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鼻水の基礎知識!

耳鼻咽喉科医 三塚沙希監修

花粉やホコリなどのアレルギーの原因が体内に侵入しないように、鼻水が分泌されます。
鼻水の状態で病気の症状を判断することができるので、注意して見てみましょう!

 
 

鼻水の種類

ここでは代表的な2種類を説明します。

①サラサラの鼻水

鼻の前の方に流れることが多く、風邪やアレルギーによる鼻炎のときに出ます。

②ネバネバの鼻水

鼻水が出始めてから数日経った頃や、慢性副鼻腔炎の疑いがある時にみられます。鼻の奥からのどに向かって流れることが多く、これを後鼻漏といいます。

奥に詰まった鼻水はどうやってとるの?

鼻をかんでも出すことができない奥に詰まった鼻水は、口で吸うタイプの吸引器ではなく、電動の鼻水吸引器を使用すると簡単にとることができます。
とはいえ、鼻の中は複雑な構造をしているので、「電動鼻水吸引器を使うだけで、すぐにすっきり!」という訳ではありません。
うまく吸うためにも、鼻の構造について勉強しておきましょう。

鼻水をうまく吸引する方法

鼻水を吸引する際に、念頭に置いておくべきポイントは2つあります。

その1:鼻の中はとても狭く、凹凸があるため、複雑に入り組んでいる。

外から見るかぎりだと、鼻の穴はまっすぐ伸びているように感じますが、実は内側は粘膜が出っ張っていて、複雑な形をしています。さらに、子どもの鼻腔内は、細く曲がりくねっているので、とても狭いです。奥にある鼻水を吸い取るには、ノズルの先を正確に鼻水のたまっているポイントへ向ける必要があります。しかし誤って出っ張った粘膜を吸引してしまうと、傷がついたり、腫れて余計に鼻が詰まってしまうことがあります。
吸引器を使うときは鼻の構造をしっかり理解し、粘膜を吸ってしまわないように注意しましょう。鼻の中の出っ張りは手前から順に下鼻甲介(かびこうかい)中鼻甲介(ちゅうびこうかい)上鼻甲介(じょうびこうかい)と並んでいます。

その2:後鼻漏の原因となるネバネバ鼻水は喉に近い鼻の奥にたまっている。

鼻の穴は下に向かって開いています。そのため、鼻水を吸引するときは吸引器の先端を真上に向けて入れてしまいがちです。しかし図のように後鼻漏の原因となるネバネバの鼻水は、鼻の穴からほぼ水平方向の一番奥にたまっています。その1でも述べたように、手前には粘膜のでっぱりがあることをふまえて、その奥へと吸引器の先端を入れましょう。

鼻水吸引のポイント

鼻の構造を学んだところで、次はいよいよ吸引方法をご紹介します。吸い方のポイントを抑え、安全に鼻水を吸引しましょう。

ポイント1:吸引器の先端(ノズル)は鼻の穴から水平方向に入れる!
鼻の穴は下に向いているため、ノズルの先を上に向けてしまいがちですが、ネバネバの鼻水は鼻の穴とほぼ水平方向の一番奥、のどに近いところにたまっています。ノズルは、鼻の穴の水平方向へゆっくり入れていきましょう。

ポイント2:少しずつ角度を変えて、よく吸い取れるポイントを探す!
水平方向を意識しながら、少しずつ角度を変えながら吸引していると鼻水がどんどん出てくるポイントがみつかることがあります。ポイントを見つけたらその角度をキープして、吸引を行いましょう。

吸引時の注意

・強い力で一気に吸引しない
ずるずると鼻水が取れ始めると一気に吸い出したくなりついつい強い圧で吸ってしまいがちですが、焦らずゆっくりと少しずつ吸いましょう。

・強く押し当てない
ノズルは鼻の穴に軽くあてるだけでもよく吸い取れるので、強く押し込まないようにしてください。鼻が詰まっているときは、下鼻甲介の腫れによって通常よりも鼻の中は狭くなります。粘膜を吸ってしまわないように気をつけて吸引を行いましょう。

