子どもの医療費
赤ちゃんは大人に比べて免疫が低く病気になりやすいものです。どのような病気であれ、ママにとってはとても心配で胸が痛みますが、病気になった時、もうひとつ心配になるのが、治療費や入院費用。最近は助成や控除等が充実していますので、上手に制度を利用しましょう。
>>詳しくは「予防接種」ページへ
子どもの医療費助成とは、健康保険の自己負担分(未就学児は2割、小学生以上は3割)を各都道府県や市町村が負担してくれる制度です。ここ数年でずいぶん充実してきました。各自治体で助成対象や内容は大きく違い、年齢制限や、親の所得額による制限、通院か入院か、全額助成か一部自己負担金があるかなど様々です。
例えば東京都の場合は、小学校入学までは原則無料となり、23区内では中学3年生までが助成対象です。他の道府県でも乳幼児を対象とする自治体が95%以上、9歳以上を対象とするところも40%近くにのぼります。さらにプラスして各市区町村の助成もあります。助成が手厚い地域では最長で高校生まで無料になる事もあります。
注意したいのは、赤ちゃんの定期検診は病気ではないので保険診療外となり、助成の対象にならないことです。ただし検診の結果、治療が必要となった場合は助成対象になります。
※自治体によっては、定期予防接種以外のワクチンも無料で受けられることがあります。
助成を受けるには
助成を受けるには、健康保険に入っていることが条件です。出生後、戸籍の届出をしたらすぐに健康保険に加入して、医療費助成についても確認しておきましょう。生まれてすぐ、保険加入前に病気になってしまった時は、役所に相談しましょう。事後加入でも助成してくれる事があります。
助成金は、基本的には以下のどちらかのパターンで適用されます。
【1】自治体が発行する受給券を保険証と一緒に提示することにより、その場で適用され、
各市町村が設定している自己負担金のみ、もしくは無料で受診が可能。
【2】窓口で一旦、健康保険自己負担分(2割または3割)を支払い、後日申請すれば、助成分が返還される。(1~3か月後)
(例・東京都の場合)
●東京都では、子どもの年齢によって2種類の医療費助成制度が設けられています。
・乳幼児医療費の助成制度(マル乳)・・・小学校入学まで
・義務教育就学児医療費の助成(マル子)・・・小学生~中学校卒業まで
中学生までは医療費の助成が受けられる仕組みになっていて、それぞれの医療証を受診時に医療機関の窓口に提示すれば助成が受けられます。ただし、都外や本制度による診療を取り扱わない医療機関で診療を受ける場合や、都外国民健康保険に加入している人は、一度医療保険の自己負担分を医療機関の窓口に支払う必要があります。後日、その領収書をもって、お住まいの区市町村の義務教育就学児医療費助成担当課に医療助成費の申請をすれば、助成金が戻ってきます。
●控除の対象となるもの
医療保険の対象となる医療費、薬剤費等
●控除の対象とならないもの
・医療保険の対象とならないもの(健康診断、定期予防接種以外の予防接種、薬の容器代、差額ベッド代、紹介状を持たずに受診した200床以上の病院の初診料等)
・交通事故等の第三者行為
・保育園等管理下の傷病で、独立行政法人日本スポーツ振興センター法に基づく災害共済給付制度対象の場合
・健康保険組合等から支給される高額療養費・附加給付に該当する医療費
・他の公費医療で助成される医療費
【3】医療費控除
各世帯の1年間の医療費が10万円以上または、控除後所得の5%以上なら所得税、住民税が安くなります。
医療費控除とは、各世帯の年間(1月1日~12月31日までの間)の医療費が10万円を超えた場合(所得200万円以下の場合は所得の5%を超えた場合)は、所得税、住民税が一部返還、減額されます。所得税を支払っている方であれば、家族の誰が申請しても構いませんが、共働きでパパとママがそれぞれ所得税を支払っている場合は、税率の高い方が申請するとよいでしょう。申請には領収書が必要で、申告は5年間有効です。知らなかった人も5年以内で領収書が残っていれば申告できます。
【医療費控除額の計算方法】
(出産育児一時金、高額医療、生命保険、医療保険、損害保険などから出る給付金など。
休職に対して支給される出産手当金、傷病手当金は含まれない)
※所得税の税率
課税される所得金額 | 税率 |
195万円以下 | 5% |
195万円超 330万円以下 | 10% |
330万円超 695万円以下 | 20% |
695万円超 900万円以下 | 23% |
900万円超 1800万円以下 | 33% |
1800万円超 | 40% |
●薬の購入代金や交通費も申請可能!
