鼻水について勉強しよう!
鼻が詰まっていたり、鼻水がズルズルしていると苦しいですよね。自分で鼻をかめない赤ちゃんは大人よりもっと苦しい思いをしているはず。「たいしたことない」と放っておくと深刻な病気になったり、それが重症化してしまうなんてことも…。そうなってしまう前に、鼻水について勉強しておきましょう!
鼻水が出る原因は大きくわけて2つあります。
その1:アレルギー反応による炎症
花粉やホコリ、ハウスダストなどが鼻に入りアレルギー反応を起こすことで鼻水が出ます。
その2:ウイルス感染による鼻風邪
ウイルスによって鼻の粘膜が刺激されると、鼻づまりや鼻水が垂れるなどの症状が起こります。
いわゆる急性鼻炎と呼ばれるものです。
● 子どもの鼻の特徴って ?
子どもの鼻の中は狭く、鼻と耳をつなぐ耳管が太く水平のため、ウイルスが入りやすい構造になっています。また、子どもの鼻はちょっとした環境の変化で鼻水の分泌が増えやすいのも特徴です。
● 鼻水が詰まるとどうなるの ?
・中耳炎になってしまうことがあります
鼻と耳は耳管という管でつながっています。ウィルスや細菌を含んだ鼻水が耳管へ流れ込み中耳に入ると、炎症を起こし中耳炎になってしまうことがあります。
・うまくミルクが飲めなくなる場合があります
乳児期は主に、ミルクを飲みながらできる鼻呼吸をしています。そのため鼻が詰まってしまうと息がしづらいだけでなく、うまくミルクが飲めなくなる場合もあります。
・目やまぶたが腫れることがあります
目と鼻は鼻涙管(びるいかん)という管でつながれています。鼻がつまると鼻涙管の出口がふさがれ、涙が逆流し、目やまぶたが腫れることがあります。
このように鼻水が詰まると息が苦しいだけでなく、他の病気を誘発したり、様々な影響があります。「鼻水だから」と放置せずに、こまめにケアすることが大切です。
● 部屋を加湿する
乾燥を防ぐことで鼻の通りが良くなり、呼吸がラクになります。
● 鼻をかませる
鼻をすすらせないように片方ずつ小刻みにゆっくりとかませてください。このとき、強くかみすぎないように注意しましょう。
● 鼻水を吸引する
鼻をかんでも出せない奥に詰まった鼻水は、簡易な吸引器ではなく、電動の鼻水吸引器を使用すると簡単にとることができます。
● 部屋の湿度を高め・綿棒やガーゼなどでやさしく拭き取る
鼻の粘膜を傷つけないように、やさしく詰まった鼻水を取り除きましょう。
● 蒸しタオルや吸入器をつかう
鼻に蒸しタオルを当てたり、吸入器で蒸気を吸わせると、粘度の高い鼻水も取れやすくなります。またお風呂の後や、温かい物を食べた後なども鼻水が取れやすいです。
鼻水のかみ方の教え方
1.鼻の穴の入り口に手をあてさせ、鼻から「フンッ」っと息を強めに出して空気がでてくるのを実感させましょう。 |
2.口を閉じて鼻から息を吐くことが大切です。ティッシュを使わずにすると、息がどこから出ているかわかりやすくなります。 |
3.2ができるようになってきたら、鼻の穴の一方を押さえてかむようにしてください。 |
鼻水にはウィルスや細菌がたくさん含まれています。
他の子どもや、保護者の方への感染を防ぐためにも、鼻をかんだ後のティッシュは適切に処理しなければなりません。
● ティッシュはフタ付きのゴミ箱に捨てる!
鼻水は乾燥すると空気中を数時間浮遊します。鼻をかんだティッシュを捨てる際はフタ付きのゴミ箱を使ったり、ビニール袋の口を結んだりしましょう。
● ティッシュは子どもの手の届かないところに置く!
鼻をかんだティッシュを子どもが触ると、感染はもちろん、口に入れてしまうと窒息してしまう恐れもあります。これらを防ぐためにも鼻をかんだティッシュは子どもの手に届かないところへ置くようにしましょう。
● 鼻をかんだ後は手を洗う!