吸引時の体勢

鼻水を吸引する際は頭をしっかり固定してください。頭が固定されていれば、基本的にどのような体勢でも大丈夫です。(頭が動いてしまうとノズルの位置が安定せず、出っ張った粘膜を傷つけて鼻づまりを悪化させてしまう恐れがあります。)

小さいお子さんの場合は、横向きに抱き、手で頭を支えながら、空いた手で吸引するのがオススメです。また赤ちゃんの場合は、床に座ってひざや太ももで頭を抑え、上から覗き込むようにして吸うとラクに吸引できます。

子どもは一度「鼻水を吸引する=怖い!」と感じてしまうと、次から吸引を嫌がるようになってしまいます。「治療」というより、あくまで「ママとのスキンシップの延長線」のような感覚で行えるのが理想です。子どもを安心させるためにも、吸引の前に一度ママが自分で試しながら「怖くないよ?楽になるよ?」と子どもに見せて上げることも効果的です。

 

鼻水吸引による影響

鼻は口はもちろんのこと目や耳ともつながっています。
鼻水の吸引を間違った方法で行ってしまうと、鼻以外の部分にも影響が及ぶことも…
安全なケアを行うためにも、鼻水吸引による体への影響について勉強しましょう!



耳の痛み
鼻を強くかんだとき、耳がキーンと痛く感じたことはありませんか?
これは鼻と耳が耳管でつながっているために起こる現象です。
吸引器を使って鼻水を吸うとき、子どもにもこれと同じ現象が起こることがあります。
特に強い圧で長い時間吸引していると起こりやすく、一時的に痛いだけの場合もありますが、この状態が続くと中耳炎を発症する原因にもなるので注意が必要です。

頭や歯の痛み
鼻水を吸引しているとき、子どもが急に頭痛や歯痛を訴えることがあります。
急性副鼻腔炎という病気にかかっている時に多くみられる現象で、これは鼻の奥にある副鼻腔にウィルスが入り、炎症を起こす病気です。この時に鼻水を吸引すると、粘膜に圧力がかかり強い痛みが起こる場合があります。
この痛みはとても強く、子どもが一度経験すると次から怖がって鼻水の吸引をさせてくれなくなってしまうことがあります。
たくさん鼻水が吸えるからといって、強い圧で長く吸いすぎないように注意してください。

☆吸引器を使うときの注意

・吸引する際は吸引器の先端(ノズル)を徐々に鼻の穴に近づけて、弱めの圧で少しずつゆっくりと!苦しそうにしていると、すぐになんとかしてあげたいと思い、強い圧で一度に吸い取ろうとしてしまいがちです。
しかし、こういう時こそ焦らずゆっくりと少しずつ吸うことが大切です。

一度に全部吸いきるのではなく、だいたい6割から7割程度の吸引をこまめに行うよう、心がけましょう。弱めの圧で少しずつ吸引を繰り返すことで、耳への負担も少なくなります。

鼻血
鼻水を吸引していると鼻血が出てしまったということがあると思います。
基本的に吸引時の鼻血は、子どもの場合、鼻中隔(びちゅうかく)という鼻の穴の真ん中にある壁のあたりから出血していることが多いです。
鼻中隔は薄い粘膜の下に細い動脈が走っているため、すこしの刺激でも出血しやすくなっています。そのため、吸引の際にこの部分へ吸引器の先端(ノズル)が当たってしまうと、出血しやすいのです。

とは言うものの、鼻中隔のあたりは絶好の鼻水ポイント!鼻の中は外側から内側に向かって下鼻甲介が張り出しているため、鼻水をうまく吸うためには、鼻中隔に向けてノズルを入れる必要があります。粘膜を傷つけないためにも、ノズルは深く入れすぎず軽く当てる程度にしましょう!

