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預かり期間が短いほどSIDS発症の危険性

引用元:「小児保健研究」2006年第65巻第6号 836-839「保育預かり初期のストレスとSIDS危険因子の関係について」
乳幼児突然死症候群は通称SIDSと呼ばれ、予兆もなく赤ちゃんが亡くなる病気です。
保育施設で発生したSIDSについて聞き取り調査を行った結果、預かり初期での発生が顕著に多いことが明らかになりました。さらに預かり初めの1週間に3分の1が発症、そのうち2分の1が預かり初日にSIDS発症の危険度が高いことが報告されました。
<調査について>
保育施設でのSIDS発症者31名を調査。そのうち17名が1か月以内での発症であったことが判明。そして初日は以降の危険度の133倍のリスクがあることが分かりました。
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初日…4名(12.9%)
2日目~1週間以内…5名(16.1%)
2週間目~1か月以内…8名(25.8%)
1か月~2か月以内…4名(12.9%)
2か月~1年以内…10名
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保育施設での普段と違う環境がストレスに

保育施設においては、預かり保育の初期にSIDSの発生が最も多いことから、赤ちゃんが感じるストレスがSIDSの原因の一つとなりうることが考えられます。多摩北部医療センター小児科の小保内俊雅部長らの研究グループでは、保育園の預け初めの突然死は新たな環境への適応困難が要因になっている可能性を指摘しました。赤ちゃんにとっては、保護者から離れて1人で保育園に入ることが、想像以上の大きなストレスになっていると考えられています。
保育園や保護者ができることは

保育園の入園を控えている保護者の方は、悲しい事故を少しでも防ぐために家庭でできる準備をしておきましょう。まずタバコの煙はSIDSの原因の一つと言われているため、赤ちゃんのいる家庭ではタバコを吸わないことが大切です。また、うつぶせ寝の癖がある赤ちゃんは、あおむけの姿勢で寝られるよう、練習しておくことをおすすめします。さらに、保育施設と保護者の方は、慣らし保育の期間をしっかりと設けるように努めてほしいです。慣らし保育期間中はすぐに迎えに行けるように、体制を整えられると良いでしょう。
SIDS発症にリスクに備えて、体動センサの導入等、様々な視点で保育環境の整備に取り組むことが重要となってきます。
(参考文献)
伊東和雄、中村徳子、“保育預かり初期のストレスとSIDS危険因子の関係について”
Child Research Net.2013-12-06. https://www.blog.crn.or.jp/lab/09/01.html、(参照2021-12-07)
American Academy of Pediatrics:REDUCING THE RISK OF SIDS IN CHILED CARE.Copyright©2004
NHK生活情報ブログ https://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/200/100/291827.html

早産など周産期になんらかの異常があったものの死亡したときにはその問題が完全に解決されているものや、剖検所見としては、無視はできないものの死因とは新定できない病変(限局的な気管支炎・肺出血・浮腫、心房中隔欠損症・心肥大など)が認められる、あるいは、死亡状況調査において、死亡にはつながらない異常が存在するときは非典型的SIDSとすることもあります。
死亡診断書(死体検業書)上の死因は「乳幼児突然死症候群」とし、死因の種類は「病死」します。間接的にも強く影響を与えたとは考えられない病変は、副所見に記載します。このため解剖をおこなっていない場合は、SIDSと診断はできません。
SIDSの解剖での中枢神経病変は、軽度のうっ血や出血、脳幹被蓋部のアストロサイトの増加、局在性の皮質下白質軟化と反応性のアストロサイト増加、限局性脳形成異常、髄鞘形成の遅延、小脳外顆粒層の遺残などが報告されています。鑑別にあがる脳症では、アストロサイトは通常の線維構造が破壊され、clasmtodendrosisと呼ばれる顆粒状の構造を示すとされます。
代謝異常症が基礎疾患にあり突然死することもあり、SIDS以外に突然の死をもたらす疾患および窒息や虐待などの外因死と鑑別が必要となります。窒息死と診断するためには、体位に関係なく、ベッドの隙間や柵に挟み込まれるなどで、直接死因を説明しうる睡眠時の物理的状況が重要で、寝具で単にうつぶせというだけでは診断しないようにしています。また、虐待や殺人などによる意図的な窒息死はSIDSとの鑑別が困難な場合があり、SIDSの診断は慎重にします。
SIDSの原因とは
SIDSの原因として、セロトニントランスポーター、IL-10、循環器イオンチャンネル、ヒートショックなどの遺伝的な背景との関連が言われていますが、すべてを説明できるものはいまだありません。ポリソノグラフィー検査で睡眠中の無呼吸の頻度が多いこと、覚醒反応に至る頻度が少ないこと、遺伝性不整脈がSIDSの11.4%とするなど言われています。
呼吸モニター類がSIDSを防げるという実証はありませんが、無呼吸の多い乳児では酸素飽和度のモニターにて管理されることもあります。
乳幼児の予期せぬ突然死のうち感染が関与するものもあり、18から39%にウィルス感染を認めたとされてます。このなかでは、RSウィルスによるものが一番病原体して報告されています。
赤ちゃんの睡眠時には様々な危険が
SIDSの発症だけではなく、赤ちゃんの睡眠時には様々な危険が潜んでいます。ベビーベッドからの転落事故も赤ちゃんの睡眠時に多く発生しており、平成22年から6年半でその発生件数は151件に上ります。

医療機関ネットワーク事業より受けた事故情報を基に消費者庁が特別に精査したデータより(対象:平成22年12月から平成29年6月末まで)
またベビーベッドの隙間に赤ちゃんが挟まれる死亡事故も発生しています。ベッドの下に収納が付いているタイプのベビーベッドで、収納扉のロックが不十分であったためにベッドの床面と開いた扉との間にできた隙間に赤ちゃんの頭が挟まれて窒息死をした事故も起きています。

ベビーベッド転落事故例
さらに、タオルケットが顔にかかるなどの就寝時の窒息事故は平成25年から5年間で160件発生しており、不慮の事故死全体の32%を占めています。
赤ちゃんの睡眠中の事故を少しでも減らすために、保護者の方はそういった事例を把握しておくことも大切です。

