態にあります。このため、乾燥しやすく、アトピー性皮膚炎などの肌トラブルのリスクが高まります。
汗腺の発達が不十分
赤ちゃんの皮膚では汗腺がまだ完成していません。発達途上で、かつ大人と同じ数の汗腺があるため、同じ面積で考えると大人の6~7倍もの汗腺があり、大人の約2~3倍ほどの汗をかく大変な汗っかきと言えます。汗をかいたままにしておくと不潔な状態になりやすいので、あせもや、ひどいときは湿疹などの皮膚トラブルを引き起こすこともあります。
また、汗腺分泌機能をはじめとした体温調節機能も発達途上にあるので、汗をかいて体温を下げることが上手にできません。
皮脂の分泌が少ない
赤ちゃんの皮膚の厚さは大人の半分ほどの厚さしかありません(16歳頃までに成人と同様になります)。生後4カ月頃までは、胎盤を介するお母さんからのホルモンの働きで多く分泌されていた皮脂量も、4カ月を過ぎると急に少なくなって、大人の約1/3になります。皮脂の分泌が少ないため、乾燥しやすく、肌のバリア機能が十分に働かないので、外からの刺激などを受けやすい状態になってしまいます。
皮膚トラブルを起こしやすい
「お肌は弱酸性」という言葉はよく知られていますが、健康な肌の表面は、pH4.5~6.0の弱酸性です。pHとは、酸とアルカリの度合いを表す数値で、ピーエイチやペーハーと呼ばれます。赤ちゃんの皮膚は中性に近い状態で、酸性から中性に近づくにつれて、細菌が増えやすくなるので、皮膚トラブルが起こりやすい状態だといえます。
スキンケアの基本は保湿とバリア機能の保護
こうした未熟さと弱さを持つ赤ちゃんのスキンケアで最も大切な基本が保湿とバリア機能の保護です。この二つの基本をしっかりと意識しながらそれぞれのシチュエーションや季節、トラブルなどに対処していくことになります。
まず保湿についてですが、乾燥は皮膚トラブルを引き起こす一番大きな要因です。保湿とは水分を肌に補給し、その水分が蒸発しないように保つことが目的ですから、よく使われるのが保湿剤です。水分を皮膚に閉じ込めることで、肌を柔らかくし、刺激から守ります。特にお風呂上がりのように肌が湿っている時に保湿剤を塗ることが効果的です。
保湿剤は、セラミドなど肌のバリア機能を支える成分が含まれているものを選ぶと良いでしょう。
次にバリア機能の保護をどう考えるかですが、赤ちゃんの肌のバリア機能は未熟であり、外部からの刺激やアレルゲンに対する抵抗力があまりありません。赤ちゃんのお肌にとってどんなことが刺激になって、バリア機能にとって脅威になるかをよく理解することが必要です。スキンケアの製品では、肌に優しい成分で作られた製品を選び、刺激の強い成分の入った染料や加工物が少ないものを使用することが推奨されます。
赤ちゃんのスキンケアにはどんなメリットがあるの?
赤ちゃんのスキンケアは、その繊細で敏感な肌を保護し、健康を維持するために非常に重要です。最後に赤ちゃんのスキンケアの主なメリットをまとめてみました。
皮膚の健康の維持
適切なスキンケアによって、赤ちゃんの皮膚は適切な水分と油分を保ち、乾燥や皮膚炎などの皮膚問題を防ぐことができます。保湿は特に重要で、肌の柔らかさと健康を保つための基本です。
刺激からの保護
赤ちゃんの肌はバリア機能が未発達であり、外部からの刺激に対して非常に敏感です。スキンケアを行うことで、刺激物質や汚れが肌に直接触れるのを防ぎ、肌トラブルを予防します。
快適性の向上
適切な保湿とスキンケアをしていれば、赤ちゃんの肌はなめらかで快適な状態を保つことができます。これは、肌が乾燥してかゆみや不快感を感じるのを防ぎます。少しの不快感でも泣き出す赤ちゃんが、少しでも快適に過ごすためにスキンケアはとても大切です。
アレルギー反応のリスク減少
清潔で保湿された肌は、アレルゲンや刺激物質に対するバリアとして機能します。これにより、アレルギー反応や皮膚の感染のリスクを減少させることができます。
情緒的な絆の形成
スキンケアの時間は、親と赤ちゃんとの間の愛情深いスキンシップとしても機能します。このような触れ合いは、赤ちゃんの心理的な安心感を高め、親子の絆を深めるのに役立ちます。
以上のメリットを意識しながら赤ちゃんのスキンケアをしてあげると、赤ちゃんの健康と快適な育成環境が保たれ、発育にも良い影響を与えることが期待できます。これらのケアを行う際には、赤ちゃんの肌の状態を常に観察し、異常が見られる場合は早めに医師の診断を受けることが大切です。