病院での治療代以外にも、薬の購入費用や通院の際の交通費も控除対象となります。
対象になる費用については、領収書をとっておく癖をつけておきましょう。
【◎控除の対象になるもの】
- 治療費
- 薬局などでの購入医薬品
- 通院にかかった交通費
- 入院中の院内食
- 入院時のベッド代
- 治療の一環としてのマッサージや鍼灸
- 妊婦定期健診
- 分娩入院費用
- 不妊治療費(医師が必要と認めた場合)
- 赤ちゃんの定期健診
【×控除の対象にならないもの】
- 審美目的の治療
- 差額ベッド代
- サプリメント 謝礼
●申請方法
控除を受けるには、税務署で確定申告をしなければいけません。会社の年末調整などでは出来ないのでご注意を。
確定申告は毎年、2月中旬から3月中旬の間に行われます。税務署や確定申告の会場、もしくはwebからでも出来ます。
(webからの場合は事前に登録が必要です)この時に、以下のものを必ず用意してください。
申告書源泉徴収票
医療費のレシートや領収書(※通院の際の交通費は領収書でなくメモ書きでもOKです。)
還付金の振込み先の通帳か口座番号
印鑑
申告すると、1~2か月後には指定の口座へ所得税還付金が振り込まれます。住民税は翌年に反映されるので、還付ではなく、翌年支払う住民税が安くなります。
(4)ひとり親家庭の医療費助成
自治体によって違いはありますが、ひとり親家庭は養育者である親も医療費の助成が受けられます。
(東京都の場合)
東京都では、マル親と呼ばれるひとり親家庭医療費助成制度があります。
所得が所定限度額以下で、ひとり親もしくは親のいない子どもを養育している養育者は子どもが18歳になった年の年度末
(障害があれば20歳未満)まで、親子共に助成が受けられます。
通院の場合、住民税課税者は自己負担1割(1か月の上限は12,000円)、非課税者は自己負担なしの全額助成です。
入院の場合も住民税課税者は自己負担1割(1か月上限44,400円)、非課税者は自己負担なしの全額助成になっています。
複数の助成の対象になっている場合、これも各自治体によって違いはありますが、東京都ではマル乳、マル子が優先適用されます。つまり、子どもは中学卒業まではマル乳、マル子が適用されて、中学卒業~18歳の間はマル親が適用されます。親は子どもが18歳までずっとマル親が適用されます。
現在、日本人の生涯にかかる医療費は、なんと平均2400万円(健康保険の自己負担額で485万円ほど)と言われています。あくまでも今の時点での金額ですので、今後高齢化がさらに進めば、医療費負担割合が増えて、自己負担額も増えてゆく可能性もあります。
病気になると体が辛いだけでなく、生活や人生設計も変わってきます。
医療費がかかるばかりか、看病する家族も仕事や生活に支障が出ますし、勉強やスポーツ、習い事などが制限されて子どもの
将来の可能性も狭くなってしまうかもしれません。
また、大人になってから病気がちだと仕事や収入で不利になったり、住宅ローンが組めない場合もあります。
日本はまだまだ予防医学の意識が低いと言われていますが、やはり病気にかかってからの治療ではなく、病気になる前に予防する
ことが何よりも大事です。
日本は世界一の長寿国と言われて久しいですが、介護などを必要とせず、日常生活に不自由なく暮らせるのは平均72歳までなんです。
その後の10年ほどは、人の手を借りながら生活しています。日々の健康管理、病気予防は、歳をとった時に差が出ます。子どもが生涯にわたり健康で充実した生活を送れるように、小さい頃から病気の予防、健康管理の意識や習慣をつけてゆくことがとても大切です。