鼻血
☆出血してしまったら
気をつけていても出血してしまうことはあると思います。
子どもは鼻血が出やすいので、慌てずゆっくりと対処しましょう。

・ティッシュなどを当てて安静にする
ティッシュを詰め込んでしまうと抜き出すときの衝撃でまた鼻血が出ることがあるので、注意してください。

・その日は吸引を控える
一度鼻血が出ると再出血しやすいので、その日は吸引を控え、翌日に吸引してあげましょう。

子どもの頃は粘膜が薄く弱いため、鼻水吸引時以外でも鼻血が出ることが多いです。慌てず、落ち着いて対処してあげましょう。
あまりにも頻度が高ければ一度耳鼻咽喉科へ相談するのもオススメです。止血の処置を取ってもらうと、出血の頻度が抑えられます。

鼻水をうまく吸うポイント

「鼻水のネバネバすぎてうまく吸引できない!」と感じた時は、以下のことをお試しください。

鼻水の粘度が高く、うまく吸えない場合
・点鼻薬を使う
ネバネバの鼻水には、点鼻液を差すのが効果的です。
食塩重曹水の点鼻薬なら自宅でも簡単に作ることができるのでオススメです。
点鼻液には、鼻水の粘度を緩和させるだけでなく、鼻の粘膜に付着したアレルギー物質や細菌、ウィルスなどを除去する働きがあります。

①~③の材料をペットボトルに入れ、良くかき混ぜるだけで完成です。重曹は必須ではないので、なければ食塩と水だけを混ぜた食塩水でも大丈夫です。食塩水の理想の濃度は0.9%で、この濃度の食塩水を生理食塩水と言います。上記の割合で作成すれば、生理食塩水に近いものができますが、食塩の濃度が高すぎると粘膜への刺激が強くなってしまうので注意してください。自信が無い方は薬局などでも売っているので、そちら使うのもオススメです。

高価な物では無いので、作る手間などを考えると買った方が楽かもしれません。また、コンタクトレンズの洗浄液の多くは生理食塩水です。少量しか必要ない場合は、こちらで代用することもできます。食塩水を購入したら、上記の割合で重曹を追加してください。

鼻水を吸う前に、作成した点鼻薬を2,3滴鼻に差してあげると、鼻水の粘りが緩和されます。一度に作る量が多いですが、1ヶ月程冷蔵庫で保存ができるので、必要な分だけ小さな容器入れておくと使いやすくてオススメです。

点鼻薬を挿すときのポイント

点鼻薬
・体温と同じくらいの温度にする。
体温と同じ温度に温めてから差してあげると痛みが少なくなります。

・目薬のようにポツポツ点鼻する。
一度にたくさんの量の点鼻薬を差すと、鼻がツーンとしてしまうことがあります。使用する際は目薬のようにポツポツと差すと痛みが少なくなります。しかし嫌がるようなら、特にこだわらなくても大丈夫です。鼻に入れば効果は同じなので子どもにあった差し方をしてあげてください。

上記の方法を試しても、吸引できない場合は以下のことをご確認ください。

・抗ヒスタミン薬を使用していないか
抗ヒスタミン薬は一般的に花粉症や風邪などによる鼻水を止めるために処方されます。この薬によってダラダラと鼻水が垂れることは少なくなりますが、子どもに使った場合、鼻水の粘度が強くなり、余計に鼻が詰まってしまうことがあります。ですので、鼻水を止めるために抗ヒスタミン薬を処方してもらっているのであれば、一度これをやめてみてください。ネバネバ鼻水が改善されるかもしれません。

ただし、ひとつ注意点があります。
抗ヒスタミン薬は、鼻の治療以外にも様々なアレルギーに対して処方されることがあります。
この場合、薬を飲むのをやめてしまうと、アレルギー症状が悪化してしまうおそれがあります。薬の服用をやめる前は、必ずお医者さんに相談してください。

耳鼻咽喉科医 三塚沙希監修

 

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