感染を防ぐために鼻をかんだ後や、そのティッシュを触った後はよく手を洗いましょう。指の間、手首、手全体を石鹸でくまなくしっかり洗うことが大切です。
● 透明でサラサラの水っぽい鼻水
水様性鼻水と言われ、主にアレルギーによる鼻水と風邪のひき始めにみられます。
● 色の薄いねばり気のある鼻水
粘液性鼻水と言われ、透明から薄い黄色をした鼻水です。鼻水が出始めてから数日経った頃や、慢性副鼻腔炎の疑いがある時にみられます。
● 色が濃くねばり気の強い鼻水
膿性鼻水と言われ、副鼻腔炎の症状の1つです。粘液性鼻水と比べると色が濃く、ねばり気が強いことが特徴で、においがする場合もあります。
● 血の混じった鼻水
鼻の内部に傷があったり、炎症が起こっている可能性があります。片方だけから血の混じった鼻水が出る場合は、鼻に異物が入っていることも多いですが、両方から血の混じった鼻水が出る場合は、進行性鼻壊疽(しんこうせいびかいそ)や悪性腫瘍など、重い病気の可能性もあります。病院での診察を受けましょう。
鼻水を放っておくと以下のような違う病気を誘発してしまうこともあります。
● 中耳炎(ちゅうじえん)
キケン度 | |
特徴 | 細菌やウイルスによって、鼓膜の奥にある「中耳」が炎症をおこす病気です。 耳が痛くなったり、高熱などの症状が出ます。 子どもは耳管が太く水平のため、中耳へウィルスや細菌などが侵入しやすく、中耳炎にかかりやすいとされています。0歳~3歳までの間に約7割の子どもが中耳炎を発症しているといわれる程、子どもに多い病気です。 |
症状 | ・耳が痛い ・聞こえづらい ・熱が出る ・耳だれが出る |
● 副鼻腔炎(ふくびくうえん)
キケン度 | |
特徴 | 鼻の穴の中のことを鼻腔といい、この鼻腔の周りにある骨に囲まれた空洞部分が副鼻腔です。この副鼻腔にウィルスや細菌が入り、炎症を起こすと副鼻腔炎を発症します。主な症状としては、ネバネバで黄色い鼻水が出る、頭痛や発熱する等が上げられます。慢性化することもあり、副鼻腔炎が1ヶ月続くと「急性副鼻腔炎」、3ヶ月以上続くと「慢性副鼻腔炎」と、かかった期間により呼び方が変わります。 |
症状 | ・鼻づまり ・ネバネバした黄色い鼻水が出る ・頭痛、発熱、体が怠いなどの症状 ・においがわかりにくくなる |
「たいしたことない」と思っていた鼻水も、放置すると違う病気を誘発してしまうおそれがあります。
これらの病気にかかってしまうと、子どもがつらいのはもちろん、通院や家でのケアなど、お母さんも大変です。
そうなる前にこまめな鼻水ケアで、しっかり対策していきましょう。
● 注意をしたい鼻水の症状「後鼻漏」(こうびろう)とは?
かぜやアレルギー性の鼻炎では、さらさらの鼻水が鼻の穴に向かって流れます。それに対し、副鼻腔炎にかかっていると、粘り気のある鼻水が鼻の奥からのどにかけて流れます。これを「後鼻漏」といいます。
この後鼻漏によって鼻水がのどに流れると、
・のどのイガイガや咳・たんなどの症状が出るようになる。
・口呼吸になり、ウイルスや細菌が体内に侵入するリスクが高まる。
・息苦しくなり、ミルクが飲めなくなったり、夜眠れなくなる。
その結果、体力の低下を引き起こし、風邪が長引くなど、赤ちゃんに様々な悪影響を及ぼします。
また、ウイルスを含んだ粘り気のある鼻水が耳管を通って中耳に流れるため、中耳炎を引き起こす原因にもなるのです。後鼻漏の対策は、こまめに、しっかり鼻水を吸引してあげる事です。しかしながら、鼻の中は狭く複雑に入り組んでおり、粘り気のある鼻水が鼻の奥にたまっているため、簡易な吸引器で吸い出すのは簡単ではありません。耳鼻科で処置してもらうだけでなく、吸引力の強い電動鼻水吸引器を使用するなど、家庭内でも後鼻漏の対策をとっていきましょう。
●体を横にしたときに、鼻水が喉へ流れ「ゴホッ、ゴホッ」というたんが絡んだようなせきが出る場合は、副鼻腔炎や後鼻漏を発症している場合があります。この症状を「湿性咳嗽(しっせいがいそう)」といい、起床時や就寝時に多くみられます。後鼻漏や副鼻腔炎を判断する大きな目安となるので、鼻水が続いていると感じたら気にかけてみましょう。